Şahin Alpay コラム:誰が誰になぜ投票するのか?
2009年03月21日付 Zaman 紙

バフチェシェヒル大教員のユルマズ・エスメル教授は、有権者の価値観、行動様式、態度の問題を専門とする研究者のうち、第一人者の一人である。エスメル氏は先週、大学で「理性的な有権者という伝説」と題する講演を行った。

氏は、有権者の大多数が理性によってではなく、感情によって票を投じたと述べた。「政党と候補者は、[有権者の]感情を掴み取ることができなければ成功できない」と述べた。アメリカとイギリスでなされた最新の調査と同様に、トルコにおける1999年、2000年、そして2007年総選挙に関する、自身が実施した調査もこれを示していると説明した。
トルコでは有権者の選択は何よりもまず、自身を右派あるいは左派であると感じることに関連してなされていた。右派政党が全体の3分の2、左派政党が3分の1の割合で票を集めるパターンは、それ故にほとんど変化しなかった。エスメル氏は、公正発展党の得票率における増加傾向も、基本的には宗教的感情の高まりに関連していると述べた。

同日、トルコにおける社会・経済的、文化的、政治的事象に関し、非常に注目に値する夜間の講演シリーズを開催しているフランス・アナトリア研究センター(IFEA)(www.ifea-istanbul.net)にて、[2007年7月の]総選挙予測で成功を収めたことで有名になったコンダ(Konda)社の社長であり、共和人民党の元幹事長などを務めた、経験豊かな政治家であるタルハン・エルデム氏の話を聞いた。
エルデム氏によるトルコの有権者の行動についての観察は、非常に異なるものだった。有権者は政治に関する十分な情報を持っていた。理性的ではないとしても常識的だった。つまり、自身に最もよく便宜を図ってくれるだろうと信じる政党を選んでいた。近年の公正発展党への有権者の傾斜は、この党が宗教的感情を利用したことだけでは説明できなかった。公正発展党が実施した諸改革、与えた便宜も有権者の半数を獲得するのに重要な役割を果たしたのだった。

ご覧の通り、トルコにおける有権者の行動に関する所見と観察は、専門家の間でさえ非常に異なりうる。政治学者たちによれば、基本的に有権者の行動を説明する4つの理論がある。一つ目は、政党と自身とを同一視するがゆえに投票するというもの。二つ目は、自身が所属する社会的、階級的、民族的あるいは宗教的グループに関連して投票するというもの。三つ目は、イデオロギー的立場から人は投票するというもの。四つ目は、すべての選挙で自身の利益に最良の便宜を図ってくれると信じる政党を(あるいは候補者を)選ぶというものである。それぞれの理論は、トルコにとってどの程度有効だろうか?多くの問題と同様に、この点も更に検討される必要がある。

私が小学校に入学した1950年以来今日まで、もちろん時とともに成熟した関心でもって選挙を観察している。トルコに存在する研究のすべてではないとしても、最も重要な研究に関する情報を私は持っていると言い得る。私が見た限りでは、有権者の行動に関する4つの理論はすべて我々にも有効である。政党がしばしば解党されるがゆえに政党と自身とを同一視する傾向は弱まった。しかし、近年は公正発展党、共和人民党、民族主義者行動党、そして民主市民党に票が集まる傾向がみられている。
篤信者の多くは公正発展党へ、アレヴィー派の多くは共和人民党へ、クルド人のほぼ半数が民主市民党へ投票し、経済的エリートは公正発展党へ、官僚エリートは共和人民党へ投票する傾向にあることを我われは知っている。イデオロギー的立場に関しては、現行の権威的世俗主義を支持する人は共和人民党へ、トルコ・ナショナリストは民族主義者行動党へ、クルド・ナショナリストは民主市民党へ投票したことも知られている。
全体的な選挙結果を見ると、どの選挙でも自分自身の、あるいはオピニオン・リーダーたちの理性や良識に従って、最良の便宜を図ってくれると信じる政党を選ぶ、中道的な位置にある、プラグマティックで流動的な有権者がかなりの部分を占めていると言い得る。

選挙結果においては、政党の組織化とプロパガンダ活動によって有権者に投票箱まで足を運ばせる能力も役割を果たしていることは疑いない。公正発展党の得票率が次第に増していると伝えられる時には、西洋の事例を彷彿とさせる唯一の大衆政党であること、女性を動員することにおける成功、イスラーム的互助組織からなる社会運動を基盤とすること、政権にあることが生み出す便宜、レジェプ・タイイプ・エルドアンのカリスマ、そしてもちろん野党の信頼性のなさも勘定に入れる必要がある。

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:16046 )