レバノン人歌手殺害事件で死刑判決の実業家、人生最悪の一夜を過ごす
2009年05月23日付 Al-Ahram 紙

■死刑判決後、ヒシャーム被告人生で最悪の夜を過ごす
■一人泣きながら繰り返し訴える:「不当だ」
■アル=スッカリー被告、アッラーが苦しみを晴らすことを確信し、発言を拒否

2009年05月23日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【カイロ:ハーリド・アブルイッズ】

レバノン人歌手スーザン・タミームさん殺害事件での死刑判決を受けてヒシャーム・タラアト・ムスタファー被告が過ごした最初の晩は、被告の人生において最悪の一夜であった。被告は悲しみに打ちひしがれ、独り泣きながら一夜を過ごした。

 刑務所の関係者筋がアハラーム紙に伝えたところによると、ヒシャーム・タラアト被告は一昨日の法廷で判決が下された後、マズラア・トゥラ刑務所の監房に戻った。被告の精神状態は悪く、ヒステリックに泣き続け、「神の思し召しに甘んじます」「不当だ」などと呟いているという。

 また同筋によると、ヒシャーム被告は同じ刑務所内に収容されている実業家らと言葉を交わすこともなく、片隅に独りで座ってコーランを読み、定刻になると刑務所のモスクで祈りを捧げている。

 さらに同筋によると、ヒシャーム被告はきわめてわずかな食事しか取らないという。他の収監者たちは皆、激しい不安や悲しみの状態に陥っている。弁護人が監房を訪れることはなかったが、親族の一人が被告と面会し「最終判決ではないのだから、控訴して最終的な判決が下されるのを待とう」と慰めた。

 一方、同様に死刑判決を受けた一人目の容疑者であるムフスィン・アル=スッカリーは静かに夜を過ごし、刑務所内の仲間たちから質問を受けた際も判決について語ることは無かった。聖典コーランを読み続け、「最後にはアッラーがこの苦しみを晴らして下さる」と述べたという。

 その間にもアル=スッカリー、ヒシャーム・ムスタファ両被告に対する判決への反響は続き、殺害されたスーザン・タミームさんの父親であるアブドゥッサッタール・タミーム氏は、「エジプト司法の公平・公正さに多大なる信頼を抱いていた」と語りつつ、娘を残酷に殺害した二人の容疑者への罰として今回の判決は適切であったと述べた。さらに同氏は「この公正な判決のおかげで、娘はやっと安らぐことができる」と述べた。

(後略)

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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:16538 )