Kadri Gürsel コラム:イランでムーセヴィーへ、トルコでCHPへ投票する人たちの悩み
2009年06月22日付 Milliyet 紙

我が国は、「世俗主義/イスラム主義間の断層」の両者の側にかように防衛戦を構え、政治化し、分断化している。このため、こうした深い分断の先端に僅かでも抵触するようないかなる問題も、メディアで率直かつ円滑に議論することはできないのである。

イランを例に挙げると、とても深刻な不備のもとの大統領選挙とそれに続く事件に関連して、イランは再び我が国の話題にのぼったのである。この問題はただちに、いくつかの相反する動向をもつ人々の手によって、「イラン(を扱う)外観を呈したトルコ論争」の状態になった。

国外情勢を端緒としたトルコ論争であるが、もちろん国内の議題に関して議論されている。そして、こうした主題はトルコで起きた政治的な経験が我々の知的活動に影響を及ぼす程度により変化する。

近年「トルコはイランのようになるのか?」との問いが問われ、そして「論争」はこのまわりを巡っていたのを思い出して下さい。どういうわけか、これが議論されることはもうないのだ。

先の議論について、人々が確かな考えをもつに至ったか、実に気になる所である。あるいは「トルコはイランのようになるのか」という論争がすでに聞かれなくなったことと、公正発展党(AKP)が7年近くに渡って政権を握っていることは何か関係があるのだろうか?この点もよく調べなくてはならないと思う。

さらに、いくつかの論争があるが、いっこうに答えが出ず、ついには飽きられる。「トルコはイランになるのか」という論争も、結論が出ないままに終わってしまった論争の一つであろう。

■ ブルジョア階級が悩みの種

イランに端を発して激しく討論されている新しい議題の一つは、イラン国内の「都市出身の中産階級が改革主義の候補者に投票した」という事実である。

この事実は議論の余地がない。教養があり、高所得をもつ都市出身の中産階級は、改革主義の候補者に投票する。一方、村落部や都市に住む学歴の乏しい貧困者層は、原理主義、つまりアフマディネジャード氏を支持する。

アフマディネジャードが他候補者と比べると都市出身の中産階級から票を得られていない根本的な理由は、厳しい態度をとり、全体主義の傾向のある原理主義者であること…。

しかしムーセヴィー氏が票を集めた唯一の理由は、もちろんこれではない。例えば「バザール」つまりテヘランの伝統的な商人階級に属する人たちは、アフマディネジャード氏がイランを国際的立場において孤立させ、(規制)強化ゆえに貿易活動を狭めたとして、彼を支持しない。バサール商人たちは、イランを国際社会に回帰させると約束したムーセヴィー氏を支持している。しかし彼らは、現体制反対ではない。

では、農村出身・都市出身の貧困者層の大半がアフマディネジャードに投票する理由は、彼が原理主義であるからだろうか?そうではない。彼が「超ポピュリスト」であり、愛される一番の理由はこれである。

■ アフマディネジャードと公正発展党

ともかく、公正発展党(AKP)は3月29日の(地方)選挙で、相対的に大都市の中産階級のうち高学歴の人々から票を得られなかった。アフマディネジャードがそうであったように。この状況は、トルコの公正発展党支持者が「中産階級化できない」という悩みを再発させた。アフマディネジャードと公正発展党の間にある「社会基盤の類似」という認識を除くため、極めておかしな考えが生み出されている。

あたかもイラン改革主義者のトルコにおける投影が公正発展党であり、保守主義者にあたるのは共和人民党(CHP)のようである。

共和人民党が政治的意味で、保守政党であるのはその通りだ。イランで改革主義者に投票する中産階層は自由主義と改革についていかなる理解だろうか。おそらく、大学でのスカーフ着用容認ではない。

これら改革主義者はまず社会生活上の宗教的抑圧が、少なくとも緩和されることを要求している。さらなる自由を望んでいる。

彼らは「体制の利口な子息」と言われるムーセヴィー氏に、仕方なく投票するのである。ほかにいい方法がなかったからだ。

トルコでは実のところリベラルな党がないため、仕方なく共和人民党に投票した中産階級も、あることを恐れている。それは、「イランで起こったことが、ある日トルコでも起こるのではないだろうか?」ということである。

こうした怖れを除けない公正発展党がこの階層から得票を得ることが、つまり中産階級化するという夢なのである。

「我々も地方自治体が入札(業務を請負う)中産階級をつくる」とおっしゃるならば、それは長年いっていることだ。

要するに、イランでムーセヴィー氏に、トルコで共和人民党に投票する人の悩みは同じである。イランで宗教的保守主義から逃れること、トルコで宗教的保守主義化を止めることだ。

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( 翻訳者:木村納菜 )
( 記事ID:16769 )