Twitter、イラン人利用者であふれかえる
2009年06月20日付 E'temad-e Melli 紙

【エッテマーデ・メッリー】世界的ネットワークのTwitterは、技術面とデザイン面での変更のために、一時的にこのサイトを機能停止にする計画を立てていたが、ここ数日イラン人インターネット・ユーザからの利用が多いことを理由に、サイトの改修を別の時期に延期すると発表した。

 イラン人はここ数日、このサイトの一番の利用者となっており、イランの通りの様子を伝えるリンクをこのサイトに載せることが非常に多くなっている。イラン人が伝える情報やリンクを閲覧する人も多くなっており、毎日世界150ヶ国の利用者がそれらを閲覧している。利用者の多くは、おそらく数日前までイランについてのニュースなど読んだことのない人たちであるか、少なくともイランの政治・社会情勢がどのようなものであるか知らなかった人たちであると考えられる。

 イランではショートメッセージや携帯電話のネットワークが切断され、インターネットサイトへのアクセスも制限されていることから、最新の状況を把握したり情報を得たりするために、人々はフェイスブックやTwitterなどのネットワークを利用することが多くなっている。とはいえ、イランではフェイスブックに対して再びフィルターが掛けられており、またインターネットの接続速度が極端に遅くなっているため、YouTubeなどのサイトは利用できない状態に陥っている。

 実際、最近のイラン情勢は政治アナリストたちを驚かせている。〔Twitterのような〕新しいメディアから情報が素早く伝達されている状況を目の当たりにして、専門家たちは今回のイランでの出来事を「インターネット形成史上初の大事件」と名付けざるを得なくなっている。イランでの出来事が、〔Twitterのような〕巨大サイトを「占拠」しているのだ。

 フィナンシャルタイムズは、イランの若者たちは自らの願望を現実に近付け、この国を覆う殻の下で叫ばれている、しかし国営テレビでは報じられることのない「第二の声」を多くの人の耳に届ける可能性を秘めた「風穴」を、ただ一つだけ持っていると報じている。この有効な武器こそ、インターネットなのである。イランでのインターネットの影響力と人気はここ数日、どの世界的なメディアでも話題になっている。

 フィナンシャルタイムズの記事によると、イランの若者らは政府の政策をあからさまに支持しているような公式サイトなどには目もくれず、一種の笑いの種にしているという。《緑の波》と名付けられた運動には国境などない。家から家、町から町、そして国から国に広がり、自らのメッセージをあらゆる人たちに伝えている。若者はあらゆる国境も、あらゆる障碍も飛び越えてしまうのだ。若者は、コンピューター(それはときに、さして性能がよいわけでもなければ、処理速度が速いわけでもない)を使って、国営メディアでは検閲を受けていたり、まったく逆のことが伝えられていたりするようなことを、実際の映像や写真によって人々に示そうとしているのである。

 一方、通信科学の専門家たちは、インターネットは情報を伝えたり、意見を交換したりする場としては、信頼のできるメディアではなく、フェイスブック、Twitter、YouTubeを唯一の情報源として活用するべきではないと注意を促している。しかし、イランの若者たちはこの忠告に全く聞く耳を持っていない。自らの情報をイラン国民に伝えることのできる唯一の手段であるため、彼らは依然としてこうしたサイトの最大の支持者であるのだ。イランの公共メディアに立ちはだかる険しい道のりは、最近その険しさを増しており、新聞はイランの著名人たちの声明や意見も、その多くを報じることが禁止されているのである。

 他方、グーグル社はペルシア語—英語の翻訳ソフトの開発計画をスピードアップさせている。同社は、世界の多くの関心がイラン情勢に向けられていることが、このプロジェクトをスピードアップさせている理由である、とBBCに述べている。

 現在、世界最大のソーシャルネットワーキング・サイトであるフェイスブックも、ユーザらがペルシア語で利用できるようにするためのサービスや、利用者向けのヘルプのペルシア語版の提供に鋭意努力しているところだという。両社とも、以上のようなサービスの提供によって情報へのアクセスをもっと簡便なものにしたい、と期待を表明している。

 グーグルの活動の全体的な目的は、世界に存在する情報の組織化と、有用な情報の利用者への提供である。この目的を達成するため、グーグルは現在までに41言語をウェブ上で最もよく使用されている言語である英語に翻訳できるようにしている。

〔中略〕

 フェイスブック社も自社のブログで、世界中の多くの人々がイランの選挙の命運について情報を交換するためにフェイスブックを使っており、やりとりされている情報の多くが英語以外の言語によるものであることが分かった、と述べている。

 その結果、同社は試験的にペルシア語ページを立ち上げ、「イラン国内外にいるペルシア語の話者たちが、自らの母語で利用開始ができるようにした」という。フェイスブック社もグーグル社と同様、現在提供している翻訳版が優れたものではないことを認めた上で、「重要なのは、通信の分野で人々の手助けをし、そうすることで手と手を取り合うことだと、我々は考えてきた」と述べている。

 フェイスブックは、今回試験的なサービスを提供することができたのは、主に400人以上のペルシア語利用者が数千もの翻訳例をこのサイトのために送ってくれたお陰だ、としている。グーグルもフェイスブックも、提供するサービスの向上にあたり、ペルシア語話者による支援を歓迎している。

 イランの選挙後に起こった騒乱に関するニュースやビデオ、写真、情報などが広がりを見せていることについて、インターネットやソーシャルネットワーキングが果たしている役割を指摘する内容の記事や分析は多い。しかし、グーグルとフェイスブックの両社とも、彼らの活動には政治的な動機などなく、通信のための環境を整え、情報の円滑化の手助けをすることを目的にしているに過ぎない、と強調している。

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( 翻訳者:尾曲李香 )
( 記事ID:16798 )