ラフサンジャーニー、金曜礼拝での説教に久々の登板
2009年07月18日付 E'temad-e Melli 紙

【政治部】アクバル・ハーシェミー=ラフサンジャーニー公益判別評議会議長兼専門家会議議長は、大統領選後初めてテヘラン金曜礼拝導師を務め、危機を脱出するための方法について提案を行った。

 イラン労働通信の報道によると、ハーシェミー=ラフサンジャーニー師は「選挙後生じた状況は危機であると理解することが可能だ」とした上で、失われた信頼を国が取り戻すためには、最近の事件で逮捕された者たちの釈放、〔事件で死傷した〕被害者やその家族の心情の慰撫、メディアに対する制約の解除、〔大統領派・反大統領派〕双方の主張をイラン国営放送で放送できるようにすること、宗教指導者やウラマーたちの不満の解消、法律の遵守などが必要だとの認識を示した。

 金曜礼拝を行うために8週間ぶりにテヘラン大学の礼拝所に登場したラフサンジャーニー師は、「これらの提案は、最高指導者専門家会議や公益判別評議会にいる同志たちと相談した上で作り上げたものだ」と語った。

 昨日テヘランで行われた金曜礼拝説教の第二部後半部分を、第10期大統領選挙及びその後起きた事件をめぐる問題に充てたラフサンジャーニー師は、このことについて次のように述べた。「われわれは、選挙を非常によい形でスタートさせることができた。〔選挙へ向けた〕準備も適切なものだった。市民は選挙での自由に、期待を抱いていた。これまでになかったほど多くの人々が、投票に参加した。このような状況で、すべてが我が国にとって大いなる誇りとなるべく用意された。これまでの記録を打ち破る形で投票に参加した人々に対して、この誇りを与えねばならない。自由な意志で選挙に足を運んだ人々に対して、感謝しなければならない。世界の中で胸を張ることのできるこのような状況が続くことを私も望んでいたし、それが可能だった。しかし残念ながら、そうはならなかった」。

 ラフサンジャーニー公益判別評議会議長は、「今あなた方が聞いていることばは、革命が始まる前からいつも革命とイマーム〔・ホメイニー〕とともにあった人物の口から発せられたことばである。私はイマームが何を望んでいたのか、よく知っている。イマームは闘争の中で、人民こそが基本であることを何度も強調されていた。〔‥‥〕もし人民がわれわれとともにあるならば、どんなことも可能だと仰っていた」と述べた。

〔中略〕

 同師は、預言者ムハンマドが行った政治の基礎もまた、イスラームと人民の上に基礎付けられたものだったと強調、イマームが首相としてバーザルガーン氏を指名したことに触れ、次のように述べた。
イマームはバーザルガーン氏を首相として指名された。私がそのときの辞令を読み上げた。その中で革命評議会による統治期間はなるべく短くし、早急に憲法を制定すべきであることが強調されていた。

私は、憲法上すべての国事は、国民の票に依存すると考えている。国民の票を通じて専門家会議の議員たちが行う、最高指導者〔の任免〕に始まり、大統領や国会議員、地方評議会議員の選出〔‥‥〕などすべて、国民の票に依存している。

「イスラーム共和国」とは、単なる外交辞令などではなく、預言者の思想にその源を有する一つの確固たる事実だ。「共和国であること」と「イスラーム的であること」とはつねに不可分なのであって、もし一方が損なわれるようなことがあれば、われわれにとってもはや革命は存在しなくなってしまう。

もし〔「イスラーム共和国」から〕「イスラーム」がなくなってしまえば、われわれは道に迷ってしまうし、もし「共和国」がなくなってしまえば、国家はその目的を達成することができなくなってしまう。


〔中略〕

 臨時テヘラン金曜礼拝導師を務めたラフサンジャーニー師はさらに、最近の事件の原因について、次のように述べた。「この問題の一部は、選挙戦の最終盤にその原因がある。〔アフマディーネジャードがラフサンジャーニーを攻撃するなどして、体制に対する〕疑念が生まれた。疑念を抱く人々が出てきた。この疑念の種が、ある時にイラン国営放送の不適切な行動によって生じてしまったと、私は考えている。この疑念は、潰瘍のように国民の精神の中に産み落とされてしまった。この疑念を取り除くために、何らかの対策を考えねばならない。それには、長い時間が必要だ」。

 公益判別評議会議長は、最近の事件によってすべての人々が害を被ったとし、すべての政治勢力・グループに向けて、「私はいつも党派を超えた発言を行っている。いずれかの側に〔特別な〕見解を有しているわけではない。われわれは、選挙後に生じた悪しき影響を取り除き、敵を幻滅させるべく努力しなければならない」と語りかけた。

 「専門家会議の議員や公益判別評議会の委員たちと共同で、失われた信頼を国に取り戻すような提案を行ってはどうかとの考えが、私の中に生まれた。まず体制であれ、国家であれ、政府、国会、治安部隊、はたまた抗議を行った一般民衆であれ、われわれはみな法の枠組みの中で行動すべきである。一部の法律に不満を抱く人も、〔法の枠内で〕法律の改正に努力しなければならないということを、みな納得すべきである」。

 ラフサンジャーニー師はこのように述べ、さらに「この問題に関わるすべての人々が自らの意見を論争的ではなく、論理的な形で述べることができるような環境を作り出すべく、われわれは行動するべきだ。国営放送をはじめとする各メディアは、そのために適切な措置を講ずるべきだ」と続けた。

 公益判別評議会議長はまた、抗議を行っている候補者たちの主張を調査するよう、革命最高指導者が護憲評議会に対してチャンスを与えたことについて指摘し、「残念ながら、理性的な結論を出し、国民の信頼を取り戻すために護憲評議会に与えられたチャンスは、正しく活用されなかった」と批判、その上で〔抗議を行っている各候補者との〕討論や話し合いのための道を開くよう提案し、「〔もしこの提案が実現されれば〕恐らく短期間のうちに、この問題について満足のいく結論が得られるだろう」と語った。

 ハーシェミー=ラフサンジャーニー師は〔法の遵守、自由な討論の実施に続く〕第三の提案として、最近の事件で拘束された人々の釈放に言及し、次のように述べた。「現在の状況では、投獄されている人々を釈放し、家族の元に帰してやることが必要だ。人々が投獄されていることを理由に、敵がわれわれを嘲笑し、われわれに対してはかりごとを企てるようなことを許してはならない。われわれは互いに対して寛容であらねばならない。また、最近の事件で〔死傷するなど〕被害を受けた人たちの心を慰撫することも必要だ。彼らのもとに行って、彼らに対して共感の意を示すべきだ」。

 同師は続けて、独立系メディアに対して加えられている様々な制約について指摘した上で、「各メディアに対しては、広い心をもって接するべきだ。彼らに制限を課すべきではない。体制も、彼らの法的権利を無視するような行動は慎むべきだ。彼らにとって自由な状況を作り出す必要がある。メディアの側もまた、法の枠内で行動しなければならない」と述べた。

〔後略〕

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17007 )