風刺画家ら、第9回風刺画コンテストをボイコット
2009年08月03日付 E'temad-e Melli 紙
絵:アリー・デラフシー
絵:アリー・デラフシー

■ 2年に一度開かれる文化イスラーム指導省主催の第9回国際風刺画コンテストに、100名の風刺画家が参加ボイコットを表明:「これまでと変わることなく、われわれは厳しい仕打ちを受けた人々とともにいる」

【文化部:パルヴィーズ・バラーティー】テヘランで2年に一度開かれる第9回風刺画コンテストをはじめ、様々なイベントが「ボイコット」の危機に直面している。

 第9回風刺画コンテスト開催まで残すところ4ヶ月弱となった時期に、イラン人風刺画家100名は声明を発表、選挙後の事件への批判と市民への共感を示すとともに、同コンテストへの参加ボイコットを表明した。

 ここ数日、グラフィック関係者やグラフィック・デザイナー協会の会員らも最近の事件への抗議として、2年に一度テヘランで開かれる第10回ポスター・コンテストへの参加ボイコットを、目立たぬ形で非公式に表明していた。しかし今回、主にプロとしての経験豊かな風刺画家ら100名が第9回テヘラン風刺画コンテストへの参加ボイコットの声明に署名したことは、我が国のアーティストらが最近の気の滅入るような状況に対して反発を強めていることを示している。

 今回の風刺画家らの声明について注意したいのは、様々な〔政治的〕傾向・見解をもった彼らが声明を通じて、暴力の否定と平和のメッセージの伝達を目指していることである。

 第8回風刺画コンテストの審査員を務め、月刊誌『風刺と風刺画』の発行責任者であるジャヴァード・アリーザーデ氏は、今回の声明に署名した理由について、エッテマーデ・メッリー紙に次のように語っている。「私自身これまで、審査員を務めるなど、様々な風刺画コンテストに協力してきました。しかしここ最近、暴力的な事件を目撃するに至り、今回のコンテストへの参加をボイコットすることに決めました。風刺画というアートは、民主主義と表現の自由の普及を目指すものです。その最も重要な目的は、暴力の否定という一言に集約できます」。

 アリーザーデ氏は、今回の声明に署名した人々はみな、現在の体制を受け容れている人々ばかりだと強調した上で、「私たちはみな、ただ平和と友好、和解のメッセージを伝えたいだけです」とも語った。

 40年以上にわたってプレスの分野で仕事をしてきた、新聞風刺画家の長老的存在であるアフマド・アラバーニー氏は、今回の声明について次のように語っている。「今年の状況は、これまでの状況とは異なります。私たちは市民との共感を理由に、風刺画コンテストへの参加ボイコットを決めました。何もなかった、何も起こらなかったかのように振る舞うことは、正しいことでは全くありません」。

 アラバーニー氏は、今回の声明は一種の抗議であり、最近の状況に対する風刺画家たちの立場を示すものだとのした上で、「私たちは最近の状況が良いものだとは思っていません。これまでと同じように、イベントを開くことはできません」と付け加えている。

 声明に署名したホセイン・サーフィー氏も、今回の運動は最近の出来事に対する一種の「シンボリックな抗議」であるとの見方を示している。「いずれにせよ、私たちは抗議の意志を示すために、今回の運動を行ったのです。この運動がどれだけ成功するかは、神のご意志次第です。今回の運動は決して過激なものではありません。これは一種の、小さな抗議にすぎないのです‥‥」。

 いずれにせよ、風刺画の分野で最も重要なイベントをボイコットするという今回の風刺画家たちの声明は、今後のボイコット運動の先駆けとなる可能性がある。実際、グラフィック・デザイナー協会は、第10回テヘラン・ポスターコンテストの運営に参加しないことを表明しており、その他の独立系アーティストや協会が最近の事件への抗議として、さまざまなイベントを開催している政府系主催者たちとの関係を控えることも予想される。このような事態の結果、これらのイベントの価値や質が大きく下がる可能性もあるだろう。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17102 )