在イラン英大使館上級分析官、テヘランでの暴動へのイギリスの関与を告白
2009年08月09日付 Iran 紙


【政治部】暴動事件に関与した被告らを裁く第二回目の裁判が昨日、サラヴァーティー判事を裁判長として開かれた。この裁判の目玉は、何といっても選挙後の混乱で逮捕された在イラン英大使館上級分析官のミール・モハンマド・ホセイン・ラッサーム被告、及びフランス人のクロチルド・レス女史の容疑をめぐる審理であった。

 起訴状によると、イギリス大使館上級分析官のミール・モハンマド・ホセイン・ラッサーム被告は外国人のためにスパイ行為を働いた容疑がもたれている。

 検察側代表は、ラッサーム被告が政治活動家や民族活動家、政党や宗教少数派、非政府組織の代表、及びイスラーム神学校や大学の関係者らと頻繁に面会を重ねていたことを明らかにした上で、「同被告個人も、ホルダード月22日、25日、及び28日〔6月12日、15日、18日〕の路上での暴動に参加し、同事件に関する情報を収集した上で、英外務省に報告していた」と指摘した。

 原告側によると、ホセイン・ラッサーム被告は英大使館のトマス・バーン二等書記官やオーストラリア大使館のショーン・マーフィー書記官とともに、ミール・ホセイン・ムーサヴィー選挙本部に出入りし、ミール・ホセイン・ムーサヴィー選挙中央本部の顧問を務めるアリー・マーヘルと何度も連絡を取り合っていたという。

 検察はその上で、「情報省スパイ対策局の調査によれば、イギリス大使館上級政治分析官が罪を犯したことは確実であり、同被告はイスラーム刑法第501条、505条、及び618条にしたがい、裁きを受け、罰せられる必要がある」と強調した。

「アトリヤーンファル、サイード・レイラーズ、及びシャムソルヴァーエズィーンの三名は英大使館の重要連絡員だった」

 ホセイン・ラッサーム被告は被告人席に着くと、まず自己紹介を行い、英大使館で5年間にわたり勤務してきたと述べた上で、同国が必要とする情報をテヘランや各地にいる大使館の連絡員ならびに特定の団体を通じて収集することが、同大使館での自らの任務であったことを明らかにした。

 同被告は様々な個人・団体と関係をもつ方法について説明、英大使館がイラン人職員を〔積極的に〕雇い入れ、情報の獲得を誤魔化していたことを明らかにした。同被告はその上で、「私は過去5年間で130名を、またこれとは別にこの1年間で50名を、英大使館の連絡員として引き入れた。彼らとはレストランやコーヒーショップで面会し、必要とする情報を得ていた」と供述、さらに重要連絡員としてアトリヤーンファル〔「建設の奉仕者党」幹部〕やサイード・レイラーズ〔ジャーナリスト〕、シャムソルヴァーエズィーン〔同〕らの名前を挙げ、「英大使館はヴィザ発給部門を通じても、情報の収集や有能な人材との関係構築を行っていた」と付け加えた。

 ラッサーム被告はまた、情報を得るための別の方法として、ブリティッシュ・カウンシルを活用したことも指摘し、「ブリティッシュ・カウンシルは〔‥‥〕奨学金の供与などを通じてエリートたちを見つけては引き寄せ、また大学で学術的・産業的なスパイ行為を行うなどして、必要とする情報の収集を行っていた」とした。

 同被告はNGOを利用することも、英大使館が情報を得るために行っていたもう一つのやり方だとし、「年間30万ポンド〔約4700万円〕を、イラン市民団体への支援に支出していた」と述べた。

 同被告は英外務省に情報を提出する際のやり方について説明した上で、「われわれの報告や政策提言などの一部は、BBCペルシア語放送にも伝達され、同放送局を通じて実行された」と述べた。

 ラッサーム被告は英大使館内で行われていた政治会議について指摘した上で、「選挙の4ヶ月ほど前から、このことについての会議が頻繁に行われるようになった。必要は情報は、連絡員や政治活動家たち、特に改革派を通じて収集していた。また、様々な州への出張も行われ、投票率や各地の傾向などがまとめられた」と明かした。

〔中略〕

 同被告はまた、英大使館のオルコス〔?〕政務担当一等書記官が〔各候補の〕選挙本部に出入りしていたことを明らかにし、「同氏はツーリストとして、制約を課せられることなく、ラシュトやゴムといった町を訪問し、身元不明の人物としてムーサヴィー氏やアフマディーネジャード氏の選挙事務所を訪れていた。しかしテヘランでは、もっぱらムーサヴィー氏の選挙本部に行き、同氏の顧問や宣伝担当者らと会合を持った。われわれは、国民信頼党の党員らとも面会を行った。こうした接触は、その後の暴動の時にも維持された」と語った。

 同被告は、選挙結果は英大使館にとって予想外のものだったことを明らかにし、「ロンドンでの報告は、不正の可能性を強調するものだった。大使館の指示で、現地職員や一部の外交官が抗議集会に参加した。例えば、ホルダード月24日〔6月14日〕のモタッハリー通りでの衝突では、英大使館一等書記官が参加し、プレス担当の三等書記官はシャリーアティー通りでの抗議集会に、政務担当の三等書記官は革命通りでのデモ行進に参加した。さらにヴィザ部門の副〔領事〕は抗議集会に参加し、その様子を写真に収めた」と指摘した。

 同被告はさらに、英大使館のドミニク三等書記官が〔ムーサヴィー陣営のシンボルカラーである〕緑色の服を着て、集会参加者らに混じり、彼らとともに違法デモに参加したことも明らかにした。

 ラッサーム被告によると、英大使は毎朝9時に政務班のメンバーらと会議を行い、最新情報をまとめていた。同大使は8つの質問項目を提示し、職員らに市民らがこれらの質問にどう回答するのか、会話を通じて探るよう求めたという。

 ラッサーム被告はこれらの質問項目を、次のように列挙した。「街中ではどんなことが起きているか、各派は最高指導者の金曜礼拝での演説に対してどのように感じているか、逮捕された人たちの氏名、地方での抗議集会の情報、抗議者たちは何をもって不正の根拠としているか、抗議をしている候補者たちの〔周辺にいる〕著名人らと面会〔できるか〕、デモ参加者たちは今後をどのように予想しているか、抗議者たちは最高指導者の命令にどれだけ従っているか」。

 ラッサーム被告によると、これらの質問に対する回答は、英外務省だけでなく、同省を通じてアメリカにも伝えられているという。同被告はその上で、「われわれが試みたのは、今回の選挙を体制が行動の変更を余儀なくされるか、ないしは体制全体が変わるかの、今後の転換点にすることだった」と強調した。

 ラッサーム被告は最後に、後悔の念を述べた上で、国家の安全を脅かした自らの行為を償う機会を与えてくれるよう、体制による寛大な措置を願い出た。ホセイン・ラッサーム被告の弁護士は、同被告が自供を行い、後悔の念を述べていることに触れつつ、「同氏には体制に害を与えるつもりは全くなかった。同氏の行動は、スパイ行為の範疇に入るものではない」と同被告を擁護した。

〔後略〕

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17179 )