ラーリージャーニー国会議長「キャッルービーの主張は全くのでたらめだ」
2009年08月13日付 Jam-e Jam 紙
強姦され殺害されたとして取りざたされているタラーネ・ムーサヴィーさんの写真(右)と、それを紹介するマコター下院議員(左)
強姦され殺害されたとして取りざたされているタラーネ・ムーサヴィーさんの写真(右)と、それを紹介するマコター下院議員(左)

【政治部】メフディー・キャッルービーがアクバル・ハーシェミー=ラフサンジャーニーへの書簡の中で繰り広げた主張に対し、アリー・ラーリージャーニー国会議長は国会真相究明部会の報告の一部に触れつつ、拘束者に対する性的な暴行の事実はなく、キャッルービーの主張は全くのでたらめだと明言した。

 数日前、メフディー・キャッルービー書簡の内容を調査することを約束していたアリー・ラーリージャーニー国会議長は、国会公開本会議での冒頭発言の中で、キャッルービー書簡の内容は世論を動揺させ、海外メディアの格好の注目の的となっていると指摘した上で、「この問題はきわめてセンシティブなものであることから、われわれは国会の真相究明部会に同問題の調査を依頼した。キャフリーザク及びエヴィーンの両拘置所について行われた正確かつ包括的な調査の結果、性的な暴行・強姦を示すような事例はまったく見つからなかった」と述べた。

 同氏は続けて、メフディー・キャッルービーに向けて「性的な暴行や強姦の事実を示すような証言や証拠、資料などがあるなら、真剣に調査を行うので、国会議長まで知らせてほしい」と呼びかけた。

 ラーリージャーニーはまた、自身も個人的に別のチャンネルを通じてこの問題を調査したことを明らかにし、「問題の重要性に鑑み、私も調べてみた。しかし結論は、国会の特別部会の報告で述べられていたことと同じだ」とし、さらに「ごらんの通り、拘束者らに対して性的な暴行があった事実はない。事実無根のことで、騒ぎが起きているにすぎない」と続けた。

 ラーリージャーニーはさらに、「この問題は、政治関係者への一種の警鐘となるべき事例だ。世論に疑いを抱かせる可能性がある場合は、外国人に格好の口実を与えることのないよう、十分な調査をする前に疑惑をメディアに持ち込むべきではないということだ」と語った。

 国会議長はその上で、「もちろん、選挙後の事件をめぐって、キャフリーザク拘置所では過ちが起きたことも事実だ。調査が行われた結果、最高指導者の指示によって、違反者は処罰された。しかしこの種〔=性的暴行〕の違反行為は、まったくない」と指摘した。

 ラーリージャーニーは、この問題について依然として調査が行われているとしつつ、「このことは、イスラーム共和国体制が自浄能力を持っていることを示すものだ。最高指導者は明敏かつ公正なる視点をもって、暴徒たちに相対したように、拘置所での違反者たちを処罰するよう命じられた。国会は〔最高指導者の〕この賢明なる行動に感謝する」と続けた。

キャッルービーが指摘するような事例は報告されていない

 昨日の国会公開本会議終了後、国会国家安全保障外交政策委員会のアラーオッディーン・ボルージェルディー委員長はメフディー・キャッルービーの主張への反応として、受刑者・拘束者に対して性倫理に反するような悪しき対応が行われたとの報告は、今日まで同委員会の特別部会には寄せられていないと強調、同部会のメンバーらが受刑者らと行った面談でも、キャッルービーが指摘するような事例についての証言は出てこなかったと述べた。

 同氏はその上で、「この〔キャッルービーの〕手紙は、受け容れ可能な合理的論拠にもとづくものではない」と付け加えた。

 ボルージェルディーはまた、テヘラン検察庁と手紙の中身について話し合ったことに触れ、次のように語った。「この手紙で指摘されている体制を中傷するような内容について、〔テヘラン検察庁の〕モルタザヴィー氏が私に明かしてくれたところによれば、この手紙の根拠はエッテマーデ・メッリー紙事務所に寄せられた様々な人からの電話連絡に基づくものだったと、メフディー・キャッルービーの息子ホセイン・キャッルービーは証言しているという」。

 「もしこの手紙の根本部分が、このようなもの〔人々からの電話連絡〕だとするならば、残念なことに手紙の根拠は極めて薄弱だと言わざるを得ない。なぜなら、〔単なる電話連絡だというのであれば〕誰でも新聞社その他の機関に連絡して、好きなことを言えるからだ」。

 ボルージェルディーはこのように述べ、さらに「この種の事柄を手紙に書き直し、外国メディアの悪用に供するようなことは、すべきではない」と指摘した。

 その一方でボルージェルディーは、この問題は現在も調査中であり、もしキャッルービー氏が何らかの証拠資料をもっているというのであれば、国会はそれを調査する用意があると強調した。

伝聞を声明として公表すべきではない

 他方、闘う宗教指導者協会中央評議会委員のホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーン・ショジューニーは、メフディー・キャッルービーには政治問題を分析する能力などないと指摘した上で、「キャッルービーには、日々の問題について分析してくれる補佐役の人間が数名いる。彼はこのような補佐役の人間の主張を鵜呑みにして、〔単なる〕伝聞を〔正式な〕声明文にしてしまったのであろう」と述べた。

 ファールス通信の報道によると、同氏はハーシェミー=ラフサンジャーニーに宛てたキャッルービーの手紙について、証拠となるものが何らないまま、伝聞を引用して問題を主張するようなやり方は、宗教指導者にもとる行動だと指摘、「キャッルービー氏は自らの主張を証明するべきだ。彼の手紙は、イスラーム革命の敵どもを喜ばせるものであり、イスラーム革命に打撃を与えるものだからだ」と述べた。

 「キャッルービー氏が殉教者財団の総裁だった頃、私たちは財団のビルから身の毛もよだつような話を聞いたことがある。しかしそれを証明するだけの証拠がなかったので、そのことについてはわれわれもことさら指摘することなく、その後しばらくして問題の調査を行った」。

 同氏はこのように述べた上で、「残念なことに、キャッルービー氏は調査をすることなく、滑稽なことを言い立てている。これは一宗教指導者としても、論理的な議論を行う言論人としても、あるべき姿勢ではない」と批判した。

大学生イスラーム協会、キャッルービーに公開書簡

 これに先立ち、全国10大学の大学生イスラーム協会はメフディー・キャッルービー宛の公開書簡を発表、同氏がハーシェミー=ラフサンジャーニーに宛てた手紙に反発する姿勢を示した。

 シャリーフ工科大学、シーラーズ大学、シャヒード・ベヘシュティー医科大学、セムナーン大学、テヘラン大学、シャーヘド大学、エスファハーン大学、オルーミーイェ大学、シャフレ・コルド医科大学、及びバーボル医科大学の各大学のイスラーム協会は声明の中で、キャッルービーが逮捕者らへの処遇について抗議していることに関し、同氏が殉教者財団の総裁だった頃、同財団の付属〔?〕として設立された「殉教者財団刑務所」について言及、さらにシャフラーム・ジャザーイェリーから同氏が3億〔トマーン=約3000万円〕を受け取っていたことを指摘した上で、同氏が亡きイマーム〔・ホメイニー〕の忠告・警告を思い出すことに、期待を表明した。

 また、「在日大学生イスラーム協会」も、キャッルービーがハーシェミー=ラフサンジャーニーに最近宛てた手紙に対し声明を発表、「革命が一部の特権階級の過ちによって揺らぐほど軟弱なものではないということは、すでに証明済みだ」と強調した。

〔中略〕

もし自分の主張を証明できなければ、キャッルービーは訴追されるべきだ

 国会の「憲法90条委員会」の副委員長は、もし自らの主張を証明できなければ、キャッルービーは訴追され、罰を受けるべきだと指摘した上で、「われわれはいかなる告発も、証拠に基づくものでなければならないと確信している。この証拠は、紙の上に書かれたものであっても、〔証言者として〕適性を有した人物の証言であっても構わない」と強調した。

 モハンマド・エブラーヒーム・ネクーナームはイラン国営通信とのインタビューの中で、「われわれはみな、体制の裏側には何ら隠し事はないことを知っている」とした上で、「キャッルービーは、証拠となる資料を提出すべきだ。もしそれができないのであれば、〔無根拠なまま〕この問題を公にし、〔体制を〕誹謗したとして、彼はプレス法及び司法法にもとづき、訴追され裁きを受けるべきだ」と述べた。

 同氏はその上で、「この誹謗中傷の罪に対する刑罰は、禁固刑および鞭打ち刑である」と指摘した。

タラーネ・ムーサヴィーはどこに?

 ガバー・モスクでの集会で逮捕され、その後強姦され、遺体をガズヴィーン近郊の沙漠に焼き捨てられたとして、ここ数日間、タラーネ・ムーサヴィーという女性の写真が多くのウェブサイトで取り上げられている。

 テレビ〔=イラン国営放送?〕はタラーネ・ムーサヴィーの家族の元を訪れ、写真を見せた上で、この件について話を聞いた。すると、タラーネ・ムーサヴィーの母親と姉妹は、娘は一年半前からカナダに在住で、〔つい先日も〕テレビカメラの前で携帯電話を通して話をしたばかりだと証言した。

 アメリカ上院〔※下院の誤り〕のマコター議員はタラーネ・ムーサヴィーの写真を提示しながら、上院議員らに対して、彼女は強姦され殺害されたとする大いなるウソを開陳し、〔アメリカ〕国内の単細胞どもの企てを完成させようと試みている。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17219 )