中国、イラン経済を支配―イラン人家庭のにんにく・塩から礼拝用の敷物・石まで 
2009年10月20日付 Hayat-e Now 紙


【経済部】イラン経済における中国のプレゼンスが高まるにつれ、興味深い現象が起きている。近年、中国のプレゼンスが国内経済のあらゆる分野に自らの影を拡大しているのだ。

 マフムード・アフマディーネジャード大統領はかつて、地方訪問の一環のなかで、「国内のインフレを抑制するためには、輸入を活用しなくてはいけない」と述べたことがある。しかし、第9期政権〔2005~2009年〕が輸入分野で講じたこの政策は、中国製品のイランへの全面進出を許す状況を作り出してしまった。

 この政策が実行される前までは、靴やカバン、衣料品といった分野でのみ、イラン人は「中国製」を愛用していたものだが、いまやイランならではの必需品である礼拝用の敷物・数珠・石、さらには国旗までをも、中国人が生産しているのだ。

 勤勉な東洋人たちは、これらの製品のみで満足することなく、今度は、我々の伝統産品にさえ手を出している。中国製にんにく・塩がイランの食卓に進出する事態にまでなっているのだ。

 中国人はここにいたってなおも、イランへの製品輸出では飽き足らないようで、イランの規格を証明する証明印が中国によって偽造されているとの疑惑が、しばらく前から経済界で持ち上がっているのだ。

 こうした中国製品の圧倒的シェア、イラン人生産者たちの破産、そして数千もの雇用機会の喪失は、取り返しのつかない損害をイラン経済全体に確実に与えている。この損害はときに、人々の怒りを引き起こし、イランでの中国の政治的・経済的活動について、マイナスのイメージを世論に与えている。

中国、石油・天然ガス部門にも進出

 中国の影が国内重要産業にも忍び寄るようになってから、しばらく経つ。中国はイランの石油・天然ガス部門に進出し、石油をめぐる重要な協定を手にしてきたが、このような動きは常に専門家たちの批判の目にさらされてきた。

 専門家たちがみるところ、イランの石油・天然ガス部門に華々しく進出するのに必要とされる知識力・技術力は、基本的に中国にはないという。こうした批判が昂じて、〔石油省次官の〕アクバル・トルカーン氏は「中国は、イランのお金で〔=イランとの貿易で得た資金で〕我々の石油協定の資金を調達しているにすぎない」とまで述べている。

 国際的な制裁と機を見るに敏な中国のしたたかさが、中国のイラン進出を許す状況を生み出しているようにみえる。もちろん、イラン側も反欧米的な政策を実施したり、中国のような国々に近づいたりすることで、中国が好機を活用する際の環境作りに一役買っているとも言える。

 一部の石油関係者たちは、中国には〔油田の開発などの〕上流部門での活動実績があるので、〔天然資源開発〕プロジェクトを実行する技術力が一定程度あるとの見方を示しているが、しかし重要な点は、中国人業者・技術者たちにはイラン人業者と比べて特段優秀な技術があるわけではまったくない、ということである。

カスピ海のキャビア生産も中国人の手に

 衣料品、及び石油・天然ガス産業に加えて、中国はイラン産キャビアをも手に入れている。マーザンダラーン州漁業協会の代表は、イランのキャビア生産活動の現状について、次のように述べている。「イランでのキャビアの乱獲と密漁のせいで、この貴重な産品の生産活動は崩壊寸前だった。またギーラーン州とマーザンダラーン州の両州のキャビア養殖業者に対する保護も、しっかりとしたものではなかった。〔そんな折〕中国はカスピ海から仕入れたチョウザメの稚魚を使って、チョウザメの繁殖に乗り出した。予測によると、今後10年間で〔現在中国が有している?〕世界シェアの4倍に当たるおよそ6,000トンのキャビアが〔中国で〕生産されるだろう」。

 中国は、イランのあらゆる産業に進出しようという野望があるようだ。

〔後略〕

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( 翻訳者:清水悠史 )
( 記事ID:17769 )