米下院、対イラン・ソフト戦争用の来年度予算として5500万ドルを可決
2009年10月28日付 Iran 紙

【政治部】米下院は敵対的な措置として、対イラン・ソフト戦争用に5500万ドルを来年(2010年)度予算に割り当てることを決定した。

 ファールス通信の報道によると、
・イランへの影響力行使、
・反イラン・サイトに対する〔イラン当局による〕フィルタリングへの対抗、
・イランで検閲の被害にあった人物に対する〔反体制運動への〕扇動、
・ソフトな体制転覆と〔反体制的な〕ウェブ・ネットワークの構築を図るべく、反体制派のイラン人に対して電子教育を施すこと、
・〔反体制的な〕情報発信用のウェブサイトの立ち上げに必要とされるメディア・コンピュータ教育を提供すること、
などを目的として、5500万ドルの予算を割り当てることが、米下院軍事委員会によって可決された。

 「イラン検閲犠牲者法」(The Victims of Iranian Censorship (VOICE) Act)と名付けられたこの法案は、米国防省国防予算法案の一部で、同法案の第1261条から1266条までにあたる。

 この法律では、計5500万ドルの予算が国務省に割り当てられている。
〔※「2010年度国防予算法」によれば、5500万ドルのうち、国務省に割り当てられたのは下記「3.」の500万ドルのみであり、3000万ドルは独立した政府機関である「米放送管理委員会」(Broadcasting Board of Governors)に、2000万ドルは米財務省内に設置された「イラン人電子教育・交流・メディアファンド」(Iranian Electronic Education, Exchange, and Media Fund)に割り当てられている〕。

 内訳は以下の通り。
 1.イラン全般を標的とするオンライン活動の活発化と資本増強のために、3000万ドルを「放送管理委員会」に割り当てる。
〔※米下院が可決した「2010年度国防予算法」(National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2010)によると、1500万ドルを「米放送管理委員会」の「国際放送事業ファンド」(International Broadcasting Operations Fund)に、また1500万ドルを同委員会の「放送資本改善ファンド」(Broadcasting Capital Improvements Fund)に割り当てる、と書かれている〕

 2.2000万ドルを、イラン政府による同国内のインターネットに対する妨害・検閲・監視に対抗することを目的として、「メディア、相互交流、及びイラン人の電子教育のための新しい予算」に充当する。

 3.500万ドルを、「イランにおける人権状況、特に大統領選後の混乱についての情報のドキュメント化、収集、発信」のために、国務省に割り当てる。

 同法の第1262条は3項からなっており、イラン人の国外ペルシア語放送ネットワークへの接触を拡大させ、ラジオ・テレビ・インターネット・携帯電話・ショートメッセージサービス・その他マスコミュニケーション機器を通じて情報を発信することを目的に、1500万ドルを割り当てる内容となっている。

 米下院軍事委員会はまた、これとは別に同条第2項で、ラジオ・ファルダーやVOA(ヴォイス・オブ・アメリカ)のペルシア語ニュースネットワークの配信能力を向上させるために、1500万ドルを割り当てることを可決している。妨害電波への対抗、短波・中波放送の追加や衛星放送・インターネットの活用、(フィルター破りのための)プロキシー・サーバの増強、検閲を破り、ラジオ・ファルダーやペルシア語ニュースネットワークのウェブサイトへのアクセス制限に対抗するためのソフトウェア開発などが、その具体的内容だ。また同予算には、携帯電話から送られるショートメッセージの送信システム切断に対抗するための技術開発も盛り込まれている。
〔※同法には、「ショートメッセージの送信システム切断」ではなく、「SMSメッセージのブロックに対抗するための技術の開発」と書かれている〕

〔後略〕



「2010年度国防予算法」(National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2010)の正しい内容は、こちらをご参照ください。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17787 )