貸す?貸さない?トプカプ宮殿の金の玉座をめぐる博物館長間の争い
2009年11月02日付 Radikal 紙

サバンジュ博物館のナザン・オルチェル館長は、トプカプ宮殿博物館にある金の玉座を出展したいと申請したが許可を得られず、これがトプカプ宮殿博物館イルベル・オルタイル館長による妬みによるものと、非難した。オルタイル館長は、オルチェル館長をミッリエト紙のコラムで厳しく批判した。「大事に扱ってくれるのかどうか、疑っているのだ」と。

2009年文化・芸術大賞にふさわしいとされたサバンジュ博物館のナザン・オルチェル館長は、イスタンブルの魅力を伝えるパリでの展覧会用に、トプカプ宮殿博物館に金の玉座を求めた。しかしオルチェル館長は許可を得られなかった。オルチェル館長は、金の玉座をパリへ持って行けなくなり、トプカプ宮殿博物館のイルベル・オルタイル館長にこの責任があるとし、妬みゆえに玉座を渡さなかったのだ、と主張した。一方、トルコ史の教授であるイルベイ・オルタイル館長は「大事に扱ってくれるか疑っている」ために玉座を渡さなかったと話した。

■ この展示会を妨害するとわかっていたのだが

 ナザン・オルチェル館長がキュレーター役を務めるグラン・パレにおける展示会「ビザンツからイスタンブルへ」は、10月9日、ニコラ・サルコジ仏大統領とアブドゥッラー・ギュル大統領の両者により開幕された。展示会は2010年1月25日までを予定している。

本紙のアイシェギュル・ソンメズが、イスタンブルの800年の冒険を464の作品で紹介した展示会についてサバンジュ博物館館長のナザン・オルチェル氏と現地報告を行い、10月26日に放送された。
アイシェギュル・ソンメズ氏は現地報告で「トルコでは官僚制の弊害はひどくはないようです。オスマン時代のコーナーに出品したトプカプ宮殿はおそらく問題を引き起こさなかったみたいです。でもオルタイル氏はお遊び相手ですが」と話した。

ナザン・オルチェル館長はこれに対して以下のように語り、オルタイル氏への不満を述べた。
「ねたんでいるし、それをあからさまにしている。オルタイル氏は個人的に、『この展示会を妨害するとわかっていた』と言ったのだ…。トプカプは一番やっかいだった。オルタイル氏らは、望んだ一連のものを渡してくれなかったのだ。この玉座は16世紀のものだ。玉座は必要だった。イスタンブルは、国政の場所であった。一方で、ビザンツ時代には貴金属商や芸術家の集まるところであり、オスマン帝国時代も変わることはなかった。玉座は、ローマ帝国ののち国政を担ったトプカプ宮殿自身を説明するのと同様に、こういった技工も継続していた様を示すはずであった」とオルタイル館長を非難した。
この言葉は議論を生んだ。

■ 市場でもあるまいし

 イルベル・オルタイル館長は、トルコ・イスラム作品博物館館長をしていた時、スルタン・アフメト地区にあるイブラヒム・パシャ宮殿を統括したため「執事女史」と呼ばれたオルチェル氏を「新聞紙上にうわさを書かないでください。オルチェル氏の性質を私程誰も語れませんが、友達として抱けない人です」と言った。

オルタイル館長は、返答をミッリエト紙の日曜版コラムに載せた:
この金の玉座は観覧車のようにあらゆる展示会に出すものではない。

オルタイル館長は「よく考えないで発言をする友人へ」という見出しの記事で「どれほどの友人かわからない」としたオルチェル氏をヨーロッパ一流の博物館館長であると記した。

オルタイル館長は、ここ20年間でトプカプ美術館からフランスに4度美術品が運ばれたとし、これ以前に催されたパリのヴェルサイユ展示会に出展された金の玉座の木製の部分が腐食したことや、ショーケースの湿度調整がきかなかったために写本が破損を受けてしまったと話した。

同館長は、フィリズ・チャーマン前館長の要請をうけて展示会に再び美術品を出展したとし、「今回ルーブル美術館の人々とともに、オルチェル氏から確約を得ました。実のところ、トプカプが出品した諸品がルーブルとグラン・パレ双方からどのように戻ってくるか、気がかりです。どうか今回は無傷で戻ってきてほしい」と話した。
オルタイル館長の記事では以下の部分が目立った。

■ クレムリン美術館の人々と相談しなさい

・貸したものをうまく展示しますように。展示会が成功することを願っている。
・グラン・パレの展示会場にあるオスマン時代のコーナーでマグリブ音楽を流しているが、これは変えてほしい。
・なにをなんのために妬んでいようか、今後博物館の人々を私が妬むとでも。
・これ程のエゴイズムはヨーロッパ・アジアの博物館関係者に相応しくない。これらはあいにくアメリカ的な誇張の産物だ。
・ここ20年間、一部芸術史家は着任するや否や各地で展示会を催すのを有能さと考えている。
・旧世界の博物館関係者は、扱う歴史と国の精神的豊かさに敬意表さねばならない。ヨーロッパとロシアの博物館の(作品の)扱いでは展示方法同様に慎重な扱いが大切である。オルチェル氏はクレムリン博物館関係者などと相談してみるべきだ。

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( 翻訳者:木村納菜 )
( 記事ID:17793 )