トルコ、サウスパールス・ガス田開発でイランと協議:ナブッコへのガス売却も
2009年11月11日付 Mardomsalari 紙

サウスパールス・ガス田フェーズ22~24開発契約をめぐる最終合意を、本年アーザル月中旬〔西暦12月初旬〕までに取りまとめることを柱としたイラン=トルコ・ガス交渉の新ラウンドが、トルコの専門家チームのイラン訪問とともに開始される予定だ。

 メフル通信の報道によると、トルコ側からはトルコ石油株式会社(TPAO)〔Türkiye Petrolleri Anonim Ortaklığı=Turkish Petroleum Corporation〕やボタシュ〔BOTAŞ Petroleum Pipeline Corporation〕の専門家、トルコ・エネルギー省・外務省の代表らが、イラン側からはイラン国営石油公社の代表らが参加して行われるこの交渉では、サウスパールス・ガス田フェーズ22、23、及び24の開発に必要な投資額、ならびに開発期間について話し合いが行われるという。

 トルコのタネル・ユルドゥズ石油エネルギー相の最近のイラン訪問を受け、サウスパールス・ガス田3フェーズの開発計画実施をめぐる契約締結の最終期限は、イラン石油省の措置により3ヶ月間延長されていた。

 メフル通信によると、トルコのアクシャム紙は最近の報道の中で、「イラン=トルコ間のガス合意が達成されれば、サウスパールス・ガス田3フェーズの開発が始動し、最終的に西暦2013年末までに完了することが予想される」との見通しを伝えているという。

 同報道によると、イラン・トルコ両政府間でこれまでに得られた合意では、サウスパールス・ガス田フェーズ22~24で生産されたガスの50%が、パイプラインを通ってバーザルガーン国境から直接トルコ側に輸出される予定だという。

 また、トルコ政府はこの50%の取り分のうち一部を国内消費用に回し、余剰分をナブッコ・パイプライン(カスピ海の天然ガスをヨーロッパに輸送するパイプライン)用に利用することを考えている。

 サウスパールス・ガス田フェーズ22~24の開発計画が完了すれば、年間約340~350億立方メートルの天然ガスが直接トルコ側に送られることが見込まれている。

 イランとトルコは昨年アーバーン月(西暦2008年11月)、フェーズ22~24で生産された天然ガスの50%をトルコに売却する内容の合意文書に調印した。この合意文書では、イラン経由でのトルクメニスタン産ガスのトルコへの輸送や、トルコ経由でのイラン産ガスのヨーロッパへの輸送(年間350億立方メートル)、〔ペルシア湾岸の〕アサルーイェから〔トルコ国境の〕バーザルガーンまでのガス輸送パイプラインの敷設(全長約1850キロメートル)などでも合意が得られている。

 サウスパールス・ガス田フェーズ22・23・24の開発計画は、日量4千万立方メートルの精製ガス、年間75万トンのエタンや80万トンの液化天然ガスの回収、日量5万7千バレルの天然ガス液、及び300トンの硫黄の生産を目指している。

 このサウスパールス・ガス田3フェーズの開発計画は、バイバック方式を取りながら、契約額の最低51%までイラン側請負業者・製造業者を活用するEPPSC(計画・調達・供給・製造・始動)方式によって実施される予定である。



※訳注:EPPSCは、恐らく「EPSCC」(engineering,procurement, supply, construction and commissioning)の誤りと思われる。「バイバック」とは、イラン国営石油公社の「下請け」として、外国企業が自ら調達した資金で油田・ガス田開発を行い、開発の結果得られた生産物から、一定期間内にそのコストを回収するという方式で、油田などの国有化を定めた憲法第44条に回避しつつ、外資を油田・ガス田開発に呼び込むために考案された。しかし外資にとってはコストが高く、見返りが少ないことから、外資導入は期待ほどには進まなかった。そこで、イラン側の関与を大きくし、外資のリスクを減らす方法として、「EPSCC」方式が導入されたと考えられる。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17856 )