デニス・ロスを解任へと追いやったのは誰か:米国務省人事にイラン人の影の手
2009年11月21日付 Mardomsalari 紙

ウェブサイト「アメリカン・シンカー」(http://americanthinker.com/)は、デニス・ロス(Dennis Ross)氏が米国務省のイラン・デスクから外され、ジョン・リンバート(John Limbert)氏がその後任となった人事について、リポートを掲載している。
〔※ジョン・リンバート氏はペルシア語が極めて堪能なイラン専門家で、1979年の米大使館占拠事件で人質となった米外交官の一人〕

 このリポートは、イラン系アメリカ人評議会(NIAC=National Iranian American Council)がこの人事に関与しており、デニス・ロス氏が米国務省イラン・デスクから外されたのは、オバマ政権が掲げる対イラン「関与」政策をめぐり、同評議会のメンバーとロス氏との間で対立が生じたためではないかと指摘している。

 このリポートはまた、イラン・米関係の正常化を唱え、イラン問題でのオバマ大統領の相談役として極めて重要な役割を担っているリー・ハミルトン(Lee Hamilton)元下院議員が、このことに陰に陽に関わっているとし、デニス・ロス氏の解任はアメリカにおけるイラン・ロビーの活動と無関係ではないだろうとも指摘している。

 アメリカン・シンカーは、ハミルトン氏がNIACロビーの有力者であるトリタ・パールスィー(Trita Parsi)氏やスィヤーマク・ナマーズィー(Siamak Namazi)氏と近い関係にあり、デニス・ロス氏が対イラン構想で同国に対して得点を与えるような政策に批判的である(ロス氏はむしろ、イランに対して政治的・経済的圧力を強め、制裁を強化する政策を好んできた)ことから、ハミルトン氏がロス氏の交替をオバマ大統領やその他の米国務省高官に進言した可能性があると報告している。
〔※訳注:トリタ・パールスィー氏はNIACの創設者・会長で、国際関係の専門家。著書Treacherous Alliances: The Secret Dealings of Israel, Iran, and the United Statesが有名。スィヤーマク・ナマーズィー氏はテヘラン生まれの実業家で、イラン投資コンサルタント業を営んでいる人物〕

 このリポートには、次のようにある。「ハミルトン氏は米下院のイラク研究グループで、ジェームズ・ベーカー元米国務長官らとともに、2006年に『ベーカー・ハミルトン報告』の名で知られる報告書を作成した人物である。この報告書の中で、イラク情勢の安定化のためには、イランとの交渉を開始し、イラクにおけるイランの影響力を利用するべきとの意見が、ブッシュ政権に対し勧告された。この報告書が提出されると、ブッシュ政権のイランに対する態度が軟化し、核問題をめぐる対イラン制裁・圧力政策は、ブッシュ政権の終わりの2年で事実上、無実化した」。

 アメリカン・シンカーはまた、「〔‥‥〕ハミルトン氏とNIACロビーとの関係は緊密で、同氏の発言や論文はすべて、すぐにNIACのウェブサイトに掲載されるほどだ」とも記している。

 ハミルトン氏は、米大統領選挙でのバラク・オバマ氏のキャンペーン活動で外交政策顧問を担った人物の一人で、同氏は依然、イラン問題をはじめとする中東問題でオバマ大統領の相談役となっていると、多くのワシントン関係筋は見ている。

 同氏はワシントンにあるウッドロー・ウィルソン・センターの所長で、同センターのイラン問題専門家の一人であったハーレ・エスファンディヤーリー氏がイランでスパイ容疑で逮捕された時にも、イラン最高指導者事務所に書簡を送り、エスファンディヤーリー氏の釈放を請願したことがある。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:17958 )