イスタンブルの歴史的ハマム(トルコ風呂)、売り出し中
2010年01月08日付 Radikal 紙


イスタンブルで最も古いハマム(トルコ風呂)として知られるバラト地区のチャヴシュ・ハマムと、建築家(ミーマール)スィナンが建築したチニリ(「タイルのある」の意)・ハマムが売りに出された。

イスタンブルで最も歴史あるハマムとして知られるバラト地区のチャヴシュ・ハマムと、ゼイレキ地区のチニリ・ハマム(バルバロス(赤ひげ)・ハイレッティン・パシャが建築家スィナンに命じて造らせたとされる)は、若い世代のオーナーたちが直面している経営難と、ハマム文化の衰退により売りに出された。海軍提督バルバロス・ハイレッティン・パシャの寄進財産として、ベシクタシュ地区のマドラサと墓廟の維持のために建てられ、地名からゼリレキ・チニリ・ハマムとして呼ばれるようになったこのハマムは、1833年の火事のあと売りに出され、個人の所有物となった。オスマン様式のハマムの最も重要な建造物のひとつであるこの建物は、女性用と男性用のハマムが別々の二重タイプとして設計された。正方形のハマムの中央の休憩室の真ん中には大理石の噴水つきのプールがある。このハマムの最近の持ち主は、チェティン・カラトゥンであった。

カラトゥンが長年経営し、死後は人に貸して営業してきたハマムは、長い年月の中でハマム文化が徐々に衰退していく世相を受け、昨年閉店した。フェルザン・オズペティキの映画『ハマム』の撮影も行われたゼイレキ・チニリ・ハマムの3世代目のオーナーであるギョクハン・カラトゥン氏は、ハマムの歴史は守られていると語り、観光地として利用できるとの考えを口にした。

「若い世代で、こうしたものの経営には不慣れなので、売りに出すことに決めました」と語るカラトゥンは、父も自分も、祖父が所有していたハマムとは関係のない仕事に就いているため、ハマムの経営に携わることはできず、そろそろ売ることに決めたと述べた。一族の一人、ウウル・アクシュは、ハマムが買われれば、ホテル、レストラン、博物館、あるいはハマムとして利用が出来るとし、価格についてはっきりとした数字を出せないが、相談に応じるつもりであると語った。

■バラト地区のチャヴシュ・ハマム

イスタンブルのもっとも古いハマムといわれ、バヤジット2世、または、メフメト2世の時代に作られたと言われるバラトのチャヴシュ・ハマムは、高い窓と、正方形の建物、大理石の内装、中にあるプール状の水溜めが人目を引く。ハマムは女性用と男性用の2つの部分から為る。バラト・チャヴシュ・ハマムの共同所有者の一人、サリヒ・アカル氏は、ハマムは祖父から引き継いだ財産であり、祖父の死後は人に貸して経営を続けていたと説明し、「建物の老朽化が進み、レストレーションも困難なこともあって、売りに出すことに決めた」と語っている。アカル氏は、ハマムの売却額として1500万ドルを希望し、ここの建物はどう利用されるべきか、という点に関しては、ハマムとして、観光客向けに利用できるだろうとコメントした。


■ハマム文化

アナトリア文化の重要な一部をなすハマムの文化は、シュメールの時代に生まれ、その後、歴史上のあらゆる文明の、文化の一部をなした。トルコ・ハマムはトルコ人の風呂の伝統が15世紀の後半、アナトリアのハマム文化と融合したことで誕生した。これにより、国のあちこちにハマムが造られた。17世紀には、イスタンブルだけで、約1500のハマムがあったといわれる。この時代、人々は「花嫁の儀」「花婿の儀」や「願掛けの儀」、「割礼の祝い」、「ハマムでの(姑による)嫁さがし」といった目的でハマムへ足を運んだ。

ハマムは、閉鎖的なオスマン社会において、喜びや楽しみの全てが行われる場所であった。男女別のハマムがないところでは、1つのハマムを、たいてい日中に女性が、早朝や夜中に男性が使用していた。トルコ文化の重要な一部をなすハマムでのくつろぎを求める人々にとって、特にイスタンブルのオスマン建築の香りを伝えるハマムは、地元の人々や外国人観光客の間で人気の高い場所のひとつとなっている。

■トルコのハマムは主に3つの部分から構成される

脱衣場:広いソファとその周りに区切られた台がある。風呂からあがった人はみな、この台に横になり、休む。

身体を洗う場所:休憩室(「冷室」)を通って中に入る。ここもいくつかの部分に分かれる。「クルナ・バシュ」と呼ばれる人々が別々に体を洗う場所;「ハルヴェト」と呼ばれる、閉じられた一人用 の小部屋;また上に乗って身体を伸ばし、汗をかくための「ギョベキ・タシュ(へその石)」。このギョベキ・タシュはハマムの大理石で覆われた床面より高く作られ、幾何学状の様々な形のものがある。

かまど(キュルハン):ハマムの下にある、火が焚かれている場所。炎と煙が大理石の床面の下にある特殊なパイプを通って壁のなかを通過し、「トゥテキリキ」という名の煙突からでていく。

トルコ・ハマムの特殊タームは、「キュルハン」(ハマムをあたため湯を沸かす閉鎖型の大きな炉)、「スジャク・ハルヴェト」(キュルハンのま上の小部屋)、ソウク・ハルヴェト(キュルハンから離れた比較的すずしいの小部屋)、ナトゥル(女性客の背中を流し、垢すりをする女性)、テッラク(ナトゥルの男性版)、ペシテマル(体を隠すために使ううすい綿布)、タクンヤ(ハマム用サンダル)。

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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:18223 )