国民教育省、『エヴリヤ・チェレビー旅行記』を「卑猥」表現理由に回収
2010年07月01日付 Hurriyet 紙

エヴリヤ・チェレビーの有名な「旅行記」のいくつかの章に「卑猥な表現」があるとして、回収すべきであるとの議論が起こっている。共和人民党(CHP)は国会質疑としてこの問題をトルコ大国民議会(TBMM)に提出する一方、「旅行記」の出版に取り組んでいたセイト・アリ・カフラマン氏は、「チェレビーの本には卑猥な表現は見当たりません」と語った。トルコ言語協会会長ハルク・アカルン氏も「そのような箇所は断じてありません」と話した。

■セファ・カプラン氏の話
ユネスコは来年(2011年)を「エヴリヤ・チェレビー年」として認定しました。チェレビーの生誕400周年を記念してのことです。欧州議会は、チェレビーを「21世紀の人類に影響を与えた最重要人物20人のうちの一人」であると宣言した。しかし、こうした流れと並行するかのように、国民教育省は「主要作品100選」に選ばれ、学生に推薦された『エヴリヤ・チェレビー旅行記選集』(メトロポール出版)の回収を要求しました。要求したのは、本を学校など教育機関に推薦した組織、つまり国民教育省です。理由は、信じられないことでありますが、「卑猥な表現」である。

■どうやって見つけたのか
ヤプ・クレディ出版社の10刊本の『旅行記』を、ユジェル・ダウリ氏とともに出版準備を進めていたセイト・アリ・カフラマン氏は、「何を卑猥と感じるかは、もちろん人によって異なりますが、エヴリヤ・チェレビーの作品に卑猥な個所などありません。(エヴリヤ・チェレビーは)訪れた国々の文化に関し情報を記述する中で、「知っておけば、困らないだろうと思って私は書いている。なのに、(この地では)こんな風にいって侮辱する・・・」といっているが、これらとて全く問題ない。ユネスコのエヴリヤ・チェレビー年を前に、このようなお節介をするとは本当に驚かされる」、と話した。

■非礼行為である
トルコ言語協会会長シュクリュ・ハルク・アカルン教授も、エヴリヤ・チェレビーの旅行記の中に卑猥な表現を探すなどばかげており、見つけるのは不可能であると言い、これは私達の文化的価値に対する非礼行為の新たなる一例となると語った。

■旅を、預言者よ
噂によると、エヴリヤ・チェレビーはある日、夢で預言者ムハンマドを見た。「とりなしを(Şefaat)、預言者よ」と言うところを、興奮して「旅(Seyahat)を、預言者よ」と言い、旅行許可をもらってしまった。そこでイスタンブルをはじめオスマン全土を放浪し、訪れた土地を多少の誇張を交えて見事に説明している。こうして、17世紀の傑作となった旅行記は、ひとつの文学作品であると同時に、歴史、言語、フォークロア、美術史、地形学、宗教史、スーフィズム史、そして地域史研究者にとって、基本的な史料となっている。

■これが卑猥といわれる文章
『エヴリヤ・チェレビー旅行記選集』の中の以下の箇所が卑猥だという。「スルタン・ムラト4世の御前に召しだされた、鼻のない子供の父親であるハジ・エンヴァルは、断食月の「カドルの夜(27日)」かバイラムの夜に、ビスミッラーと唱えないまま(シャハーダを唱えないまま)、子供がお前の妻のおなかに宿ったのか、と尋ねられた。するとその父親は、『神にかけて、血気盛んな時分に、興奮して我を忘れてクルバンバイラムの夜に、妻と寝床を共にしたとき、その時「ビスミッラー」と言うことを失念いたしました。体に震えを感じました。私たちは夢中になっていたようです。朝になって心が疲れた状態となっており、私はバイラムの礼拝をしませんでした。どうも、あの夜妻は身ごもったようです」。

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( 翻訳者:木村納菜 )
( 記事ID:19558 )