人種差別的な改正国籍法案をイスラエルのアラブ系議員が非難
2010年10月07日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イスラエル国会の2名のアラブ系議員、国籍法の改正が人種差別的であると表明

【占領下エルサレム】

2010年10月07日付『クドゥス・アラビー紙』(イギリス)HP1面

クネセト(イスラエル国会)の2名のアラブ系議員は木曜、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の国籍法改正案が、「民主主義的なユダヤ人国家としてのイスラエル」に忠誠を誓うことになるという点で人種主義的な改正であるという見解を示した。

ムハンマド・バラカ議員は、ネタニヤフ首相が冬期国会を開くにあたってその個人的思想と政府の思想とに沿った人種差別的な新法を準備しており、市民権[=国籍]に関する人種差別的な法改正を承認するつもりでいると述べた。

水曜の夕方、ネタニヤフ首相の事務所が出した声明によると、1950年に制定された国籍法の改正案に基づき、イスラエルの国籍を取得しようとする者は「民主主義的なユダヤ人国家としてのイスラエル」に忠誠を誓わなくてはならなくなるという。ネタニヤフ首相はこの改正案を日曜に開かれる閣議に提出する意思を固めている。
(中略)

イスラエルの市民権[=国籍]法は元々の条文も根本的に人種差別的であったが、最近の政府は次々と人種差別的な緊急措置を承認し、パレスチナ人がイスラエルの市民権を得ることを禁止するほか、様々な制約を課してきたのだとバラカ議員は断言する。また、「内務大臣が家族再結合の枠組みを適用してパレスチナ人への市民権付与を認める極めて稀なケースがあるが、今回の法改正はその極めて稀なケースにも影響しかねない。このことから、この法を承認する目的が政治的な嫌がらせであることは確かだ」と強調した。
(中略)

国民民主連合[ヘブライ語通称バラド、アラビア語通称アッ=タジャンムウ]の代表であるザハーリカ議員は、この法はアラブ人を標的にしており人種差別的であると述べた。「ユダヤ人国家はシオニズムの産物であり、新しい法律はそのシオニズムの犠牲者であるパレスチナ人にユダヤ人国家への忠誠を表明するよう押し付けている」として、宣誓の文言を『非民主的なユダヤ人国家としてのイスラエル』に変えるよう呼びかけた。さらに、イスラエルの人種差別的な法により引き裂かれた家族は数千に及ぶと明言し、今回の法改正はパレスチナ人の家族再結合[訳注:イスラエル国内のアラブ系市民(パレスチナ人)がヨルダン川西岸地区などに居住するパレスチナ人の結婚相手や家族を呼び寄せてイスラエル国籍を取得させるケースを意味する]を妨げる新たな試みであると述べた。

ザハーリカ議員は数千ものパレスチナ人がイスラエル国内で家族と一緒に生活するために滞在許可や市民権を要求してきたが、新たな条件は彼らを完全に締め出すものだと強調した。なぜなら問題は人種差別的な文言だけではなく、あらゆる手段で家族再結合を禁止しようとする意志だからである。
(中略)

あるイスラエル政府高官は水曜、フランス通信社に対して、政府が日曜に協議する予定の改正案によって、イスラエル人となることを希望する外国人移住者は「ユダヤ人のための民主主義国家としてのイスラエル」に忠誠を誓うことが義務付けられるようになると明かした。またその高官は、今回の改正法案はイスラエルに生まれ実際にイスラエル国籍を持つ人や、帰還法に基づいてやってきた離散ユダヤ人の移住者には当然のことながら関係がないと説明した。イスラエル国会で1950年に承認された帰還法は、すべての離散ユダヤ人にイスラエルへの移住と、自動的なイスラエル国籍取得を認めている。

ネタニヤフ首相は最近、現在凍結中のパレスチナとの和平交渉の間に、パレスチナ側が「ユダヤ人国家としてのイスラエル」を承認するよう求める方針であると公表している。それに対しパレスチナ側は、1948年のイスラエル建国に伴って自らの土地から追われ、あるいは逃げだした難民が帰還する権利を求めるパレスチナ側の要求と矛盾するイスラエル側のこうした要求を拒んでいる。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:秋山俊介 )
( 記事ID:20417 )