第3回カスピ海沿岸諸国首脳会議、開催される
2010年11月18日付 Jam-e Jam 紙

第3回カスピ海沿岸諸国首脳会議が、沿岸5カ国の首脳の出席により、本日バクーで始まった。この会議では、イラン、アゼルバイジャン、ロシア、カザフスタン、及びトルクメニスタンの各共和国が、カスピ海の法的地位をめぐる諸問題について意見交換がおこなわれる他、カスピ海治安協力協定の調印もなされる予定だ。

 第1回カスピ海沿岸諸国首脳会議は、1381年オルディーベヘシュト月〔西暦2002年4/5月〕、サパルムラト・ニヤゾフ・トルクメニスタン大統領(当時)の提案により、沿岸諸国の首脳がアシガバードに集結して、開催された。

 第2回首脳会議は、1386年〔西暦2007年〕にテヘランで開かれ、カスピ海環境保護協定の調印に至った。また、カスピ海治安問題国際条約の原案が提出され、アゼルバイジャンが実行責任国となった。

 そして、昨年バクーで開催された沿岸5カ国外務次官会議でこの案が検討され、テロリズム、武器や麻薬の密輸、組織犯罪、不法移民などの諸問題で5カ国が共闘していくことなどを盛り込んだ、カスピ海沿岸地域の治安確立を軸とした総則が合意された。

 バクーでの今回の会議では、カスピ海5カ国による協力協定の調印が期待されている。

イラン、アゼルバイジャンの共通見解

 今回の会議に参加するためにバクーを訪れたマフムード・アフマディーネジャード大統領は、アゼルバイジャン大統領と会談をおこなった。

 イラン国営放送報道センターによると、アフマディーネジャード大統領とイルハム・アリエフ・アゼルバイジャン大統領は個別会談終了後、両国の高官団による協議で、両国が連帯し意見を一致させることが、地域的な諸問題の解決と治安の強化・安定化に影響があるとの認識を示した。

 アフマディーネジャード大統領はこの会議で、両国の関係の拡大には何ら障害は見当たらないと強調した上で、「我が国とアゼルバイジャンは、地域的・国際的な分野で、共通の見解を有している。あらゆる国際的集まりでも、ともに寄り添う必要がある」と述べた。

 アフマディーネジャード大統領は、イランとアゼルバイジャンの関係はカスピ海沿岸地域の安定化の軸であるとの見解を示し、「両国の〔良好な〕関係は、両国にとってだけではなく、この地域の国々全体の利益につながる」と続けた。

 同大統領は、両国の協力は加速しつつあり、あらゆる可能性を活用して今ある関係の拡大を図っていくべきだと述べた上で、実現した合意が速やかに実行に移され、両国関係の規模が何倍にもなることに、期待を表明した。

 また大統領は、次のように述べた。「イランとアゼルバイジャン両国民は今後も常に歩みを共にするであろうということ、そしていかなる事態も、両国間の関係にひびを入れることはできないということを、世界は理解すべきである」。

 イルハム・アリエフ・アゼルバイジャン大統領もこの会議で、二国間の関係を友情と兄弟愛に基づくものであるとの認識を示し、以下のように述べた。「両国は、あらゆる事項において共通の見解を有しており、二国間、地域間、および国際関係のあらゆる問題において、立場を共にしている」。

 また同氏は、二国間関係は常に拡大の方向に向かっているとし、次のように続けた。「政治、経済、治安、運輸などにおいて両国の関係が拡大することは、両国にとっても、また地域の国々にとっても、きわめて重要なことである」。

 同大統領は次のように加えた。「イランとアゼルバイジャンの友好と連帯は、地域問題の解決にとって非常に重要である。両国の関係拡大を通して、われわれは地域における自らの役割を増大させるつもりである」。

 同大統領はさらに、アフマディーネジャード大統領の訪問はきわめて有意義かつ実りあるものだとし、「今回の訪問は、この地域と世界に向けて新たなメッセージを伝えるものとなるだろう。イランとアゼルバイジャンの連携は、地域の諸問題解決に寄与するであろう」と述べた。

イランとアゼルバイジャン両国の戦略的な決意

 他方イラン大統領は、あらゆる分野での関係拡大に向けて、イランとアゼルバイジャン両国が戦略的に決意していることを明かした。

 アフマディーネジャード大統領はアゼルバイジャン大統領との共同記者会見において、地域・国際問題の全領域で両国が共通の立場・見解を有していることについて言及し、「地域の安定維持における両国の役割は、他に替えがたいものであり、突出した重要性を有している」と語った。

 同大統領は、現在のイランとアゼルバイジャンの二国間関係はきわめて良好なレベルにあるとしたうえで、以下のように述べた。「両国関係が現在より拡大する余地は、まだまだ存在する。両国は、全ての分野、特に貿易、運輸、エネルギーの各分野において、関係のレベルを最大限深化させることを、戦略的に決定した」。

 アフマディーネジャード大統領は更に続けて、バクーでのカスピ海沿岸諸国首脳会議の開催について言及し、カスピ海を平和と友好の海と呼んだ上で、「イランとアゼルバイジャンは、カスピ海に関する問題に対して共通の見解を持っている。第3回首脳会議で、カスピ海に関わる懸案事項について適切な決定が採択され、大きな前進があることを、われわれはのぞんでいる」と述べた。

 同大統領はさらに、国際的な諸問題に対して、両国が共通の立場を有していることについても言及し、次のように述べた。「〔ナゴルノ・〕カラバフ問題の解決に関して、われわれは対話にもとづき、また双方が正義に則ることで解決されると信じている。イランはこうした枠組みのなかで、双方〔=アゼルバイジャンとナゴルノ・カラバフ〕と話し合う用意がある」。

 イルハム・アリエフ・アゼルバイジャン大統領はこの共同記者会見において、両国の政治的関係がきわめて良好であることについて言及し、経済関係の更なる拡大を呼びかけた上で、「現在のキャパシティーからすれば、貿易関係のレベルを何倍にも増すことができるはずだと確信している」と語った。

 同大統領はさらに、以下のように述べた。「アゼルバイジャン共和国は〔旧ソビエトからの〕独立後、イランとの関係を拡大し続けてきた。現在、その関係はかつてない水準に達している」。

 また同大統領は、地域情勢、特に安全保障上の問題におけるイラン・アゼルバイジャン両国の重要な役割についても言及し、「アフマディーネジャード大統領との拡大協議のなかで、われわれはカラバフ論争について意見交換をおこなった。この事案については、互いに協力することで〔解決の糸口を〕探ることになっている」と語った。

アフマディーネジャード大統領、アリエフ大統領にプレゼント

 アフマディーネジャード大統領は、アリエフ大統領との会談の最後に、我が国が成し遂げた進歩的成果である、新生児用の聴力計、ナノスコープ、及び最新の浄水技術の三点を、同大統領にプレゼントとして贈った。

 また同様に、運輸とエネルギーの分野でのイラン・アゼルバイジャン両国の相互協力に向けた理解覚書も、調印に至った。この覚書は、アフマディーネジャード大統領とアリエフ大統領の立会いのもと、マヌーチェフル・モッタキー・イラン外相とエルマル・メメディヤロフ・アゼルバイジャン外相によって調印された。

 この覚書では、運輸、石油、ガスの各分野での両国の経済協力が拡大されることになっている。

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( 翻訳者:水谷陣也 )
( 記事ID:20777 )