Aslı Barışコラム:新世代の味覚は?
2011年05月02日付 Radikal 紙


先週フードアートアカデミーでワークショップを開き、素人の料理人たちと一堂に会したメフメト・ギュルス氏は、彼の言葉によると「お年寄りたちを怒らせる事をも恐れず」、タルハナスープやカボチャケーキといった料理を非常に変わった方法で提供することで有名である。『農家の方々は私たちの主人です』と言うギュルス氏にワークショップ後インタビューを行い、彼の作った料理を堪能しつつ、トルコの新しい世代の食習慣について聞いてみた。

問:「新アナトリア料理」派の最も重要なシェフのうちの一人でいらっしゃいますね。この新たな(料理の)解釈はどのように進んでいますか。

新しい何かを加えなければならない、などといった不安はありません。ただ私自身の視点で料理を作っています。興味を持つ事や好奇心旺盛でいる事は私にとってとても大切です。制限されるのが嫌いなのです。料理に関して唯一私が制限されているのは、地理的地域です。起源までさかのぼってアナトリア料理を作っていますが、少し斬新なアプローチで作っています。私たちは国外の会議にも参加しています。「新しいアナトリア料理をつくっているんですね」と言われますが、私たちは(逆に)「え、そうなんですか?」と言ってしまいます。つまり、私たちがこの言葉をつくりだしたわけではないんです。私はトルコ料理という言葉が嫌いです。私には非常にエスニックでナショナリスティックに聞こえるのです。しかしここには異なる多くの文化があります。この地域が好きですし、私にとってとても大事なのです。

問:新しい味の発見のために日々励んでいらっしゃると思いますが?

去年私たちは黒海地方を扱いました。エーゲ地方に行き、南東アナトリアを周りました。今年の夏はトロスと近郊のギリシャの島々に行きます。冬には農業地帯は農閑期に入ります。だから私たちは春に出かけるのです。毎日新しいものを学びながら眠りにつく事が重要なのです。私はウードゥルのナズィレおばさんのレシピについて説明しました。彼女との出会いや彼女から学ぶ事は楽しい事です。誤解しないでください、「ああ、なんてかわいい村人たち」と言って彼らに近づいているのではありません。高慢な姿勢ではなく、彼らの仲間として近づくと、同郷人のように扱ってもらえます。しかし一部の地域に行くときには、ピアスははずし、タトゥーを隠すために長袖を着、カプリパンツは長くします。これも恐れからではなく、敬意からなのです。

問:カボチャケーキを今の形で出すためには6カ月かかったとおっしゃっていましたね。

トルコでは多くの地域へ集団的な人権侵害が行われています。HES(水力発電所)から取り掛かってください、私たちは原子力発電所設置のためにこの土地を犠牲にしないためにも、出来る限りの事をしています。しかしこの地理的地域はまだ味を広めることを拒否しているのです。何層にもわたって文化がお互いに入り混じった状態なのです。その土地で収穫された生産物に注目し、それを手に取って研究所で調べています。「我々に何ができるのか」議論し、実験を行っています。私たちの頭の中にしみついている文化的境界線を崩すには時間がかかります。今は一つの案として受け入れ、慣れてもらうための期間です。このためカボチャケーキは6カ月かかって皆さんにお見せできました。

■ブルーフィッシュが好きという事は小児性愛のようなもの

問:食習慣にも流行りがあるとおっしゃっていますね。今後の食の流行はどうなるでしょうか。

皆さん同じように考えると思うのですが、化学物質入りの食べものにはもううんざりですよね。スーパーでパンを買うとわけのわからない物質が36も含まれているんです。今後こうしたことから遠ざかるようになるでしょうし、世界中でオーガニックの消費が増えるでしょう。それに、(食糧)資源をもっと有効活用していくでしょう。つまり、新しい食のスタイルは流行りではなく、時間のかかるものなのです。もはや「ブルーフィッシュ大好き」と言う事は、小児性愛のような、幼児虐待のようなもの(身勝手で許されないもの)なのです。「トラを食べるのが大好きだから、殺して食べましょう」と言いますか?「海で(万が一)お父さんが釣れたなら、私は食べます(訳注:飽食を意味していると思われる。つまり何でも食べてしまうということ)」という論理を捨て去る時代が来ているのです。マグロを産卵期に捕獲する事は、トラを殺すのと同じ事です。しかも全ての人がこの(食の)流行りにのる事は少し難しい事です。より自然にそった優しいアプローチを示すことが条件となります。例えば息子に「お前の飲んでいる水は恐竜のおしっこなんだぞ」と言うと、息子は「うわ、お父さん気持ち悪い」と言います。しかし宇宙に行ってしまったわけじゃないのです、6千万年前の恐竜のおしっこは蒸発して、再び土と混ざっていますが、結局なくなってはいません。まだ地球にあるのです。大げさに言っていますが、これが真実です。

問:オーガニック食材ということで価格はあがるのでしょうか?

有機農法がよりお金のかかるものでなければならないと言う事はありません。これらは全て市場マジックです。有機栽培する事はよりお金のかかる事ではないのです。食習慣は変化するのだという事を理解しなければなりません。非常に近い将来、動物由来の食物を、つまり赤肉と白身の肉をこれほど簡単に食べられなくなるでしょう。よりマメや野菜中心の食生活になります、これが真実です。つまりケバブ屋や魚屋には明るい未来が待っていないのです。どこまで家畜を飼育できるでしょうか。私たちの資源は尽きようとしています。その上魚というものは自然のもので、鶏のように農場に置いておくことはできません。マグロやカジキといったものは餌としてかなりの魚を食べます。結局消費習慣は変わらざるを得ないのです。これを受け入れないのは馬鹿げた事です。良く見てみると、これらは全てここ50年間の結果なのです。私たちの父や母が世界を台無しにしました。これらすべては彼らの考えや消費習慣のせいで起こるのです。このため私たちに課された使命は、新しい世代のために、この悪い進行をとめ、より意識的にアプローチする事なのです。

問:最近テレビで行われた料理コンクールから分かるように、シェフも有名人になる事が出来ます。シェフという職業へのアプローチは変わってきていますか。

歴史的な過程を見てみると、料理人という職業はフランスで発展しました。革命後、宮廷料理人は職を失い、自分のレストランを開き始め、この職業が生まれました。トルコにはオスマン文化があります。料理人たちはまだ「給仕人」の目で見られています。命令されるような状態なのです。サービススタッフ、つまり料理人へ、客も長い間このようなアプローチで接してきました。「ちょっと、私に例のもの持ってきて。ほらそれをこうして!」。この地域では昔から、「(料理人を)なんでも言う事を聞く奴隷」のように考えるところがありました。言うことを聞かせられない料理人が出てくると、また料理において自分たちよりも知識のある人が出てくると、考え方は当然変わりました。20年前プログラマーは「風変りな人」と見られていました。しかし今では理想の職業の地位にあります。私の父は建築家になりたいと言った時、「ああ、フリーターになるというのか」と言われたそうです。私が料理人になりたいと言った時も同じ言葉を受けました。しかし私は今の状況にとても満足しています。

問:つまり「ボルの料理名人」にかわって、「有名シェフ」の時代が始まっているのでしょうか?

そういう事なのかどうかは分かりませんが、本当にそのような文化があり、伝統が続いていたのです。料理学校を出た料理人たちが軽蔑するボル出身の、メンゲネ出身の料理人たちが、実際は食文化を作ってきたのです。教育で自分の身になにか付け加えることも重要ですが、料理学校を出た何百人もの料理人がいますから。この中でたったの5,6人が有名になれるのです。これは全ての職業に置いて同様です。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:22337 )