身分証明書をもたぬ子供たち
2011年07月18日付 Jam-e Jam 紙

【社会部:マルヤム・ユーシーザーデ】身分証明書は、誰にとってもその人の身元を表すものである。この小さな証明書によって、存在が証明され、生まれたこと、生きていること、そして死んだことも証明される。

 しかし、私たちの近く、すぐそばの「ガール門」地区には、身元も身分証明書も持たない子供たちがいる。彼らは誰でもない、ただ息をするために仕事をしている子供たち、というだけである。彼らは、この世に彼らを誕生させたこと以外、何一つ責任を果たしたことのない両親の子供たちなのである。

 彼らは、麻薬中毒になり、牢屋に入れられたことのある母親の子どもたちである。彼らは、未届けの一時婚の子どもたちである。
〔※「未届けの一時婚の子ども」とは、正式な婚姻関係を結んでいない男女から生まれた子ども、つまり「私生児」という意味。一時婚は期間を限定した婚姻契約による結婚のこと。〕

 しかし、身分証明書をもたない子どもたちの全てが、こういった子どもというわけではない。身分証明書の無い子どもの多くは、かつては持っていたが、その身分証を質に入れてしまった子供たちなのである。

 身分証明書を質に入れる行為は、彼らの親たちにとってランチ一食分の価値すらない場合もある。例えば、ホセイン(7歳)の身分証明書はいつも腹を空かせている家族がキャバーブ屋で食べるチェロキャバーブ5人前になり、その後彼らは〔ホセインを置いて〕どこかに逃げてしまった。「体」とドラッグを売っていたサバー(15歳)の身分証明書は数セットのお皿に、サーデグ(16〜17歳)の身分証明書は彼の兄弟姉妹たちの服になった。〔‥‥〕

 こういった子どもたちの一人を支援している人物が言うには、身分証明書の無い子どもたちは一般に、社会の特に恵まれない階層、つまり教育をもっとも必要としているにもかかわらず、こうした〔教育の〕権利を彼らに教えようとしない、そういった階層に属している。

 身分証明書を持たぬ者たちに対してのみ、教育の機会が奪われているわけではない。「ガール門」で活動する、ある名もなき支援者の人物は、「この近辺の学校は、麻薬常習者を親に持つ子供の登録を忌避している」と指摘する。

 しかし、私たちの近く、すぐそばのガール門地区でも、イマーム・アリー慈善協会のような慈善団体があり、生活から取り残された子どもたちに保護の傘を広げている。彼らはこうした子供たちを受け入れ、保護し、子供たちが憲法で定められた市民として最も基本的な権利を享受することができるよう、努力しているのである。

〔‥‥〕

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:阿部初音 )
( 記事ID:23364 )