がん患者は断食をすべき?
2011年08月14日付 Hurriyet 紙

断食月に断食をしたいというがん患者には、がんの進行度合いや行っている治療手順、治療を終えて経過観察中かそうでないかを考慮することが望ましい。

専門家らは、放射線療法や化学療法のような積極的治療を受けている患者や末期がん患者には、摂取カロリーの減少や吐き気・嘔吐などマイナス要因の増大を避けるために断食を「勧めない」が、積極的治療を終えて経過観察中の患者は、本人が望むなら「断食をすることができる」と話す。

保健省デメトエヴレル・ガン病院のマフムト・コチ院長は会見を行い、断食が人間に身体的・精神的利益をもたらすとし、断食によって身体の免疫システムが強化され、酸素運搬量が向上し、消化器官を休ませることができると述べた。

コチ氏は、がん患者への断食の影響を示すような学問的研究や証拠はないとした上で、断食が、がんやがんに侵された細胞にたいしてプラスの効果があるとの意見があると語った。

コチ氏は、いくつかの動物実験で、長期間の低カロリー摂取によって一部の腫瘍の増殖が緩やかになったことが示されたと説明し、「アメリカ・イスラーム薬学研究所で行われた実験で、断食を行った患者のがんの進行が一時的に止まり、緩やかながら腫瘍が少し縮小したことが示された」と話した。コチ氏は、これらのことから考えて、「断食ががんに対し良い影響を与えるとは言えない」ということを強調しながらも、断食ががんにマイナスの影響を与えるという証拠もない」と述べた。

コチ氏は、がんの進行度合いや行っている治療手順によって、がん患者の健康状態が異なるとし、患者が断食するかしないかはこれによって変わると話した。

コチ氏は、がんにより化学療法や放射線療法のような積極的治療を行っている第一グループの患者には、「断食しないこと」を勧めると説明し、以下のように続けた。

「このグループの患者に対して行われている治療は、食欲減退と吐き気・嘔吐をもたらすため、摂取カロリーが確実に減少する。断食によって摂取カロリーがより減少することから、断食を勧めることはできない。第二グループの、末期がん患者の大部分には体重減少と不十分なカロリー摂取が見られる。このため、このグループの患者にも断食しないことを勧める。積極的治療を終え、経過観察中の第三グループの患者は、望みに応じて断食することができる」

コチ氏は、がん患者がどのグループに属していようが、断食するかどうかについての決定は、必ず自身の担当医に相談する必要があると強調し、「病気は一般的なものだが、患者の状況は一人ひとり異なる。患者の健康状態全般を把握している担当医は、患者にとって最も正しい決断を下せる人だ」と述べた。

■ 「断食ががんにとって有益か否かは、医学が明らかにする」

宗務庁宗務高等委員会の会員、ハリル・アルトゥンタシュ氏は、礼拝はアッラーのために行われるもので、断食が「がんにとって有益」とは見なされないと話した。

アルトゥンタシュ氏は、礼拝は来世に向けてのものであると同時に、現世にとっても良い結果をもたらすとし、この良い結果は、人間の物心両面の世界に及ぶと語った。アルトゥンタシュ氏は、「礼拝は私たちの精神的世界において修正と均衡をもたらしている。精神と身体の間に、生物学的構造の間に、もしなにかつながりがあるなら、精神的世界が修正されれば、生物学的世界にも良い影響がありうる」と述べた。

アルトゥンタシュ氏は、「礼拝は、私たちが具体的な目的を持って行っているものではないが、私たちの精神的な目標以外に、物質的(具体的)な成果をももたらしうる。これは、私たちの健康へも影響を及ぼしうると私は考えている」とし、断食ががんにとって有益となるか否かは、「医学」が明らかにすると語った。

ハリル・アルトゥンタシュ氏はすべての患者に関して、「医者が、断食すること、空腹でいること、脱水状態でいることが健康に害を与えないというなら、または害を与えると言わないなら、患者の体力が十分であれば断食することができる」と話した。

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( 翻訳者:菱山湧人 )
( 記事ID:23647 )