EYÜP CANコラム:イスタンブルの景観と摩天楼
2011年09月15日付 Radikal 紙
*掲載写真は前日の記事に掲載されたものです
*掲載写真は前日の記事に掲載されたものです

超高層ビルは好きだが、スルタン・アフメトモスクの6本のミナレットの背後に伸びる摩天楼の写真を目にしたら心が痛んだ

私は超高層建築に対し反対派でもなく、イスタンブルに超高層建築を建設することに対して反対の立場でもない。
ならばイスタンブルに摩天楼がそびえ立つ新たなシルエットに対して反対しているのかといえば、反対派の人を怒らせるかもしれないが、それにもノーである。
さらに言えば私は(地下鉄の通る)マスラクにそびえ立つ超高層建築をボスフォラス海峡から臨む景色が、イスタンブルのシルエットをより豊かにしていると考える人々のうちの1人だ。
前方には海辺の瀟洒な家々、宮殿、博物館が立ち並ぶ旧きイスタンブル。
後方には近代的な技術と近代的な生活のシンボルである超高層ビル。

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しかしいくつかの超高層建築は伝統も、そして近代性を表すでもなく、まるで歴史的景観の心臓部に突き刺さった短剣のようである。
問題はカテゴリーとしての超高層建築にあるのではない。
問題のひとつめは、莫大な金を費やしているにもかかわらず超高層ビルの建築に美しさが欠けていること。
そして2つめはビルの立地にある歴史的構造物の存在と周囲の環境への敬意がないこと、である。

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昨日のラディカル紙一面は「歴史のシルエットに入り込む摩天楼」の写真を掲載した。
それは昨年、アスタイ不動産が承認状も含めた必要な許可を取り、ゼイティンブルヌの臨海地区に建築を始めた3つの超高層ビルの写真である。
率直に言おう、超高層建築に反対するでもなく、摩天楼好きな私であっても、6本のミナレットをもつスルタン・アフメトモスクの背後に伸びるこの摩天楼の写真を見たら心が痛んだ。
イスタンブルの、とりわけマスラク地区から伸びる摩天楼のある新たな景観になんら反対の意はないが、それにしてもしかし、イスタンブルの歴史的シルエットへの敬意がこれなのか、「新しいイスタンブル」とはこれなのか、と問わずにはいられなかった。
幸いにも回答は遅れることなく寄せられた。

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イスタンブル市のカーディル・トプバシュ市長も私と似たような不快感を持っているようだ・・・
その場所に、その高さで建築される超高層ビルが、歴史的遺産を抱える半島からこのように見えることなど計算されなかったそうだ。
トプバシュ市長は断固、すぐさま行動を起した。
「今後は決してこのような景観にそぐわない建築を許すことはないだろう」と言う。
現在作られている建物についても必要な対応をとっているそうだ。
一方で、建設の施工主である企業にとってもこのような写真が公に流出したことに頭を悩ませている。
終日、様々な場所からこのアスタイ不動産の「16/9」プロジェクトがイスタンブルのシルエットにどのように影響するのか把握しようと写真撮影をした。
実際、彼らは本紙が掲載した写真にあったようには(自分たちの建設するビルが)歴史的なシルエットに影響を与えているとは思っていないが、比較調査については拒んでいない。

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彼らの撮影した写真を見たが、確かに全ての方角から(本紙と)同じ景観が観察されるというわけではない。
しかし歴史的なシルエットという観点からみれば、チャムルジャ・ガラタ・サラジャクを結ぶ三角に、「イスタンブルのグラビア」といわれるシルエットを映し出す決定的なアングルがあるのだ。
本紙が掲載した写真はサラジャク方面から撮影されたものだ。
そしてその写真には見る者全ての心を痛める「歴史的シルエットに刺さる摩天楼」の姿がある。
いずれにしても、自身も建築家であるトプバシュ市長は会見で、建設を続けるビルがいくつかの地点からみたらイスタンブルの歴史的シルエットに影響を与えていることを明らかにした。
間違いがあったことは非常に明白である。
ここで問題になっているのは他でもないイスタンブルの何百年の歴史を持つシルエットなのだ。
重要なのは一刻も早く過ちから戻ることだ。

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( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:23979 )