Mümtaz'er Türköneコラム:英語教育、トルコ語教育、クルド語教育
2012年02月21日付 Zaman 紙

英語教育が完全な失敗に終わったことがトルコ経済政策研究財団(TEPAV)の調査で明らかになった。経済力で世界のトップ20に入ったトルコは、英語教育において調査対象となった44カ国のうち43位となり、下から数えて素晴らしい成績を収めた。

この状況に私たちは気付いている。数百時間あるいは数千時間に及ぶ英語の授業と大学入学前の英語教育時間を使って、子供たちに英語の授業を受けさせている。これほど長い時間勉強させておきながら、若者たちが基本的な英語の文章も使えない状況で留めるとは、なんと難しい仕事を成し遂げていることか!では、いったいどうすればいいと思いますか?

英語の授業や、大学入学前の英語教育を全面的に廃止し、外国語教育を選択制にしたならば、外国語を使えるようになる若者の割合は、何倍にも増えるだろう。

トルコ語教育もそれほど違いはない。言葉使いの乱れ。小学校の3年で学んでいなければならない文法規則が、大学生にさえ定着していない状況だ。はっ きりと自分の意思を表明できたり、上手なトルコ語を話せる生徒はかなり少ない。トルコ語さえままならない人は、英語もある程度しか出来ない。大学などの英語教育は進歩した。しかし教育言語が思考の域に達していないために教育の中身も基本の踏襲の域を越えられない。

今日2月21日は「国際母語デー」である。これを聞いてすぐに、クルド語のことが思い起こされるだろう。トルコが抱える問題であるクルド 問題は、クルド語問題とも言える。これが解決に向かうかどうかは、クルド語を教育言語に認めることにかかっている。新憲法論争の筆頭に置かれた争点は「公用語」であり、つまりクルド語の地位の問題だ。クルド語<固有の名称でクルマンジー語>は人口的に無視できない数の人々の母語である。この母語が教育に用いられたら、国民に母語で教育を受ける機会が与えられたら、どう変わるだろうか?

ビュレント・アルンチ副首相は、クルド語は「文明言語」ではないと言った。何とも主観的な話だ。ある言語に魅力を付随させるものは「経済的な言語」であることだ。英語は、雇用の可能性、つまり経済的期待から選択されているのではないだろうか。トルコ語のクルド語との比較は、経済的にどちらがより有用かだけ で測ることが可能だ。クルド語教育をする学校が現れたら、もしくは2言語教育が整備されたら、クルド語の価値を概ね市場が決めることになるだろう。

クルド語の一文化言語としての将来についていうと...。クルド語が教育言語となれば、その未来は、英語教育やトルコ語教育に似てくるのは明白だ。英語を教えられず、トルコ語を貶めている教育システムがクルド語を教育をしようとすれば、どのような結果が待っているだろう?その答えは、トルコ語や英語の言語教育の欠陥をみれば明らかだ。

現在の教育システムは、テストの設問と関わることだけを教えている。言語分野のみならず、すべての分野においてこうである。「教えていることが何に役立つのか?」という問いは、教育・指導局の中までは届かない。このシステムの目的は、生徒を退屈させることだ。英語やトルコ語の勉強に感じるこの退屈さは、言語を考えや意見を述べる道具として使わせまいとするものだ。2言語教育もまた、即効性から退屈なものに作り上げられるにちがいない。クルド語をひとつの文学や文化言語として教えようとする教師は、これを学んだ生徒のなかから育つというのに。

英語教育問題は、我が国の教育システムの欠陥を浮かび上がらせている。イデオロギーの重荷と生徒に公式の規則を守らせる義務が、教師という職業を浅はかな形式主義に追いこんでいる。1年間の教育年次の間には48日の祝日があるそうだ。教師はこの祝日を祝わせる責任を負わされているらしい。国への宣誓から祝日のお祝いまで内容は幅広く、教師は教育指導以外にもあらゆる仕事で忙殺されている。

クルド語は、教育言語として習得されなければならない。「教育言語」の語が意味するのは、教育及び指導活動全般がその言語で行われる、ということを強調しておこう。世界ではこの取り組みが、ひとつの校舎での2言語教育という形で実を結んでいる。要請によればトルコ中で2言語教育は実現可能である。さらにこの取り組みは、我が国の教育システムを一から見直す機会にもなり得る。いずれにせよどの言語であれ、今は子供たちにちゃんとした教育を受けさせることが出来ていないのだ。

「国際母語デー」を祝う。人間の誕生とともに獲得した言語能力と受け継がれてきた母語が、人間を人間たらしめるものであり、敬意を払うべき最も基本的な価値の一つであることを、この機会にもう一度心に留めておきたい。

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:25633 )