モロッコ:金利上昇と財政赤字
2012年02月24日付 al-Hayat 紙


■モロッコ:銀行の流動性不足が金利を上昇させる

2012年2月24日『アル=ハヤート』

【ラバト:ムハンマド・アッ=シャルキー】

モロッコの基準利率は、諸般の商業銀行が一層の融資を必要としているため上昇に向かっている。商業銀行は、流動性縮小、在外預金規模の縮小、財政赤字の増加による財政難の克服のため融資を必要としている。

モロッコ中央銀行は、諸銀行の基準利率が、去る1月に、0.2%増の3.3%に上昇したと報告した。それに伴い、銀行の流動性不足は、今年の第1四半期に、昨年末の380億ディルハムから、440億モロッコ・ディルハム(53億ドル)へと上昇した。また、流動性不足は、残りの借入金利に反映された。借入金利は、同期間に、34ベーシスポイント(bp)増の6.6%に上昇した。しかし、これは、10%拡大した融資規模には影響がなかった。

モロッコ中央銀行は、預金と融資の差額が、特に大企業による貯蓄率の安定によって、450億ディルハムに増加したと明らかにした。また、昨年末、貿易赤字が1850億ディルハム(200億ドル)に増加したことによって、外貨準備高は、約20億ドル減少した。中央銀行は、商業銀行に対し、短期で300億ディルハム、中期(3ヶ月)で150億ディルハムに及ぶ資金提供を行った。

アナリストらは、モロッコにおける金利上昇の原因を、GDPの7%にまで上昇した財政赤字の肥大化によるものだとした。財政赤字の総額は、2010年から200億ディルハム増の550億ディルハムに増加した。モロッコ中央銀行(の措置)に先行して、商業銀行は予想される通貨の流動性不足に備えて、過去3年間で戦略準備率を12%から6%へと引き下げるようすでに要求していた。また、中央銀行は、昨年、財政支出が360億ディルハム増加したと明らかにした。財政支出の増加は、公共投資に対する資金提供の要求に応え、生活必需品価格の上昇に歯止めをかけるためだった。また、歳入・税収におけるこれと同様の上昇は、財政支出を埋め合わせなかった。同時期に、光熱費は900億ディルハム(107億ドル)に増加した。

モロッコの予算は、困難な二択に直面している。すなわち、国内金融市場を通じて赤字を補填するか、あるいは国際金融市場とより高い金利(5.37%)での融資に頼るかだ。前者の選択肢は、利率の上昇と流動性減少の原因となる。後者の選択肢は、モロッコの信用格付け引き下げという危険性を伴う。信用格付け引き下げは、モロッコに対する印象を損ない、海外からの投資を呼び込む機会を失いかねない。

新政府は、3月の臨時国会に今年度の予算案を提出する見込みだ。これは、EU市場や「アラブの春」の諸国から徐々に波及し始めた危機に対応して、財政赤字の削減と歳出規模の縮小を目的とした修正を加えるためだ。

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( 翻訳者:井上剛 )
( 記事ID:25663 )