トヨタ・サカリヤ工場での「信仰調査・解雇」の訴え、議会人権委が調査へ
2012年05月28日付 Yeni Safak 紙

「礼拝をしますか、断食をしますか?」

国会の人権委員会は、(トヨタが)信仰を理由に従業員を解雇したという労働者側の主張を受けて、労働省および検察局に状況を報告した。人権委員会のウストゥン委員長はトヨタ社長に書状を書いた。


■「2月28日過程」を思わせるトヨタ・サカリヤ工場の雇用実態

世界有数の自動車メーカーであるトヨタのサカリヤ工場で、従業員に信仰に関する聞き取りが行なわれ礼拝と断食をする従業員が解雇されたとする主張を受け、国会が動いた。サカリヤのトヨタ自動車とトヨタ紡織トルコから解雇された多くの従業員が人権委員会に申し立てをし、採用の際に自らの信仰を尋ねられ、「礼拝をしますか、飲酒をしますか、断食をしますか、豚肉を食べますか」といった質問を受けたことを明らかにした。さらに採用された人の中で、礼拝をし、髭を伸ばし、洗面所で(礼拝のために)お清めをする者は忠告を受けたこと、礼拝用絨毯の類が片づけられたこと、(従業員に)礼拝をさせないよう主任に命令が下されたこと、従業員の家族が調査を受けたこと、信仰のため礼拝を行なった従業員が低い労務評価を受けたことを主張した。

■「職業病の存在が隠された」

もう一つの主張は、反復を必要とする作業工程でローテーションなしで働かされたために従業員が職業病にかかったというものだった。同じ作業を続けさせられた従業員の職業病が隠されたこと、疾患を抱えた従業員は圧力を受けて(トヨタと)合意させられたこと、合意しない者は解雇されたことが訴えられた。委員会は申し立てを受け、労働社会保障省とサカリヤ共和国検察局に本件を提出した。委員会は同省に調査の実施の上、結果報告を、またサカリヤ共和国検察局には「差別」の有無の調査を求めた。

■金曜礼拝に行ったことで圧力を受けた。

トヨタ紡織トルコ取締役会社長は、金曜礼拝に行ったことで圧力を受けたと委員会に訴えた。同氏はSTAR TVの取材に次のように語った。「私はトヨタ紡織の社長でした。一番上の役職だった。私の上にいたのは日本人の社長だけだった。

■礼拝に「行くな」と忠告された。

私はイスラムテロ組織のメンバーだと疑いをかけられた。そのような事実は無いと言ったが、特に仕事でミスがあったわけではないのに上級社長職から(一般)社長職に降格された。これは私が金曜礼拝に行ったせいではないかと思う。その頃、私は他の従業員に影響しないよう金曜礼拝に行くのを控えるようにと忠告を受けた。圧力を受け、ベルギー・トヨタに行かざるをえなくなった。そこでも圧力は続き、心理カウンセリングを受けるようになり辞職せざるをえなくなった。トヨタからこうした形で解雇された従業員は多いと聞いた。私も二週間前に委員会に申し立てをした。」
圧力を受けたとして国会に提訴したトヨタの従業員H.A氏は、金曜日、サカリヤ検察庁からも金曜日に事情聴取に呼ばれたと述べた。

■主張が正しければ非常に深刻

人権委員会のアイハン・セフェル・ウストゥン委員長は、主張に関し、トヨタの豊田章男社長に書状を書いた。ウストゥン委員長は、トヨタがトルコの経済に与えた貢献に感謝しつつ、社長という高い立場にある人物さえ信仰を理由に労働契約を解消されたと主張がなされていると述べた。ウストゥン委員長はこうした主張がトヨタブランドに損害を与えるのではないかと案じているとし、トヨタに対し人権侵害の疑いを内部監査により対応するよう求めた。同氏は従業員の権利の拡大と並行して、従業員の権利も保証されるべきであると指摘し、次のように述べた。
「この件には信仰差別と職業の二つの側面がある。従業員の主張が正しければ非常に深刻だ。トルコ人役員は、日本人上司により高いパフォーマンスを見せるためにこのようなことをしているのだろう。これはいかなる法律や国家も認めまい。人間はロボットではない、ロボットのように働かせてはならない。信仰に関する差別や圧力が存在したという主張は非常に重要だ。一刻も早い問題の解決が必要だ。」

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:26532 )