危機にあるイラン=アゼルバイジャン関係:前駐アゼルバイジャン大使へのインタビュー
2012年05月27日付 Mardomsalari 紙

【政治部】ここ数日、わが国とアゼルバイジャン共和国との間の政治的対立はこの数年で最高潮に達している。在バクー・イラン大使館前で「神聖なる存在」への侮辱が行われたことが大きなきっかけとなって、わが国は同国から大使を呼び戻し、駐イラン・アゼルバイジャン大使もイラン外務省〔※原文では「わが国の大使館」とあったが、誤りと判断〕に呼び出す事態に発展した。このように、イラン=アゼルバイジャン関係には暗雲が立ちこめているのである。アゼルバイジャン共和国で開催されたユーロビジョン・コンテストも、イラン=アゼルバイジャン間の緊張を増幅する一因となっている。〔‥‥〕ここ数日のイラン=アゼルバイジャン間の非難合戦の高まりについて、ウェブサイト「イランの外交」は前駐アゼルバイジャン・イラン大使のアフシャール・ソレイマーニー博士にインタビューしている。以下に、その一部をご紹介しよう。

複数のニュース・メディアの報道によれば、イランは大使を召還したとのことですが、こうした措置はどのような理由によるものなのでしょうか?

イラン政府は、バクーのイラン大使館前で行われたデモやイスラーム共和国指導部への侮辱的な発言に対する抗議として、またイスラームの神聖なる存在に対して侮辱行為が行われ、こうした行動に対してアゼルバイジャン政府が何の反応も示そうとしていないことを理由に、わが国の大使をバクーから召還した。言うまでもなく、指導部への侮辱というのが具体的に何を指しているのかは明らかで、それが不条理で非友好的な行為であったことは確かだ〔※ハーメネイー最高指導者を侮辱する内容のシュプレヒコールが上がったことを指す〕。しかし「神聖なる存在への侮辱行為」というのが何を指しているのかは、よく分かっていない。

また、ユーロビジョンと呼ばれるコンテストが行われている横で、世界各国から集まった同性愛者と同性愛者の権利を擁護する人々のパレードが行われるとの報道があり、これに対してイラン国内の一部のウラマーや金曜礼拝導師、〔政治〕団体の側から、最近反発する声が上がったことも指摘しておく必要がある。イラン国内でのこうした反発に対して、バクーでは一部の政府当局者、国会議員、政党、学生らから非難の声が上がり、反イランのスローガンが唱えられた。

アゼルバイジャン当局者は、同国では同性愛者たちの行進やパレードが行われる予定はないということを、幾度となく表明し、また現在もそのように主張している。そして彼らは、イランでこの話題が強調されていることに困惑している旨を述べている。またアゼルバイジャン大統領事務局の高官の一人であるアリー・ハサノフ氏は、これはイランが流したデマであり、イランは件のコンテストを混乱に陥れようとしている、と発言している。

イランの抗議に対するアゼルバイジャンの反応はどのようなものだったのでしょうか?

アゼルバイジャンでは、きわめて過激な反応が起きている。イランを内政干渉として非難する声が上がっており、イランはアゼルバイジャンの進歩を直視できないのだとの指摘もなされている。またアゼルバイジャン人たちは、「イランが問題としているのが本当に宗教的なものであり、ムスリムに対する支持〔を目的としているの〕であるならば、なぜイランはアゼルバイジャンと敵対するキリスト教国のアルメニアと手を組み、彼らを支援するのか、なぜアルメニアによって占領されたアゼルバイジャン領〔=ナゴルノ・カラバフ〕にある宗教的・歴史的なモスク・旧跡への破壊行為について、イランは何の反応も示そうとしないのか」、という議論を持ち出している。

イラン政府に対するアゼルバイジャン民衆の世論は、総じて否定的なものになっているようだ。さらに、アゼルバイジャン〔共和国〕はイランにいるアゼルバイジャン人たちの権利の擁護者を自任しており、〔イランで〕彼らの権利がないがしろにされ、母語での教育の可能性が閉ざされていることに抗議している。


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( 翻訳者:8410068 )
( 記事ID:26603 )