Eyup Can コラム:まさに悲劇的!―CHPの「政府PKK交渉文書」公開の舞台裏
2012年09月20日付 Radikal 紙


ハルク・コチは、ただのCHP(共和人民党)党員ではない。

政策全般の責任者を務める副党首である。

更に重要なのは、同党のスポークスマンであることだ。

こうなると、人々は気にする…。

クルド問題の解決について、何でもする用意があると何度も明らかにしてきたケマル・クルチダルオール党首率いる新生CHPのスポークスマンは、一年前にマスコミに公表された、エルドアン首相が受け入れなかったことにより署名段階に進まなかったある交渉文書を、血みどろの争いが起こり、安全保障政策が優先されている今の時期になぜ仰々しく公表するのか?

新生CHPがクルド問題の解決策において、完全に過去のCHPを想起させるような、新たな方針と正反対で、時代遅れの、メディアではガムのように噛み古された、オスロ交渉の文書を公開した目的は何なのか?

この驚きのアイデアは、ハルク・コチ副党首が自ら提案したものらしい。

(彼は)最近の中央執行委員会(MYK)会議で、AKP(公正発展党)政権が、CHPをPKKとともに追いやろうとして不当に批判したことに対し、オスロ絡みで反撃をしようと提案した。

同党の幹部は、首相の不当な批判に必ず反論しなければならないが、それはオスロ絡みであってはならないと述べたようだ。

結局、オスロ交渉は、民主主義的な権利や憲法の枠組みの中で流血を止めるために踏み出された前向きな一歩なのである。

さらに、裏でその交渉を進める政府は、現在安全保障政策で頭がいっぱいの状態である。

CHPが、政府が交渉から安全保障政策へなぜ方向転換したのかを問い詰めるのであれば理解できるが、違うのである。ハルク・コチ副党首は、正反対の政策を提案したのだ。

しかし、そのMYK会議で、オスロ交渉に関する文書を公開することは、クルド問題の解決について誠実に対応していくと表明した新生CHPに傷をつけることは明らかだと、はっきりと確認されていた。

1~2人以外、誰もコチ副党首の提案には賛同しなかった。

こうして、この問題もそこで終わっていた。

しかし、ハルク・コチ副党首もそこであきらめたりしないことは明らかである。

(彼は)政府がCHPをPKKと同列に扱った会見が、党内にもたらした壊乱は、この文書公開でしか軌道修正できないとケマル・クルチダルオール党首を説得したのだ。

あの日MYKに参加していたCHP幹部の多くは、テレビから流れるコチ副党首によるオスロ交渉に関する文書公開を驚きながら見ていた。

新生CHPを心から信用していた多くの人の反応はこうだった。

「この公開は、修復どころか崩壊をもたらす。」

さらに、あるCHP幹部は、コチ副党首の文書公開を「悲劇」と呼んだ。

コライ・チャルシュカン氏は、ハルク・コチ副党首及びケマル・クルチダルオール党首の両氏と、この公開が何を意味するのかについて話した。

ハルク・コチ副党首の説明は、公開と同じぐらい問題がある。

端的にはこういうことである。

一つに、首相がとてもきつい話し方をしている。

それで?

ハルク・コチ副党首も、新生CHPの新たな政策とは正反対の文書の公開を打ち出すしかなかった…

二つ目に、政府はPKKと話せば良い、しかしPKKと対話しながら解決策を話すことはできない。

話せ、だが対話するな!

どういうことだ?

首相が、CHPをPKKと同列に扱ってみせた会見が不当で間違っていることと同様に、ハルク・コチ副党首のオスロ交渉の文書公開も、この問題について象徴的ではあっても前進してきたケマル・クルチダルオール党首のCHPにとって、間違っている。

2つの間違いが、いくつの正解をもたらすかは分からないが、残念ながら、2つの間違いから1つの正解は生まれて来ない。

オスロに関する政治は、新生CHPのみならず、政府やトルコ全体を悲劇に導いている。

我々は、これほどにも盲目なのだろうか。

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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:27652 )