投資格付けのフィッチ、トルコを「BBB-」へ引き上げ
2012年11月06日付 Hurriyet 紙

信用格付け機関のフィッチ・レーティングスは、トルコの信用格付けを長期外貨建てで投資適格級の「トリプルBマイナス」へと引き上げた。これにより、1994年来トルコの格付けレベルは初めて引き上げられた。

フィッチは、トルコの信用格付けを「ダブルBプラス」から引き上げる一方、見通しを「安定的」とした。

長期自国通貨建て格付けも2段階以上引き上げられ、「トリプルB」となった。つまり、スタンダード・プアーズに続いてフィッチも投資適格級と格上げをしたのである。

フィッチの発表によると、トルコ経済は持続可能な成長に回帰する軌道にのっているとされた。同社は、格付け引き上げの主な要因として、トルコの財政状況を強調した。さらに、フィッチはトルコ経済が軟着陸に向かっており、健全な金融部門、短期的マクロ経済リスクの緩和が格上げに影響しているとした。

フィッチによる発表概要は次の通り:

-トルコ経済は他の投資適格国と比べると依然として不安定である。
-格付け引き上げの主な要因は、トルコの財政状況にある。
-トルコの健全な金融システム・明るい経済成長見通しは格付けを支えている。
-トルコの外部資金調達が弱いことは、依然として格付けの主なリスク要因となっている。
-経常赤字の大幅かつ永続的な削減は、格付けの上昇を後押しする。ただし、フィッチは短期的にこのことを予想してない。
-対外的ショックまたは国内の政策の失敗による「国際収支危機」は、否定的な信用動向の原因となりうる。

■「今回は、フィッチらしさを見せなかった」

国際信用格付け機関は、近年トルコで批判の的となっており、フィッチも激しく批判を浴びていた。さらに、ザフェル・チャーラヤン経済大臣は、同社のトルコ経常赤字に関するレポートに対し「フィッチ社は、またいつものトーンである」として、批判を展開した。また、この発言が、長期にわたってトルコ経済を賑わせた。

同大臣は本日の発表で、「遅ればせながら権利が引き渡され、それが記録された」と述べた。

格付け引き上げにより、トルコへの投資は長期的に過熱し、トルコへの資金流入が増加すると言うチャーラヤン大臣は、「資金流入の増加が信用力向上に結び付くことは重要だ。このためにも、我々の新しいインセンティブシステムは、国外からの投資にとって非常に適切な環境を提供することになる」と評価した。

■「グローバル資本が増加する」

メフメト・シムシェキ財務大臣は、今回の信用格付け修正がリスク認識を肯定的なものとする旨明らかにし、こう続けた:

「高い格付けは金利を抑えることに貢献するだろう。格付けが投資適格級になり、トルコに流入するグローバル資本も増えることになる。格付け引き上げとなった国々において、2年の期間でポートフォリオと直接外国投資は平均GDPの4%まで上昇する。この枠組みにおいて、格付けが投資適切級に引き上げられることは、経済成長予測を高めることになり、更に、成長パフォーマンスを高めるだろう。」

■新時代の幕開け

アリ・ババジャン副首相は、トルコ財政における持続可能な統制アプローチ、金融部門の健全な構造、構造改革、結果としての成長、雇用分野における高い実績が、今回の決定に影響を及びしたと述べた。

フィッチの今回の発表について、ババジャン副首相は決定が遅いと強調、「経済分野で正しい取り組みを行ったため、トルコの国際市場指標は長期間投資適格国に近いレベルに到達した。決定は、市場指標と我々の信用格付けの間に存在する差異をある程度解消した。トルコの国際市場における信用指標は、より一層高い信用を示している」と述べた。

同副首相は、トルコの格付けが今回のレベルに達したことで、官民セクターが国際資本市場に加わり、新しい時代の幕開けに差掛っていると述べた。

■心理的壁を乗り越えた

ニハト・エルギュン科学産業技術大臣も今回の決定により心理的に壁を乗り越えたと述べた。

同大臣「我々は、今回の件につき、格付け機関の決定が遅いと考えている。トルコの格付けが投資適格級に引き上げられたことはもちろん非常に重要な進展である。と言うのも、トルコで多様な投資が可能となる。ただ、格付け引き上げにも関わらず、多くのヨーロッパ諸国と比較すると、トルコの格付けは未だ十分な水準にあるとは言えないことも事実である」と述べた。

■将来トルコへの投資は増える

フィッチの発表についてエコノミストのウール・ギュルセス氏がヒュッリイェト紙向けに評価し、トルコの格付け引き上げにおける最重要の要素は公的金融機関であると述べた。さらに、トルコの予算均衡及び累積債務比率の改善が格付け引き上げにつながったとし、「今後、予算均衡はダモクレスの剣の様に経済に重くのしかかってくるだろう。もし、均衡が崩れたら、その時は格付け引き下げの懸念も同時にありうるのだ」と述べた。

ギュルセス氏によると、格付け引き上げの決定は、特に民間企業にとって非常にプラスとなるとし、「格付け引き上げとなるトルコ企業の前途はより明るいものとなる。民間へ大きな資金流入が起こるかもしれない。短期的にすぐさま起こるとは思わないが、今回の決定は中期的に影響を及ぼすとみている。トルコの格付けが投資適格級となることで投資の流れが発生するだろう」と話した。

■遅い決定

EFGイスタンブル証券のハルク・ビュリュムジェクチ主席エコノミストは、今回のトルコの格付け引き上げについて、トルコの経済状況を鑑みると遅い決定だと述べた。

同氏は「トルコの投資適格級への引き上げについて、何故騒ぎ立てることではないのか考えていた。トルコ経済の軟着陸の成功は我々の期待を高めた。基本的に、遅い決定ともいえるが、もちろん明るい進展である。見通しは「安定的」とされた。これも、新たな格上げを我々が待ち望むプロセスが始まることを示している。つまり、18ヵ月後の決定で新たに格付け引き上げを期待することは正しくはない。経常赤字の強調、そこで起こりうる後退が格付けをマイナスに戻すための口実として使われうると考えている。為替・利子において、最初変動は起こり得るが、長期的に起こるとは想定していない。何故なら、これらは大きな割合で上昇しており、通貨バスケットでも2.03程度に留まりうるからだ」と述べた。

■フィッチ、遂に勇気ある一歩

モルガン・スタンレー中東欧主席エコノミストのテヴフィック・アクソイ氏は、「フィッチは遂に勇気ある一歩を踏み出した。これは、他の格付け機関にとっても良い見本となり得る」と述べた。同氏は、今回の発表がトルコ経済の質を向上させることになると補足した。


フィッチ:信用格付尺度

高い信用力(投資適格級)
A スロベニア・スペイン
A- ポーランド・イタリア

良好な信用力
BBB+ 南アフリカ・アイルランド
BBB バーレーン・カザフスタン・リトアニア・ロシア・メキシコ・タイ・ブラジル・
パナマ・ペルー
BBB- モロッコ・インド・アゼルバイジャン・ブルガリア・ハンガリー・ルーマニア・
アイスランド・インドネシア・コロンビア

投機的
BB+ コスタリカ・グアテマラ・ハンガリー・フィリピン・ウルグアイ・ポルトガル
BB エルサルバドル

非常に投機的
B+  モンゴル・ベトナム・ボリビア・ベネズエラ
B レバノン・ウクライナ・アルゼンチン
B- エクアドル・ギリシャ

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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:28153 )