文学作品、最初の一行との出会い
2013年02月04日付 Zaman紙


「書物の冒頭の文章は、その作品の宿命と言えます。読者は没頭するのか、はたまたそっと遠ざかっていくのか。作家たちにとっても大変な難題です。最初の一文のために、様々な努力がなされます。

オルハン・パムクは対談で、出だしの文章を書く苦痛についてこう語っています。『本の最初の一文は、私にとって重要なものです。いつも頭を悩ませます。最初の文章は、本全体の精神を、行く末を、読者をどのような気持ちにさせるか、予感させるものでなくてはなりません。本のタイトルや、最初の文章や、最後の文章をどうするかということを、ノートに書き留めながら何年もかけて考えるのです。』」

イギリスのシェフィールド・ハラム大学修士課程で文化政策・行政を専攻したムサ・イーレキ氏は、エニス・バトゥル氏に影響され設立したインキピット機構(www.incipitenstitusu.com)について次のように語った。

バトゥル氏は2006年に、今日まで書かれてきた全ての書物の冒頭の文章を収集、分類、形式化、関連付け、解釈するために機構を設立することを提案する文章書いた。多くの作家たちもこのアイディアについてバトゥル氏に賛同した。しかし何年経っても誰も実行に移すことはなかった。そこで、引出しの中のノートに始めの文章をいっぱいに書き留めていたムサ・イーレキ氏が立ち上がり、インターネット上にインキピット機構を設立した。

15日前に設立された同機構には200を超えるインキピットが集められた。イーレキ氏は、今のところトルコや世界の文学の3分野(長編小説、短編小説、 エッセイ)だけに対象を絞っていると語る。インキピット機構は、「真の文学に貢献」していると評価できる書物の冒頭の文章を集めている。つまり、文学的な価値のない本はインキピットのアーカイブに登録されない。イーレキ氏は、言語の魅力をそなえ、後世に読み継がれるテクストに注目してほしいと語った。

イーレキ氏は、フランス、スペイン、イギリスにはインキピットを愛好する数多くの読者がいると述べ、次のように語った。「冒頭の文章は、読者にとっても作家にとっても刺激的なものです。書物の声を先取りして届けるのです。ガブリエル・ガルシア・マルケスは、本の最初の一文は、テクスト全体にとって実験室のような役割を果たすものであると語っています。」

■「インキピット」とは?

インキピットとは、ラテン語で「始まり、最初の文章」という意味で、多くの言語でincipitと書かれる。エニス・バトゥル氏によると、インキピットはラテン文学において書物の分類を容易にするために用いられた語句であるが、その後4~5世紀の間用いられず、顧みられることもなかった。
なお、文学に貢献したと思う本がありましたら、最初の文章をincipitenstitusu@gmail.comまで。

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(翻訳者:篁日向子)
(記事ID:29127)