アカデミー賞、「アルゴ」受賞で政治化
2013年02月26日付 Jam-e Jam 紙
2月26日付ヴァタネ・エムルーズ紙1面から転載
2月26日付ヴァタネ・エムルーズ紙1面から転載

多くの映画関係者は、「アルゴ」がアカデミー賞に選ばれるのに必要な条件に欠けていると考えている
 
 反イラン映画「アルゴ」にアカデミー賞最優秀作品賞が授与されたことに対し、イランのメディアや映画関係者らからは反発の声が上がった。

 ジャーメ・ジャムの報道によると、第85回アカデミー賞受賞式では、クエンティン・タランティーノの「ジャンゴ 繋がれざる者」やデヴィッド・O・ラッセルの「世界にひとつのプレイブック」、ミヒャエル・ハネケの「愛、アムール」のような強力なライバル作品の中から、「アルゴ」に最優秀作品賞の栄冠が贈られた。「アルゴ」の監督ベン・アフレックがアカデミー賞の最優秀作品賞を手に入れたわけだが、その一方で彼はこれまで最優秀監督賞にノミネートされたことすらない。これは同賞の授与に関するこれまでの流れに反する出来事である。

 興味深いのは、アメリカ大統領の妻のミシェル・オバマがビデオ会議を通じて、ホワイトハウスからこの作品の受賞を発表したことだ。アカデミー賞授賞式の歴史でこれまでになかった前代未聞の出来事だった。アカデミー脚色賞および編集賞も、同作品に贈られた。

 「アルゴ」はイラン人大学生によるアメリカ大使館占拠事件で、アメリカの外交官6名がCIA職員のトニー・メンデスの助けによってイランから脱出することを描いたハリウッド映画だ。この作品はこれより前にも、ゴールデン・グローブ賞や全米制作者協会賞、全米俳優協会賞、全米映画監督協会賞、全米作家協会賞など、錚々たる賞を獲得していた。

イラン映画関係者の反応

 「アルゴ」がアカデミー賞最優秀作品賞を受賞したことが伝えられるや否や、国内外の映画関係者やメディアからは多くの反響が沸き起こった。映画監督のモハンマド・マフディー・アスギャルプール氏は、2013年のアカデミー賞最優秀作品賞が「アルゴ」に贈られ、またアメリカ大統領の妻によってそれが発表されたことについて、メフル通信に「アルゴが受賞したことは、映画作品として賞が贈られたというよりはむしろ、政治的な賞だったと理解できるだろう」とコメントした。

 同氏はさらに、次のように続けた。

これまでのアカデミー賞では、最優秀作品賞を獲得した作品の監督は、最優秀映画監督賞にもノミネートされるというのが通常だった。ところが今年は、『アルゴ』の監督は最優秀監督賞にノミネートされた5作品に入っていなかった。最優秀監督賞部門にノミネートされなかったような作品が、最優秀作品賞を獲得するというのは、実に驚くべきことだ。

〔‥‥〕

 イランの映画俳優で、国際的な映画にも出演しているホマーユーン・エルシャーディー氏も、このことについてメフル通信に次のように述べている。

私は一イラン人映画俳優として、イランについて制作された外国の映画を観ることはまったくない。というのも、この手の作品は、イランやイラン人のことを知ろうという関心からではなく、むしろ西洋クラブの政治的利害や目的をかなえるために制作されるものだからだ。イランについて海外で制作された政治的な映画など観る気が起きないのは、そういう理由からである。

〔‥‥〕

 評論家で映画学校の教師であるジャッバール・アーズィーン氏もファールス通信に、「アカデミー賞は今年、〔史実を〕歪めるような反イラン作品の旗を掲げることで、アメリカがイスラーム嫌悪や反イラン主義の道をいまだに歩んでいることを示したのだ」とコメントしている。

〔‥‥〕

Tweet
シェア


関連記事(ジャアファル・パナーヒー監督の映画がアカデミー賞候補に)
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:8410051 )
( 記事ID:29423 )