Sedat Erginコラム:オバマのエルドアンへの評価は変わったか?
2013年08月28日付 Hurriyet 紙

アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領は今からおよそ5年前、大統領就任に際し外交政策の最重要課題のひとつに、2009年6月に行われた有名なカイロ談話が象徴するように、アメリカとイスラム世界のあいだで新しい道を築くことを挙げた。

アンカラで首相の座にあり、ワシントンが『穏健イスラム』に列するとみる一人の政治家が、オバマ大統領がこの考えを実現することにおいて、理想的な同盟相手として当時認識された。オバマ大統領が2009年1月にホワイトハウス入りし、外遊の一カ国目として同年4月にトルコを選び、アンカラを訪問してレジェプ・タイイプ・エルドアン首相のリーダーシップに強い支持を約束したことは、この政策実現の成功に向けた戦略的行動のひとつであった。

その後二人のリーダーの間に、プライベートでの交友も含めた確固たる極めて近しい協力関係が出来上がったことを目にした。ホワイトハウスへの訪問、国際会議での会談、頻繁に行われた電話会談などによって密になったこの強いパートナーシップは、トルコ=アメリカ関係の基軸となった。

エルドアン首相がここ何年かEUから遠ざかっていくにつれ、トルコの西側政策において生じた空白を、次第に大西洋の向こう側の友好国との間で築いた関係を通して補填する方向へ進んだ。

オバマ大統領もこの関係に満足していた。アフガニスタンやイラクから米軍を撤退させた際に、彼はエルドアン首相を、中東で信頼でき、また地域での力や経験においても不可分のパートナーとみていた。エルドアン首相もまたこの関係を通じて、アメリカと「穏健イスラム」世界の間に橋を架ける点で典型的なモデルを提供していた。

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二人の指導者は結果的にそれほど親しくなっていたので、2010年7月の国連安保理でイランの核開発問題に関する投票でトルコがアメリカではなくイランを支持する票を入れたことで生じた危機さえ、さして被害を見ぬまま短期間で解消されることができた。オバマ大統領は、エルドアン首相について「最高の友であり、パートナー」との表現を用いて評価した。大統領は、昨年行ったTime誌へのインタビューにおいても、「自分が最も近しいと感じる世界のリーダー5人」の中にエルドアン首相の名前を上げた。

この時期、両者の協力関係に暗雲が立ち込めるような態度を控えること、つまりエルドアン首相の「機嫌を伺う」ことが、オバマ大統領のトルコ政策の基本原則のひとつであった。

例えば、2009年にトルコで言論の問題が看過できないほどに表面化し始めた頃に、アメリカ政府内で生じた「二重外交」は、ホワイトハウスのこの姿勢の顕著な現れと言える。アメリカ国務省は言論の自由問題などを批判的な視点から捉えており、例えばヒラリー・クリントン国務相はトルコを (2011年7月)訪問した際にエルドアン首相自身にはっきりと、言論の自由に対する彼の態度を改めるよう呼び掛け、この話題を二者会談で取り上げた。しかし、 オバマ大統領は、エルドアン首相を前にこの話題に触れないよう細心の注意を払った。

エルドアン首相もまた自身の態度を決める際に、アメリカ国務省からのメッセージではなく、大統領の態度を重要視し、大統領と会談するにつれ次第次第に裁量を手にしていると感じつつ別れた。

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オバマ大統領がエルドアン首相を評価した極点は、昨年5月にホワイトハウスで首相をごくのわずかな世界のトップに見せる例外的プロトコルで以て扱った時のことである。オバマ大統領とエルドアン首相が5月16日、ばら公園で海軍歩兵隊員らが差す傘の下で雨宿りをする様子を撮影した写真は、 全世界にこの特別な仲を示した。

しかしエルドアン首相は、およそ3カ月後同じホワイトハウスの西側にある記者会見室でオバマ大統領のスポークスマンによって行われた会見のなかで、直接名指しで「強い批難」を浴びる当事者となった。ホワイトハウスがこれまで越えないよう注意を払ってきた態度に何が起こったのだろうか?この会見では他に以下の質問などが問いかけられた。

「5月16日のばら公園での睦まじい光景とは逆に、実際には底流に逆の流れがあったのか?」「それとも問題が生じたのは5月16日以降?」「トルコ=ア メリカの関係にゲズィ問題が影を落としたということは言える?」「エジプトのクーデターがこの関係を壊した?」「トルコがシリアでの過激な宗教グループを支援したことがアメリカとの関係で修復不能な問題に?」「最近のエルドアン首相の欧米諸国批判発言が今の問題要因になった可能性は?」「あるいはこうしたあらゆる要素が重なって『危機的な濃度』に達したのでは?」



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:31281 )