革命防衛隊総司令官、「アメリカに死を」スローガン中止をめぐる問題を批判
2013年10月14日付 Mardomsalari 紙

【政治部】「アメリカとの交渉と同国との関係改善」に注目が集まるようになってしばらくになる。たとえイラン・アメリカ外交関係樹立論は容易に形成されるようなものではないにしても、である。とはいえ、ロウハーニー大統領のニューヨーク訪問によって、イランの外交関係に新たな一章が刻まれたことも事実である。こうした中、1366年ファルヴァルディーン月4日〔1987年3月24日〕付のハーシェミー=ラフサンジャーニーのイマーム・ホメイニー宛書簡が波紋を広げており、「イマーム作品編纂出版会」を巻き込んだ問題となっている。

 この書簡について、イマーム作品編纂出版会の代表代行は次のように強調している。

1366年ファルヴァルディーン月4日付の4ページにわたる手書きの書簡の原本は、本出版会の資料庫に保存されている。この書簡は、ハーシェミー師が4つの問題の解決をイマーム〔・ホメイニー〕に求める内容となっており、これらの問題が解決されなければ、革命の将来に大いなる問題を残すと指摘されている。

ハーシェミー師が指摘する問題とは、1.〔国軍と革命防衛隊とで〕軍が二重化しており、治安組織も複数存在すること、2.シャリーア上の伝統と慣習上の伝統との境界が不鮮明であること、3.外交政策や大国、中でもアメリカとの関係について曖昧な点が存在すること、4.憲法上の欠陥・曖昧性が存在すること、である。〔‥‥〕

 同代行はその上で、「イマーム閣下はこの書簡に対して、文面での回答をしていない。イマームが回答しなかったからといって、それは〔ラフサンジャーニーの〕提案を拒否したということにはならないし、またそれを認めたということにもならない」と続けた。

 さて、「アメリカに死を」のスローガン中止をめぐって取り沙汰されている問題〔※〕に関し、革命防衛隊総司令官が反応を示した。

※訳注:ホメイニーがイランの公的集会で繰り返し唱えられている「アメリカに死を」のスローガン中止に同意したとするラフサンジャーニーの回顧録の内容を、ラフサンジャーニーの公式サイトが最近掲載したことが波紋を呼んでいることを指す。

 イスラーム革命防衛隊総司令官は北ホラーサーン州「革命防衛隊ジャヴァード・アル・アエメ部隊」所属の「バスィージ旅団作戦基地」で行われた合同朝礼にて、アメリカとの交渉をめぐる議論や、それに関する最高指導者の発言について、次のように述べた。

「英雄的柔軟性」に関する最高指導者の言及に対し、敵はさまざまな解釈をしているが、この「柔軟性」という語の真意は「われわれはことさら敵意をむき出しにする者ではない」ということである。また「英雄的」というのも、「敵がわれわれの奉じる原則や価値観について認識し、自らの逸脱した道との比較でわれわれの奉じる真理を理解するための機会を彼らに与えるべきだ」という意味なのである。

 モハンマド・アリー・ジャアファリー少将はこの点について、イラン・イスラーム共和国の建国者であるイマーム閣下の発言を歪曲し、イマーム閣下があたかも「アメリカに死を」のスローガン中止に同意していたかのように主張している者たちに向け、さらに

人民はこうした者たちが何を狙っているのかを理解しており、敵を利せんとする彼らの雰囲気作りに騙されるようなことはないだろう。88年の反乱〔=2009年大統領選後の抗議運動〕以降、人民は彼らの言葉を真に受けるようなことはない。イラン国民と我らのイスラーム革命は極めて堅固であり、こうした言葉に影響を受けたりはしないということを、彼らも知るべきだ。殉教者たちの血によって手に入れた革命の価値観と原則とを守り通す気概を失うつもりなど、イラン国民にはさらさらない。

 と指摘した。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:31706 )