サラーヴァーンでのテロは政権の穏健路線を危機に陥れることが目的:専門家
2013年10月28日付 Iran 紙

 サラーヴァーン国境警備隊を狂信的に攻撃したテロ・グループの行動は、いかなる目的で行われたものなのであろうか。また、こうした攻撃は軍事的・安全保障的にいかなる価値を持つものなのだろうか。

 この攻撃は金曜日の夜に行われ、その結果イラン人国境警備兵16名〔※ママ〕が殉教している。

 イラン紙が専門らにインタビューした結果分かったのは、こうした攻撃に軍事的重要性はほとんどないものの、他方で攻撃者らは政府や体制に対抗して「逸脱戦線」を立ち上げ、イランが不安定な地域であることをアピールしようとしている、ということである。彼らは「穏健」を掲げる〔ロウハーニー〕政権に対して、新たな障害を作り出そう〔‥‥〕としているのである。

〔‥‥〕

 サラーヴァーン事件に関与した組織として、「ジェイショル・アドル」という名のテロ・グループが確定し、またこのグループが組織され、最終的に逃げ込んだ場所としてパキスタンという国が浮上したことで、この問題は新たな様相を帯びるようになっている。

 元国会議員のヘシュマトッラー・ファラーハトピーシェ氏は、周辺諸国の治安機関は〔今回の襲撃事件に直接・間接的に関与したとして〕強く批判されるべきだとした上で、「これらの機関は国際情勢がイラン・イスラーム共和国に有利になることを懸念しているのだ〔‥‥〕」と述べている。

 同氏によると、周辺諸国が多少なりとも政情不安に苛まれている中で、イランをめぐる国際的な状況は好転し、同国の外交政策への評価も高まりつつある。こうした中で、イランは「安定の島」として存在感を示すようになってきており、このことが一部の国を不安にさせているのだという。

 ファラーハトピーシェ氏は続けて、次のように述べている。「こうした治安機関の一部は、テロリストたちを金銭的にも信条的にもバックアップしており、こうした事件に大きな影響力を有している。彼らが主に狙っているのは、こうした事件を起こすことで、イランを不安定な国として印象づけることなのである。彼らは怒り心頭に発している。〔そのために〕彼らはイデオロギー的な領域だけにとどまらず、実際の行為においても、〔テロのような〕行動に出ているのである」。

 同氏は、政府は真剣にこの問題を追及し、国連を通じてでも今回の事件にかかわった国境地帯のテロリストたちを追い詰めるべきだとの見方を示している。

〔‥‥〕

 〔他方〕一部の専門家らは、アラブ諸国の一部の過激分子が今回の事件に関与し、あるいはそこから利益を得ている可能性が高いとの見方を示している。専門家らが特に指摘するのは、過去35年間にわたって反シーア・反イラン的な企ての後ろ盾となってきた、サウジアラビアの急進グループである。

 戦略問題の専門家であるアミール・ムーサヴィー氏は、シリア問題国連代表を務めるラフダル・ブラヒミ氏がイラン入りしたことが、サウジ国内の急進派の神経を逆撫でしたと指摘している。

彼らは政治的プレステージの点から、イランに疑問符を付け、同国が政情不安に陥っているかのように印象づけようと躍起になっている。彼らは、シリア問題に影響力を行使する力などイランにはないということをほのめかそうとしているのだ。彼らはブラヒミ氏のイラン訪問を、〔世界のメディアの〕トップニュースに載るのを阻止しようとしていたのである。そしてその目論見に成功したのである。

 サウジ政府内の中道派や国王自身は、穏健なロウハーニー政権の誕生を歓迎しているものの、同国の狂信的な急進派は、いまだにイランとアラブ諸国の協力を阻止しようと試みているというわけである。
 ムーサヴィー氏はまた、ロウハーニー政権の外交力に触れ、「ニューヨークですべてが変わった。すべての国がイランとの関係〔改善〕を求めた。これは多くの国を混乱させている。今われわれは、今回の事件発生による心理的な影響を目の当たりにしている。しかし承知しておかねばならないのは、政府が方針を元に戻すことはないということである。むしろこの種の問題に対してより真剣に取り組み、例えばイランとパキスタンとの間で〔かつて結ばれた〕治安協定をより積極的に実行に移していく必要があるだろう」と指摘している。

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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:31860 )