クルド問題解決法案に驚きの内容「オジャランらも政治活動可に」
2013年12月06日付 Milliyet 紙


民主化法案にもり込まれた驚くべき改正によると、テロ行為で有罪判決を受けたオジャランを始め、その他有罪判決を受けた人々や、今後山から投降するPKK(クルディスタン労働者党)メンバーなどに政治参加の道が開かれる。

今回政府が発表した「民主化法案」は、クルド問題解決プロセスのために非常に重要であるとされる一方、内容が不十分であると批判されている。この法案が昨日TBMM(トルコ大国民議会)に送られた。議長府に提出された17の項目から成る法案には、以下のような改正が含まれている。

・クルド語でのプロパガンダ:選挙でクルド語によるプロパガンダが可能となる。

・共同党首制の導入:政党は共同党首制をとることができるようになる。2人を上限として、政党の共同党首が認められる。これまでにこれを採用したのはBDP(平和民主党)のみ。

・町支部の設置が必須ではなくなる:町に支部を設ける必要性がなくなる。これにより、新しい政党の選挙への参入が容易になる。

・得票率3%以上の政党に最低100万リラの補助金配布:国会議員選挙で有効投票数の3%以上を獲得した政党に補助金が出る。この補助金の額は最低100万リラ。これまでは得票率7%以上が補助金の支給対象であった。ただし、BDPは前回の総選挙で候補者を無所属として擁立したため、この対象には当たらない。

・集会の場所は共同で決定される:県/郡内で行われる集会の場所は、TBMMに会派のある政党の県/郡代表と、規模の大きい順に3つの労働組合または公共組織の性質を有する職業団体の代表者の意向を聞いた上で、県知事または郡知事により定められる。現行制度では、この決定は県知事と郡知事が行っている。

・市民の日常生活に支障をもたらさないという基準:県または郡の規模と発展度合を考慮して、複数の集会およびデモ行進のための場所や経路が決定される。ただし、監督機関が公共秩序や治安を乱さず、市民の日常生活に支障をきたさないと判断した複数の場所や経路のうち一つを選択できる。集会やデモが「日常生活に支障をもたらさない」という基準が定められると、特にベイオール、カドゥキョイ、クズライのような広場での活動の全面禁止への道が開かれうる。

・日没まで:屋外での集会は日没までに解散すること。屋内の場合は24時まで。これでこの禁止を破ったとして何十人もの国会議員について作成された調書も無効となる。現在の規定は屋外が日没1時間前まで、屋内は23時までだが、実際には形骸化している。

・デモ参加者らを記録:全ての集会、デモ等の活動で、演説者および参加者の声や映像は警察によって記録されうる。入手された記録や映像は犯罪捜査や容疑者特定等以外には使用されない。これによって集会で騒ぎを起こした者や、犯罪者の追跡が容易となる。しかし、この改正は、あらゆる集会で警察が自由に記録をとれるようになるという点で批判を 浴びている。

・目的に反する場合、警察が解散させる:監督機関は集会が当初の目的と異なる内容、あるいは秩序だった進行が不可能であると判断した場合、解散決定を下すことができ、その際決定は、直ちに関係する警察機関に報告される。解散決定は警察ではなく、政党代表者も所属する監督機関によって判断される。監督機関がその職務を行えない場合、その状況は関係する警察機関から県/郡知事に報告され決定は彼らが下す。決定が下された後、解散指示は警察によって実行される。

・私立学校でのクルド語教育の解禁:課外クラスの他に、クルド語やその他の様々な言語や方言を教える私立学校の開設が可能となる。それらの学校の授業で使用される言語は閣議によって決定される。

・スカーフ着用の妨害に懲役:トルコ刑法が「教育に関する権利」を定めた第112条の改定により、全ての教育活動において個人の教育の権利の行使、学生の校舎への立ち入りを妨げる者には2年から5年の懲役が科される。

・ゲズィ公園でのデモ参加者らに罰則:法案により、ゲズィ公園、ODTÜ、 HESなどで行われたデモ活動に対する罰則を伴う措置が設けられる。ゲズィ公園、ODTÜ、 HESでのデモ活動と同様に、公共組織によりすすめられているプロジェクトの進行を妨害した場合、2年から5年の懲役刑が科される。

・身分証を与えない者にも罰則:トルコ刑法に追加された新たな条項により、公共組織や公共組織の性質を有する職業団体、あるいは公的な立場の者の認可に基づき提供されるサービスの利用を妨げる者は2年から5 年の懲役が科される。これにより、以前話題となったスカーフ着用の弁護士にトルコ弁護士協会が身分証明書を発行しなかったような事例は、違法となる。

・学校や職場での礼拝:トルコ刑法で「信仰、思想、考えの自由」を定めた第115条の内容追加により、学校や職場で礼拝などの宗教的行為をすることが可能になる。この追加で宗教的行為を行うことを、暴力や脅迫、その他の違法な態度で妨害する者には1年から3年の懲役が科される。

・生活スタイルを保障:上述の法改定により、生活スタイルの保障も強調されている。「信仰、思想、考えに基づく生活スタイルの選択について干渉したり、変更を強制したりする者は1年から3年の懲役が科される。

・憎悪犯罪には不十分な罰則:法案により、憎悪犯罪がトルコ刑法で規定される。トルコ刑法第122条は項目名が「差別」から「憎悪と差別」に変更された。さらにこの条項に「宗教、言語、宗派」の基準に「民族」の概念が追加され、憎悪犯罪や差別犯罪を犯した場合の罪が6ヶ月から1年の懲役から1年から3年の懲役に改定された。ただし、期待に反し、人種や民族を理由にした傷害・殺人・侮辱といった犯罪に対する刑罰の軽減は改正に含まれておらず、性別による差別についても規定されなかった。

・トルコ語でない村名について:法案によって、県の行政が村名の変更をさせることに関する表現が取り除かれた。1949年に行われた改正の撤廃は、トルコ語でない村名の変更を防ぐものである。ただし、すでに変更された名前に関する新たな改正は行われなかった。

・オジャランに政治の道:法案の現行法から取り除かれた規定の部分で、イムラル刑務所で服役中のアブドゥッラー・オジャランや、山岳部に潜伏し、今後山から投降するであろうPKKメンバーらに政治参加の道が開かれる。政党法の中で「政党への所属」を禁止する要件規定のうち、「テロ活動で有罪判決を受けた者」という基準が削除される。これによってオジャランや山から投降したPKKメンバーがBDPやHDPなどの政党へ加入し、政治活動を行うことができるようになる。今回の法案では、「公共利益に反する行為」すなわち密輸や不正入札、国家機密の漏洩などの罪で5年以上の有罪判決を受けた者、国家反逆の罪やテロ行為の罪で有罪となった者の政党参加禁止を解除している。

<中略>

・帽子とアルファベットに関する罰則の廃止:トルコ刑法における「帽子とアルファベット」の条項は撤廃される。これにより(トルコ帽が)禁止されても浸透することのなかった縁のある帽子の着用義務違反と、(トルコ語のアルファベットにはない)x、q、wの文字の使用とに対して定められた2ヶ月から6ヶ月の懲役刑が廃止される。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:32184 )