ギュレン師、エルドアン首相に名誉棄損訴訟
2014年02月03日付 Radikal 紙

フェトフッラー・ギュレンの弁護士、ヌルラフ・アルバイラク氏は、エルドアン首相が行なった複数回の演説が、国際条約やトルコ共和国憲法、法律によって保障されている依頼人の人権を侵害したとして、慰謝料10万TLを要求する裁判を開いた。

アルバイラク弁護士は、アンカラ第一審裁判所に提出した訴状で次のように主張している。「被告人である首相は、イスタンブル共和国検察庁によって行われた、『12月17日・25日収賄及び不正捜査』として知られる司法捜査の一環として、一部の大臣の近親と政府高官の逮捕や聴取等を行なった後、攻撃的、侮辱的で人を対立させ敵意に扇動するようなヘイトスピーチによって、依頼人と彼を慕う人々を攻撃しはじめた。被告人のヘイトスピーチのトーンは日に日に強くなり、理性、論理、倫理を逸したものとなった。」

■被告の演説は依頼人を標的にしたものである

アルバイラク弁護士は訴状で、「被告人は演説で依頼人の名前を明言したわけではない。しかし間接的に依頼人を標的にしている」とし、次のように続けている。「世論も被告人の発言が依頼人に向けられたものであると認識し、それを前提に解釈している。この法外な発言の標的が依頼人であることは明白である。」
アルバイラクは、裁判の対象となっている(エルドアン首相の)複数回の演説の後、様々なメディアで報じられた「首相からフェトフッラー・ギュレンに厳しい発言、エルドアンからギュレンに非常に厳しい発言、エルドアンがギュレンを『賢人もどき』『ウイルス』と厳しく批判!、エルドアンからギュレンに重い発言、エルドアンからギュレンに重い非難、首相からギュレンに重い非難、エルドアンがギュレンを『秘密結社』と揶揄、エルドアン首相からフェトフッラー・ギュレンに重い非難、エルドアン首相がフェトフッラー・ギュレンを侮辱、エルドアンがジェマートとギュレンを厳しく非難、エルドアン首相がギュレンを批判:この団体の中は空っぽ」といった報道も、(首相の演説が)依頼人を標的にしたものであることを明白にしていると述べた。また同弁護士は、「被告人はこれまでこれらの報道を否定するような説明をしていない」と述べた。

■依頼人に向けた発言は、ヘイトスピーチ同然だ

アルバイラク弁護士は、訴状で欧州人権裁判所や、欧州評議会閣僚委員会の決定、国際連合市民的及び政治的権利に関する国際規約の第20条、アメリカ合衆国連邦裁判所の決定を参照し、被告人の「潜行性のウイルス、(テロ)組織、秘密結社、麻薬中毒者、呪術師、カセットテープを合成する人々、名誉暗殺者たち、敬虔な衣をまとった偽善者、腐敗し、体内に入り込み蔓延したウイルス、奴らの巣窟に踏み入ろう、奴らの手を折ろう、国民の主権をくすねる人々、スパイ、密偵、麻薬中毒者と言うと彼らは気分を害す、録音機械による記録は拒絶される、嘘つき預言者、中身が空っぽなインチキ賢人、コードネーム:アナナス(パイナップル)、合言葉:数珠、合言葉:アナナス、組織に執心の兄弟たち」といった表現が、(ギュレン氏に対する)あからさまなヘイトスピーチであると主張した。また同弁護士は、「被告人のこうした発言は法的に弁護できるものではなく、どのような説明によっても正当化できないものであり、欧州人権裁判所やトルコ共和国憲法、法律に基づけば法治国家としてこうした表現に対して妥当な処罰を下さなければならないことは明白である」と述べた。
アルバイラク弁護士は訴状で、裁判の対象となっている(エルドアン首相の)発言によって、依頼人の「人格権とプライバシーの権利」が侵害されたとしている。

■依頼人を慕う人々も被害をこうむった

訴状で同弁護士は、「首相の発言は様々なメディアで報道され何度も繰り返された事実と反するこの(依頼人に対する)非難、中傷、侮辱によって、依頼人の人格権は公の場で攻撃され、この事実無根の主張や人格権を傷つける表現が依頼人だけでなく依頼人を慕う人々にも被害を与えたため、この裁判を開かざるをえなくなった」とし、次のように述べている。「被告人が口にした発言・非難は大変重い。不当で侮辱的、軽蔑的である。慰謝料を定める際は、被告人がトルコ共和国首相であること、発言や演説を全国民が耳にすることに留意するべきである。さらに非難の激しさと、非難された人間が被った苦痛と悲しみを考慮しなければならない。また慰謝料を決定する際は、依頼人の立場(社会的状況)を考慮すべきである。首相の発言はテレビで中継された。あらゆる形のメディアで報じられ記録が保存されるため、人々はこの発言を繰り返し読むことになる。よって高額の慰謝料が請求されるべきであることは明白である。また、(首相の発言によって)他の人々も根拠のない抽象的で不当な主張を口にするようになる可能性も考慮すべきである」。

訴状では、「被告に対し、原告である依頼人の人格権に対して行なった重大で継続的な攻撃を理由として、慰謝料100,000トルコリラの支払いと、訴訟費用及び弁護費用の支払いを求める」とされている。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:32808 )