『北の国から』:近代の日本人の暮らしの物語(中)
2014年01月30日付 Jam-e Jam 紙

 2002年に放送されたドラマシリーズ『北の国から』の最終章では、蛍が人生に行き詰まる。彼女は夫〔※不倫関係にあった恋人〕と別れた後、妊娠していることに気づく。このため富良野の昔馴染みの隣人であるスータ(草太)に助けを請い、お金を貸してくれるよう頼むのであった。

 草太は五郎や純にこの出来事を知らせることなく、蛍と或る青年との結婚の御膳立てをする。その青年は15年前から、蛍に好意を寄せていたのだった。

 『北の国から』シリーズのテレビ放送開始から18年の間に、蛍役を演じるトモコ・ナカミマ(中嶋朋子)は実生活においても家庭を持ち、妊娠を経験する。その一方で、シリーズの制作スタッフや関係者の誰一人として、ドラマ撮影終了まで蛍の妊娠を知らず、また彼女自身様々な困難にも拘わらず、制作チームとの活動・協力を真摯に継続する〔※ママ〕。18年を経て、今や純と蛍は父親の介護という責任を負わねばならない立場に立たされている。

『北の国から』の真実

 五郎役の俳優タナカ(田中邦衛)によると、日本社会は常に変化しつつあり、こうした変化は社会の健全性を脅かす、重要な要因となりうるという。『北の国から』は日本人の現実の生活で起きるさまざまな出来事を、五郎一家の家族生活の艱難辛苦として描き出した無類のテレビシリーズである。

 このテレビシリーズのプロデューサーであるヤマダ(山田良明)も、ドラマの放送終了後、青少年たちが職業に就いたり、一般社会で苦労したりする際に、このシリーズが彼らをうまくサポートできたのなら幸いだ、と述べている。

 このテレビシリーズの原作者で、自身富良野に在住のクラモト(倉本聰)は、『北の国から』が、北海道が昔から経験してきた真実の物語であると確信している。〔放送が開始された〕当時から18年が過ぎた後も、この地域に住む人々は自分たちの生活を続けるために、さまざまな困難と格闘し、その克服を目指してきた。

 このテレビシリーズの最終章では、我が子たちに生涯を捧げてきた五郎が、生活の過程で担ってきた様々な責任を徐々に純や蛍に託し、〔家族の〕生活の舵取りを彼らの手に委ねる。そして今後は彼らが父親に代わって、人生の様々な困難や障碍を経験しながら、将来の進むべき道を自ら切り開いていくのである。

 このテレビシリーズは現在までに、数え切れぬほどの賞を獲得している。1981年の第14回テレビ大賞、第19回ギャラクシー賞、日本プロデューサー協会賞特別賞、大和文学賞〔路傍の石文学賞〕などである。

つづく




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:赤城颪雷来 )
( 記事ID:32980 )