マケドニア国立トルコ劇団、その歴史
2014年04月10日付 Zaman紙


64年間トルコ語演劇に貢献してきたマケドニア国立トルコ劇団のドキュメンタリーが撮影された。ドキュメンタリー「バルカンの真ん中で」は5月8~12日にTRTドキュメンタリーフェアで公開される。
この劇団は、ドストエフスキー『罪と罰』を1979年に上演したことでヨーロッパや世界の注目を浴び、今日まで約300作品を上演してきた。

64年前からヨーロッパの中心で「トルコ劇団」(Türk tiyatrosu)の名を掲げてきた劇団がある。マケドニア国立トルコ劇団は、1906年に旗揚げされ、1950年からは国立の劇団として公演を行ない、今日までに上演した作品や数々の賞の獲得によって、マケドニアの芸術の中心的存在となった。トルコへもしばしば公演に訪れている。最近では昨年国立劇場アダナ国際サバンジュ演劇フェスティバルで「息子たちみんな」(Bütün Oğullarım) を上演した。4月13日(日)にも、少ないが選りすぐりの団員を従えてトルコにやって来る。ドキュメンタリー「バルカンの真ん中で」は、日曜日にジェマル・レシト・レイ・コンサートホールで初めて上映される。その際、世界的に有名な女優ベディア・ベゴヴスカや、20カ国で著書が出版されている劇作家で詩人のイルハミ・エミン、演劇界で優れた演出家として知られているブランコ・スタヴレヴ、「罪と罰」でラスコーリニコフ役で世界的に有名になり、マケドニア国立トルコ劇団の団長をつとめたことのあるフィルダウス・ネビが、トルコの観客たちとともに作品を鑑賞する。

マケドニア国立トルコ劇団は、今日まで約300作品を上演してきた。特に1979年に上演したドストエフスキーの『罪と罰』は、トルコ劇団の存在をヨーロッパと世界に知らしめた。この作品は、(今年54回目を迎える)サラエヴォ演劇フェスティバルでブランコ・スタヴレヴ演出により初公開された。秋に行われるこのフェスティバルは、演劇界のすべての人々が集まり、100人以上の批評家が参加する重要なイベントである。そこで『罪と罰』が上演された。ドキュメンタリーのスタヴレヴのインタビューによると、批評家たちは彼らの作品を観るなり「ドストエフスキーをこんな劇にしたのはどこの劇団だ?」と強い衝撃を受けた。彼らはバルカン諸国のひとつ、小さなマケドニアで、トルコ劇団が活動していることをそのとき知ったのだった。手に鎖をかけられた姿でラスコーリニコフを巧みに演じ、みなの心を動かしたフィルダウス・ネビは、ドキュメンタリーでその頃の出来事を涙ながらに語っている。

スコピエで収録されたドキュメンタリーには、イルハミ・エミン、フィルダウス・ネビ、ブランコ・ストラヴレヴのほかに同劇団のベテラン俳優であるミュシェッレフ・ロザナ、エルヤサ・カセ、セラハッティン・ビラル、ムスタファ・ヤシャル、団長のアッティラ・クリンチェ、元団長のギュネル・イスマイル、トルコ劇団の専門書を執筆し、ユーゴスラヴィアの元大統領ティトーことヨシプ・ブロズの通訳をつとめたリスト・ステファノスキ、トルコでドラマ「さよならルメリ」(Elveda Rumeli)によって有名になったフィリズ・アフメト、1989年にベルトルト・ブレヒトの「コーカサスの白墨の輪」をスコピエの役者たちとともに上演した演出家ユジェル・エルテンのインタビューが含まれている。マケドニア国立トルコ劇団で役者の道に足を踏み入れたフィリズ・アフメトの祖父リュトフュ・セイフッラーはマケドニアで最も有名な俳優の一人である。母親は劇団で長い間プロンプターとして働いていた。ドキュメンタリーでは同劇団の歴史が、証言だけでなく資料や写真によって語られる。劇場の場所を示す1907年1月8日の日付の入った地図は、首相府オスマン歴史資料研究者の一人でスコピエ生まれのユルドゥルム・アーンオール氏の貢献によってドキュメンタリーに使用された。

■あらゆる災難を乗り越えてきた

バルカンで最も古い劇場は1906年に、オスマン帝国の知事マフムト・シェヴケト・パシャによってヴァルダル川の岸辺に建てられた。少数民族劇団として知られ、後に諸民族劇団と改名し、今日では国立トルコ劇団となったこの劇団は、ユーゴスラヴィアで演劇教育を受けたアブドゥシュ・ヒュセインによって1950年に設立された。演出家のイスメト・アラサンは、抑圧や貧困、移住、地震といった問題を乗り越えたトルコ劇団のドキュメンタリーを撮ろうと思った理由を次のように語っている。
「国立トルコ劇団では、作品がバルカンのすべての言語で上演されています。上演中に他言語へ翻訳されています。第二次世界大戦後、マケドニアではさまざまな文化に、限られた範囲ではありましたが、発展の機会が与えられました。この時期にトルコ系住民は、アイデンティティ獲得の闘いを始めました。ラジオ放送、文学作品、雑誌を、トルコ語やトルコ文化を活性化させる分野と見なしたのです。2006年から今日まで独立した活動を行ってきたスコピエ・トルコ劇団は、マケドニア共和国に大きく貢献してきたため、マケドニア大統領府によって表彰されました。私はこの劇団の存在を、そして驚くべきエピソードに彩られたその歩みを、みなさんに伝えたかったのです」。

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(翻訳者:篁日向子)
(記事ID:33461)