ボスフォラス海底自動車道工事、はじまる
2014年04月19日付 Radikal 紙


カズルチェシュメ-ギョズテペ間を15分でつなぐ自動車道を通すためのボスフォラス海底トンネル掘削工事が始まった。エルドアン首相によりユルドゥルム・バイェズィドと名付けられた掘削機械が導入され、基礎工事がおこなわれている。

トンネル掘削機械ユルドゥルム・バイェズィドによるユーラシア・トンネル開通作業が、タイイプ・エルドアン首相の指示で開始された。
同機械はハイダルパシャから地下に降ろされ、エルドアン首相の起動ボタンを操作で作業が始まった。その後、エルドアン首相が自身に同伴した記者らのヘルメットにサインする様子もみられた。

■着工は昨年

ボーリング作業開始前に開催された式典でスピーチしたエルドアン首相は、「これは着工式や作業開始の式典ではありません。それらはすでに雨天の日に済ませています」と述べた。首相は、2013年5月27日にチャトラドゥカプで工事が始まったと話し、「ドイツで特殊なトンネル掘削機械が製造されました。この巨大な機械が現場に持ち込まれ、組み立てが完了しました。今日は、その機械でトンネル掘削が始まる日です」と語った。

■地下鉄マルマライ線のように

エルドアン首相は、この日イスタンブルのボスフォラス海底に自動車が通行可能なトンネルを掘削する工程が始まった、と語った。また首相は、「この現場で使用されるトンネル掘削機械の特徴は、1日約20メートルを掘り進むことです。アッラーの思し召しによりアジアからヨーロッパまでが繋がります。われわれは偉大な一歩のスタート地点にいます。地下鉄マルマライ線と同様、海底を行き来できるトンネルを開通させる計画です。それにより車両による大陸間の通行が可能になります」と述べた。

■イスタンブルの交通渋滞を緩和

首相は、ユーラシア・トンネル開通の暁には、3本の大陸間大橋と合わせ、合計4つの海峡横断道路ができることになると述べた。
また、「それによりイスタンブルの交通が緩和されまするでしょう。大橋を渡る際の渋滞による苦痛は、トンネル工事によって過去のものとなるはずです」と表現した。
本計画が完了すれば、これまで移動に100分を要したカズルチェシュメからギョズテペまでは15分で繋がるようになる。エルドアン首相は「本計画の予算総額は12億4500万ドルです。これをトンネル通行料で回収するとともに、ガソリン節約によるトルコへのメリットもあります。環境への被害を最小限にし、騒音振動も制限されるため、環境にもやさ しい。
トンネルに明かりが灯るのを心待ちにしましょう。この計画の完了を目にできますよう。ともに再び開通式典を実現させましょう」と語った。

■15分に短縮

海底での工事は、本計画のために特注された掘削機械によって行われる。ユルドゥルム・バイェズィドによってと名付けられた掘削機械は長さ120メートル、重量3400トン。ユーラシア・トンネル開通でギョズテペからカズルチェシュメまでの所要時間は15分に短縮されることが見込まれている。

■ボスフォラス対岸が初めて「自動車道」で結ばれる

イスタンブル・ボスフォラス海底自動車道開通計画は、ボスフォラス海峡のアジア側とヨーロッパ側の対岸を海底自動車トンネルで繋ぐ。本計画は、イスタンブル市内でも交通渋滞が深刻なカズルチェシュメ~-ギョズテペ間での運用を予定したもので、路線の全長は14.6キロメートルにおよぶ。計画では、そのうち 5.4キロメートル分が海底を通過し、2階構造のトンネルとなる予定である。またヨーロッパ側とアジア側で合計9.2キロメートルの道路でも道幅の拡大・ 改良工事が行われる。イスタンブル市内で最も渋滞が深刻な交通路線の所要時間が100分から15分にまで短縮されれば、より安全で快適なドライブとなるはずだ。
本計画における公的資金からの支出は一切なく、公的機関は作業・工事を管理するだけである。工期終了とともにユーラシア・トンネルは公共事業に受け渡されることになっている。本計画はBOT(build–operate–transfer)方式が採用され、投じられる予算は約13億ドル。
この投資のため9億6000万ドルの国際為替が用意され、自己資本2億8500万ドルはヤプ・メルケズィ社とSK E&C社が負担した。

■トンネル掘削機械に命名

ユルドゥルム・バイェズィドと名付けられた掘削機はドイツで製造された特注品だ。海底での掘削作業は、本計画のために特別に設計されたトンネル掘削機に支えられて実現する。
独Herrenknecht社がドイツで製造した掘削機の組み立て作業はトルコ国内で行われた。掘削作業はアジア側から開始され、機械は内壁を固めながら海底約25メートル地点を掘り進む。1日の作業速度は平均8~10メートルと見込まれている。掘削機はベントナイトミキサーを用いたトンネル開通機械で11枚の竪穴プレス機と13.7メートルの掘削径を備えそれぞれ、世界第2位、第6位の大きさを誇る。
使用される掘削機は、トンネル胴部を掘り進むメイン掘削面の高さ(地面を掘る部分、ならす部分、プレキャスト工程を担う部分の合計)が13.5メートル。後部に接続された電源とほかのユニット、4つの補助ユニットと合わせると全長は120メートルにもなる。
機械の総重量は約3400トンで組み立てられた部品のうち最も重いのは掘削ヘッドだ(450トン)。

■トンネル工事のためトルコ・韓国の共同企業を設立

ユーラシア・トンネル作業・工事・投資企業法人は2009年にイスタンブル・ボスフォラス海底自動車道開通計画に向けて設立された。トルコ側からはヤプ・メルケズィ社を筆頭に韓国のSKE&C社などが企業法人の中心となっている。韓国企業との共同事業であることから、エルドアン首相はスピーチで韓国フェリー転覆事件への悲しみを述べ、韓国市民に追悼の意を表した。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:33555 )