(技術的理由により非公開)イスラエル・パレスチナ:ユダヤ過激派のキリスト教徒に対する暴力が増加―ローマ教皇の聖地訪問を前に
2014年05月11日付 al-Hayat 紙


■ローマ教皇のイスラエル訪問を前に、キリスト教徒に対する人種差別的暴力行為「代価の取り立て」が増加

【AFP、本紙:被占領地エルサレム】

カトリック教会は本11日(日)、キリスト教・イスラーム教関連施設を標的としてユダヤ過激派「代価の取り立て」グループが以前から行っている襲撃・暴力行為を激しく非難した。

■「代価の取り立て」運動とは何か

2008年以降、右翼過激派の入植者や活動家が、占領を受けるパレスチナ西岸地区及びイスラエルにおいて襲撃を行い、襲撃の現場にはヘブライ語で「代価の取り立て」と書き残していくようになった。そして昨年以降、入植者は暴力行為の範囲を拡大、(エルサレムにあるイスラーム教の聖地)アクサー・モスクだけでなく、キリスト教の教会も対象になるようになった。

それらの過激派は、自分たちが「反入植的」だとみなす措置をイスラエル当局が取るたびに、パレスチナ人およびアラブ人の所有物、ときにはイスラエル人兵士を標的に攻撃を行う。そうした当局の措置の例としては、西岸地区において野放図に建築されていた小規模入植地の取り壊しなどが挙げられる。

また襲撃の具体例としては、パレスチナ人の不動産の損壊・破壊、乗用車やキリスト教・イスラーム教関連施設の焼き討ち、農作物の蹂躙(じゅうりん)やオリーブの木の伐採、墓所や聖地の凌(りょう)辱が挙げられ、ときには身体的な暴力行為にまで及ぶ。

■「代価の取り立て」の黒幕は誰か

(イスラエルの)ハアレツ紙はイスラエル治安筋の話として、先日の破壊行為には未成年者を多く含む数百人が関わっており、そのほとんどがユダヤ教の聖職者イツハク・ギンズバーグ(Yitzchak Ginsburgh)のもとで学ぶ学生だと報じた。同氏は、西岸地区の北部にある過激派入植者の巣窟となっているイツハル(Yitzhar)入植地の宗教学校で教鞭(べん)をとっている。

容疑者の一部は、反アラブの人種差別運動「カハ(Kach)」に所属すると主張している。カハは1971年にメイル・カハネ(Meir Kahane)が(政党として)設立したが、党員のバルッフ・ゴールドシュタイン(Baruch Goldstein)が西岸地区南部ヘブロンのイブラーヒーミー・モスク内で礼拝をしていたイスラーム教徒29名を殺害したことをきっかけに1994年に非合法化された。

■特にキリスト教関連施設への襲撃が増えているのはなぜか
イスラエル当局がイツハル入植地にある違法建築物5棟の取り壊しに乗り出したことを受けて、4月上旬以降、襲撃は激しさを増している。取り壊しは、入植者との衝突に発展し、「代価の取り立て」襲撃も増加した。

イスラエルメディアの報告書によればイスラエル警察やイスラエル総保安庁は、この過激派グループが、(今月末の)フランシスコ・ローマ教皇の聖地訪問の直前に、メディアの関心を引くために襲撃を倍増させるではないかと懸念しているという。

4月頭以降、数々のキリスト教関連の施設や名所が破壊された。ガリラヤ湖畔のタービガ教会では、十字架は引きずりおろされ、聖職者らが襲撃を受けた。また被占領地エルサレムでは、モスクが定期的に標的とされる一方で、反キリスト教のスローガンが各所に書かれている。

他方で、イスラエル警察のミッキー・ローゼンフェルド(Micky Rosenfeld)報道官は、警察部隊が機微な宗教施設周辺での警備を強化したと強調した。

■この動きに対するイスラエル当局の反応は

イスラエル警察による複数の逮捕にもかかわらず、現在まで誰一人として刑事訴追を受けていない。またイスラエル政府は、パレスチナ人が行う襲撃事案と同様に、この件を総保安庁(ISA)に付託すべきだと繰り返し呼び掛けている。

また閣僚や治安・諜報の元トップらは、こうした暴力行為に及ぶ者を「非合法団体」メンバーとしてだけでなく「テロリスト」とみなすよう求めているが、ベンヤミン・ネタニヤフ内閣は今のところこうした求めを拒否している。

さらに、米国務省は4月30日に発表したテロに関する年間報告書の中で、ユダヤ過激派の暴力行為、特に占領下の西岸地区でのパレスチナ人に対する入植者による暴力行為に「刑事訴追や逮捕」といった措置が取られていないことを非難した。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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この記事の原文はこちら
パレスチナ:米国、入植者の暴力行為を初めて「テロ」と位置付け(2012年08月20日付)
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( 翻訳者:アラビア語新聞翻訳班 )
( 記事ID:33840 )