国家安全保障最高評議会書記「イラク問題をめぐるイランとアメリカの協力は非現実的」
2014年06月16日付 Jam-e Jam 紙


 外務省報道官が土曜日に、イラン政府はイラク危機への外国の介入には反対であると強調したにもかかわらず、一部の西洋メディアはいまだに、テロ組織「ダーイシュ」(イラク・シャーム・イスラーム国)への対応で、イランとアメリカが協力する〔可能性〕について強調している。恐らくそのためであろうか、今回、国家安全保障最高評議会書記はこうした騒動を否定する発言を行った。

 アリー・シャムハーニー書記はイランとアメリカがイラク危機で協力する可能性について伝えている西洋メディアの一部の報道に触れ、「こうした内容は〔イランへの〕心理戦という側面を有しており、まったく非現実的だ」と述べた。

 メフル通信の報道によると、同氏は次のように強調した。

すでに表明したように、イラク政府からの正式の要請があった場合には、国際的なルールに枠内で、〔イラクへの〕支援について検討するつもりだ。これは完全に〔イランとイラクの〕二国間のものであり、第三国には関係がない。

イランと協力するようオバマに圧力

 シャムハーニー書記がこうした姿勢を示した背景には、イギリス紙デイリー・テレグラフが昨日、「ダーイシュの危険、イランとの連合をアメリカに強いる」と報じたことがある。

 ニュースサイト「アスレ・イラン」が伝えたところによると、同紙はイランと協調するよう米大統領に対して圧力が加えられていると指摘した上で、「オバマはイランとの長年にわたる敵対関係を無視してでも、イラクにおける過激主義の脅威に対抗するために、同国との協力関係をスタートさせることを余儀なくされている」と言明した。

 こうした分析にもかかわらず、シャムハーニー国家安全保障最高評議会書記は昨日、記者団の前で最新のイラク情勢について話し、「〔過激派の外国人に?〕開かれた軍〔?〕を創設するという政策実施の枠組みの中で、アメリカはダーイシュと類似した武装テロ組織の形成・発展のための素地を作り上げてきた」と述べた。

〔‥‥〕

 国家安全保障最高評議会におけるハーメネイー最高指導者の代理を務める同氏は、ダーイシュの軍事行動を導くにあたって、バアス党時代の罪深き司令官たちが演じている役割を強調した上で、

イラク国民やシリア国民の願望や意思に対してアメリカの意思を強要するために、粗暴な過激派が利用されている。こうした利用には、イスラームに関する暴力的で非人間的なイメージを〔世界に〕示す一方で、アメリカの政策を請け負っている国々〔※サウジアラビアやカタールといった国々を指しているものと思われる〕に、テロリストたちが回帰していく危険性を減らすという効果もある。

 と指摘した。

〔‥‥〕

 同氏は、イラクにおけるダーイシュの脅威を排除するための支援について、米当局者が言及していることに関し、こうした発言は詐欺的であるとした上で、最近の一部の出来事のように、アメリカが作り上げた集団によってイラクの安全が脅かされる可能性があると指摘、「イラクを脅かし、同国を不安定化させているウラの首謀者たちの支援を期待するようなことがあっては、断じてならない」と述べた。

 他方、大統領事務所のハミード・アブーターレビー政治担当副所長は昨日、ツイッター上でイランとアメリカがイラクに軍事介入する可能性について、否定的な見解を示した上で、「地域における力といった観点から見た場合、イランとアメリカはイラク危機を平和裏に収めることのできる唯一の国である」と書き記している。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:34371 )