Murat Yetkinコラム:エルドアンの第1回投票で当選戦略
2014年07月01日付 Radikal 紙

皆は既に首相が大統領候補となることを予期していたが、エルドアン首相が「新たなトルコの独立戦争の指導者」というスローガンによって大統領候補者と発表されることで、アンカラ商工会議所(Ankara Ticaret Odası)のサロンに詰めかけた何千人ものゲストは、拍手とスローガンをあげて、すぐに立ち上がった。

声明を行ったメフメト・アリ・シャーヒン公正発展党副党首の声は興奮で震えていた。

エルドアン大統領は講壇に呼ばれた際にスピーチを長い祈りから始めた。

サロンはすぐに祈りに従い各章句毎に「アーミン」と大きな声で唱えた…。スピーチは、首相自身が18歳から60歳まで政治の中に身を置き、青年政治組織から始めて「お前はできない」と言われた各ポジションを一歩一歩たどり、最後の一歩として、この輝かしい彼のキャリアは大統領に就任するにまさにふさわしいという絵を描いている。最前列にいたビュレント・アルンチ氏とエミネ・エルドアン夫人は涙を抑えることができなかった。

エルドアンを首相にもたらすことになる議員職への路を開いた、その当時の共和人民党(CHP)の党首デニズ・バイカル氏の、「兄弟」と呼んだアブドュッラー・ギュル現大統領へ大統領職への道を開かせた民族主義者行動党(MHP)党首のデブレット・バフチェリ氏の、この二人のジェスチャーは重要ではなかった。すべてはアッラーの意思であった。(大統領の座をめぐる争いでイスメト・イノニュ(第2代共和国大統領)からトゥルグト・オザル(第8代共和国大統領)まで、さらに大統領に選出されなかったアリ・フアト・バシュギルまで、エルドアンは全員に言及したが、「兄弟」のギュル現大統領には触れなかった)。

1時間のスピーチの間、5回も8月10日の大統領選について触れた。エルドアン首相によるとほぼ大統領選挙は第2回投票に持ち込むことはなく、第1回投票で済む。もし彼が選ばれるならば、8月10日の第1回投票で選出されねばならない。8月24日の第二回投票に持ち込むことをエルドアン首相が考えたくないのは明らかだ。

エルドアン首相曰く、8月10日はトルコの一番重要なターニングポイントの一つになる。国民の選んだ大統領はもはや国ではなく、国民を代表するのだ。8月10日は「暗黒の時代」つまり軍による「後見」の時代の終焉となるのだ。

大統領選出の際に実施することを次のように列挙した。クルド平和プロセスに難色を示すことを許さない。経済の拡大を望む。また抑圧された国民の声を代弁し、西側の深奥には入らない外交政治が続けると同時に、EU正式加盟国になる。エルドアンは、まるで約12年間与党の座についていた一人の政府の長ではなく、与党や現大統領の受動性を批判する野党の指導者のように話した。

彼が大統領になった際に、例えば「権力の並存構造」つまりフェトフッラー・ギュレンの支持者とも、より効果的な闘いを続け、「国の統一」の障害となるこの組織は一掃されるはずだ。実際、省庁は彼の大統領職就任で始まる新秩序に基づいて整えられることが必要だ。

そうだ、8月10日以降もはや彼は公正発展党の中にいることはなくなるが、再び「一致行動」することになることだろう。彼の後、首相となる候補へ「職務を自ら求めてはだめだ、与えられるのを待ちなさい」と促した。また議員在職は3期までという党内規が彼の大統領就任後に廃止されるという不安を抱いて「この規則を守りたまえ」という仄めかしをしている。

そして祈りで始まったスピーチをまたも祈りで「さよならではない。新たな始まりといおう」と望んで、ファーティハの章のトルコ語訳で締めくくった。

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スピーチから次のような結論を出すことができる

1 エルドアン首相は絶対に第一回投票で大統領に選出されることを望む。

2 首相は、第一回投票で選出されなければ、人民の民主主義党(HDP)の候補セラハッティン・デミルタシュに向かうことになる大半のクルド票がその理由であること、また第二回投票ではCHP、MHP支援のエクメレッディン・イフサンオールに対してかなり政治的な恐喝のような取引にさらされることになることを知っている。

3 実際事前のアンケートは第1回投票で勝利する方向であるが、エルドアン首相は、勝利を運に任せる政治家ではない。しかし野党のストラテジーもエルドアン首相が第一回投票で50パーセントに届かないようにすることである。この為に第一回投票で勝利する為に可能なことは何でも行い、すべての切り札を切るのだ。

4スピーチを見てラマザン月であることを思い起こすと、エルドアン首相が選挙運動で信仰/宗教の要素を全面に押し出していくことを予想できる。

5他の切り札の中には、クルド問題での新しい約束、またはアブドュッラー・オジャラン氏が収監されるイムラルにある刑務所の環境改善といった措置がありうる。

しかしエルドアン大統領は、若い頃から今まで眼前の目標になんとかして到達した政治家として、もはや最後の目標に到達する為にあらゆることを敢行するという印章を与えた、そのスピーチで。

選挙運動の開始のスピーチをファーティハで締めくくったことさえ、多くのことを説明していないだろうか。

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( 翻訳者:松井友紀 )
( 記事ID:34537 )