「知的エリート帰国推進策」の現在(2)
2014年08月18日付 Mardomsalari 紙

 先進国にエリート層を送り出す国は、イランだけではない。たしかにイランはパーセンテージを見れば上位にあると言えるが、しかし先進国に学生を送り込んだ人数といった側面から言えば、イランよりも数字が高い国は他にもある。中国、インド、そして韓国がその好例だ。

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 中国は世界の中でも、優秀な人材を最も多く送り込んでいる国の一つであるが、前進を続ける発展した経済を擁した同国は人材を引きつけるために、どのような施策を講じているのだろうか。

 2008年、中国共産党は「千の才能」と呼ばれる計画〔※「海外ハイレベル人材招聘計画」のこと〕」を導入することで、同国の才能あふれる輝かしき学生や教授が、教育課程修了後に祖国に戻るよう促そうと試みた。

 この計画は、恵まれたサラリーや税法上のインセンティブを与え、住宅を提供することで、海外で博士号を取得したり、研究職に就いた経歴を持つ大学教授や民間商業機関のマネージャらを10年間で2千名、〔自国に〕引きつけることを目標として立てられたものだった。

 確かにこの計画は短期的には大変な成功を収めた。というのも、5年と経たないうちに、3300人もの極めて優秀な教授たちや人材が中国に戻ったからだ。しかしにもかかわらず、中国の卓越した才能の持ち主たちはいまだに、海外での生活を渇望しており、海外生活を経験した途端に、母国に帰ろうとはしなくなってしまうことがほとんどなのである。

 これこそ、実際にエリートたちを自国に引き寄せる際の第二の関門なのであり、なかでも重要なのは社会的安全を創出し、祖国での生活をエリートたちにとって魅力あるものとすることなのである。そしてそこには、それ特有の事情・問題があるのだ。中国でも見られるように、多くのエリートたちは帰国後、再び無力感や憂鬱な気分に陥ってしまい、自分が勉学をした先進国へと帰ってしまうのである。

 アメリカ国立科学財団が出している統計によれば、過去30年間、アメリカにおいて〔自然〕科学や工学の分野で博士号を取得した外国籍の人物としては、中国人が最多で、彼らの90%以上は博士号取得後、アメリカに留まることを選択しているという。しかし教育を受けた中国人たちが祖国に帰ることに抵抗する理由としては、文化的要因も大きい。

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 西洋諸国の大学は教員らに対して、教授としてのポストを保持しながら、母国において非常勤で教鞭を取ることを認める傾向にあるものの、しかしそれでも彼らの中国への帰国にはリスクがともなう。中国での報酬は低いだけでなく、言論の自由がなく、政治的な干渉を受ける恐れがあることが、海外に移り住んだ人々にとって懸念材料となっているのである。

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( 翻訳者:小泉花陽 )
( 記事ID:35252 )