エネルギー省、国際原子力委員会アククユ原発報告書を隠ぺい
2015年05月06日付 Hurriyet 紙

メルスィン県第一行政裁判所はエネルギー省に対し、2014年2月に国際原子力機関(IAEA)がアックユ原発計画に関してトルコ政府に提出したミッション・レポートを差し出すよう要求した。同省は今回初めてヒュッリイエト紙の指摘で発覚し、今日まで隠されていたレポートを提出することを拒否。原発計画についての批判が連なったレポートはトルコの原子力にまつわる謎となった。

トルコがロシアと署名した二か国間の協定により建設が始動したメルスィン県のアックユ原子力発電所は秘密のベールに包まれた。IAEAはアンカラ政府の要請に従って原発計画に関する派遣団による調査を行い、2014年に行った調査の結果をレポートとして政府に提出した。トルコ政府は国際的にこのような調査が多く行われているにもかかわらず、このレポートを隠ぺいした。この件は裁判に発展し、裁判所は、エネルギー省に対してレポートを提出するよう求めたが、同省は謎に包まれたレポートの受け渡しを拒否した。

◼報告書には24の勧告が記されていた

IAEAの専門家らがアックユ原発計画について用意したレポートにはトルコ政府に対する24つの勧告と15つの提案が示されていた。また長い時間をかけて準備が行われた調査報告書はIAEA代表団から2014年2月20日にエネルギー省メティン・キルジ事務次官とトルコ原子力エネルギー機構のザフェル・アルペル会長らに手渡された。トルコとIAEAの間で結ばれた合意に基づく、トルコだけが公開する権限のある「原子力基盤統合レビュー(INIR)」の存在が、2014年12月7日付のヒュッリイエト紙で初めて指摘された。しかしトルコ政府は、IAEAから同様のINIRレポートを受け取ったポーランド、アラブ首長国連邦、ベラルーシのような国が公開したにもかかわらず、当該のレポートを隠しつづけた。問題はイチェル医師会、エコロジー団体協会、メルスィン弁護士会に属する86の法人および個人がアックユ原発計画のために2014年12月1日に出された環境影響評価の肯定的な判断に反対して起こした計画中止を求める裁判に発展した。

◼環境影響評価を訴えたところ

弁護団は環境省を環境影響評価のために訴え、裁判所に対してエネルギー省が隠したINIRを確保するよう求めた。メルスィンの第一行政裁判所はその要求を認め、2015年3月23日付けの中間判決で、トルコ原子力エネルギー機構、ギュルナル郡軍警察地方司令部、メルスィン広域市のような組織に要求した記録や情報に加え、エネルギー省にもこのレポートを送るよう求めた。しかしエネルギー省の原子力計画・実施局のスィベル・ゲゼル副局長により2015年4月27日に用意され、2015年5月4日に同省法務局からメルスィンの裁判所へ伝えられた返事で裁判所の要求は拒否された。ゲゼル副局長の文書は以下に続く。「省庁の合意のもと国際原子力機関からエネルギー省に提出された原子力基盤統合レビューが2577号行政司法手続き法の20条に従って裁判所で共有されていないという点においてその理由を提示したい。」

◼国の安全と利益

シィベル・ゲゼル副局長の文書で明らかにされた、書類を隠蔽した理由となった条項にについてはこう書かれている。「要求された記録や情報が国家の安全や多大なる利益および諸外国にも関係する場合、首相や関係閣僚が理由を述べる限りにおいて、当該の記録や情報を公開しないことがある。」現在原告側はこの返答を受け、レポートを公開させるため、追加の理由を裁判所へ提出する用意している。

■公開されないことは初めてではない

原告の一人で、エコロジー団体協会の弁護士であるジョメルト・ウイガル・エルデム弁護士もこの決定に関してヒュッリイエト紙に以下のように説明した。「原子力基盤統合レビューが裁判所で明らかにされない状況は初めてではない。プロセスの根幹に影響を与える情報や記録が国家の安全や多大なる利益、国家機密に関わるという理由で組織的に隠ぺいされ、原発計画も監査なしで進められようとしている。これにおいて関係省庁は理由も示さずに裁判所の決定に従わなかった。この状況は原子力発電所が司法審査から逃れる一方で司法プロセスを延長させ、判決が実際に適用できないものとなることを狙っているのだ。」

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:37456 )