イスラエル:最高裁はムスリム地区でのユダヤ人入植者デモを許可
2015年05月12日付 al-Quds al-Arabi 紙
■イスラエル最高裁はエルサレム旧市街ムスリム地区へのユダヤ人入植者デモ行進立ち入りを許可、一方でベイト・ラフム市近郊のユダヤ人入植地内建物二棟の取り壊しを命じた最高裁決定を入植者過激派が非難
【ラーマッラー:本紙・ファーディー・アブー・サアディー記者】
イスラエル最高裁判所は、「エルサレムの日」[*訳註]に際して「イスラエル国旗祝賀行進」が被占領下東エルサレム旧市街のムスリム地区を通過するのを規制するようにとの訴えを退けた。司法当局はイスラエル警察に対して、デモ行進に伴ういかなる物理的暴力も暴力的言動も一切見逃さないよう求めるとともに、デモ参加者たちがいつも口にする「アラブ人に死を」のスローガンを唱えるのは明らかな犯罪行為であることを明言した。
イスラエルの新聞「ハーレツ」によると、訴状は「人民の町」協会と「光の通行証」という会合の連名でイーティー・カーム弁護士によって提出された。ユダヤ人デモ行進がムスリム地区に立ち入ることによって、同地区のアラブ住民は行進の通過中は家の中に隠れたり商店を閉めたりせざるをえず、加えて過去数年来デモ行進通過中に差別主義的暴力事件も頻発しており、訴状は、住民たちを身の危険にさらすそれらの混乱が引き起こされているにも関わらず警察がユダヤ人デモ行進が同地区で取り組まれるのを許可することに抗議している。
裁判所に召喚された被占領地東エルサレムの警察署長は「警察は差別的スローガンを連呼するデモ参加者たちを撮影し、逮捕し、起訴する所存である」と述べた。一方、(デモ行進のムスリム地区立ち入りを)許可した裁判官たちは次のように述べた。「過去数年来記録されたデモ撮影フィルムはあまりにも暴力的な内容であったため見るに堪えなかった。裁判所は警察とデモ行進を組織するユダヤ教ラビたちの双方に対し、差別主義的かつ暴力的な言動―特に「アラブ人に死を」という明らかに許容範囲を超えたスローガン-を阻止するため行動するよう要請する。」
(後略)
*訳註:1980年7月30日、イスラエル国会は「エルサレム恒久首都化」法案を可決し、西エルサレムと1967年戦争で占領した東エルサレムを合わせたエルサレムは「イスラエル国家の首都」と定められた(国際法上は無効)。以来この日は「エルサレム再統合の日」(「エルサレムの日」)とされ、ユダヤ人群衆がイスラエル国旗を打ち振って毎年エルサレム街頭を行進する祝賀の日となった。
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( 翻訳者:田中大樹 )
( 記事ID:37507 )