Suat Kiniklioglu:誤った政治の、誤った結果
2015年07月29日付 Radikal 紙

コバーニーがクルド人にとって何を意味するのかアンカラ(政府)は分からなかった。クルド人があの小さな市を政治的意識においてどれほど重要視していたか理解できなかった。そしてその代償を国として我々全員が負った。それだけでは足りないかのように、こうした政治を、我々はさらに進めようとしている。

トルコの多くの人々は、シリアとの国境地帯で一体何が起きているのか、当該地のクルド人が何を求めているのか、その地域のダイナミクス(動態)がいかなるものであるのか理解していない。全くなんということだ・・・しかしながらさらに悪いことに、政府もそこで何が起きているのか正確に把握できておらず、理解もしていない。正確に言えば、政府は、(政府の)トップに起因するイデオロギー的な信条により、理解したくないのである。コバーニーが陥落ギリギリのところにあると発言したエルドアン大統領が、コバーニーを理解できず、情勢を正確に捉えられなかったことで、2014年にオバマ政権は、我々の意に反し、YPG(人民防衛隊)に武器・物資援助を行った。トルコの首相は目と鼻の先にある地域に関し、致命的な一手によってのみ、知らされることになったのだ。ぐっとこらえて、その後数か月、ワシントンがYGPに援助するのを傍観し、それを認可せざるをえなかった。
あなた方がこの地域の雄として闊歩している場所で、よそ者のアメリカ人が、あなた方の意に反し、あなた方が反対しているのに、一気に行動し、それを我々は国として認めざるを得なかった。情勢を正確に読み取れなかった故に我々は代償を払った。これは外交の領域である。そしてまた内政の領域でもある。

コバーニーが、クルド人にとってどのような意味を持つのかアンカラ(政府)は理解できていなかった。クルド人があの小さな市を政治的意識においてどれほど重要視していたのか認識できなかった。その代償を国全体として我々全員で負った。
それだけでは足りないかのように、こうした政治を、我々はさらに進めようとしている。現在もなお、シリアのクルド人を、スルチを、そしてそのあとでHDP解党まで進めようとする意図が見える現在のプロセスを、正しく読み解けないということに我々は直面している。

まずは外交: 北イラクのクルド人自治区と共に実現し、成功したパラダイムシフトが明確なのに、なぜ同じアプローチをシリアのクルド人とどうして進めることができなかったのか、理解に苦しむ。ロジャヴァ(シリア・クルディスタン)の支配を手に入れた者たちと一緒に、トルコの微妙な事情を考慮しつつ、その地域の政治構築においてトルコが役割を担うようなシナリオは可能であった。
さらに、このアプローチはワシントンからも賛同を得る可能性があったのだ。6月7日の総選挙で明らかとなったコバーニーにおける過ちの代償をよく読み取ったロジャヴァと共に新しい1ページを開き、国内の解決プロセスに貢献し、シリアの不安定さや混乱に対し、騒動に対して協同していたかもしれなかった。いったいなぜこれが行われなかったのか?理由は明白だ。アンカラはこの地域のさまざまなアクターを、俯瞰的に見ていないからだ。アンカラは、これらアクターを、彼らが囚われている打倒アサドへの強い情熱という観点からしか見ていないのだ。それだけで足りずに、宗教的・宗派的ファナティシズムで見ているため、現状を誤ってとらえてしまっている。

シリアのクルド人は蒸発して消えてなくなりはしない。おそらくは自治や自分達の運命への決定権においてより一層影響力を増すだろう。YGPによるISへの戦闘は西側報道では伝説化された。YGPがPKKの片腕であることが周知されているにも関わらず、西側では正当化されている。クルド人は勝ち得た政治的評判を巧みに利用している。トルコ政府がオジャランと話し合いをし続けているということは、西側がYGPと関係を構築することを容易にするのであった。アンカラとシリアのクルド人とのあいだに共通理解が生まれること、シリア北部に関し共通のシナリオで合意することは、トルコの国益に合致するアプローチとなるのであった。それによって、クルド地区がトルコの微妙な情勢を考慮して形成され、その見返りとして、アンカラがこの地区への安全を保証するという提言が考えられえたのであった。トルコとシリアのクルド人、さらにはアメリカ主導の有志連合が、ISに対して共同戦闘を行うことが可能であった。さらに重要なことは、トルコがシリア国境地域での展開を、自国の利益に応じて進めていくことが可能となるのであった。シリアのクルド人を取り込むことは、国内のクルド問題解決において、治安改善という貢献となるのであった。つまり互いにwin-winな関係となるのであった。

もはやシリアという国はない。イラクは非常に危うい状態である。イランのシステムは確実に元に戻りつつある。わが国の南部地域において、一定期間、不安定さが支配的となる可能性は明白である。今日の現状では、イラクのクルド人自治区の運命は、もはや大部分トルコにかかっている。経済は統合されている。両国の利益が密接にかかわっているのは明らかである。衝突の可能性は無くなっている。同様なシナリオはシリアのクルド人とも可能である。できるだけ早くこの誤った政治による希望のない結論から引き返すことが必要である。PKKはトルコ内の活動をともあれ終結させ、文民政治の出現の可能性を認識すべきだ。武器をすて、理性的なやり方が再度優位に立つべきである。トルコを導いている政治家は大きな写真を、残念ながら間違って読み解いている。その地域に対して度の合っていない眼鏡で見ている。打倒アサドの頑迷な思い込みが、トルコを急進的組織と一色単にする状態を作り出したこのメガネが、間違った処方箋が書かれる原因となっている。トルコの国益のためには、この地域をまっさらな曇りのない視点でみることが求められる。

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( 翻訳者:小幡あい )
( 記事ID:38307 )