迷信という儲かる商売—エセ占い師たちの市場はいまも活況(1)
2015年08月05日付 Jam-e Jam紙


【ジャーメ・ジャム紙別冊タペシュ8-9面:マーエデ・シールプール】

第一幕

 それはコップ一杯の水と鎮静剤が数粒だけだった。2年間にわたって、彼の生活の色合いを決定づけた色とりどりの鎮静剤。朝は青、傷みの激しい時は緑、悪夢から目覚めたときは赤という具合に。

 彼の生活はすべてこの三色に集約されていた。初めからこんなだったなんて思わないでほしい。そうではないのだ。あの忌まわしい出来事が彼の人生をメチャメチャにしてしまった時から、このようになってしまったのだ。

 今でも時々、2歳になる子どもの声ではっと目覚めることがある。あの独特な口調で発せられる、「パパ、水を持ってきて」と言う声で。いまだに家のあちらこちらで、妻の香水のにおいを感じる。2人はもういないということを時々忘れてしまい、帰宅した時に2人を呼んだりすることさえある。

 しかし、彼の人生のすべてを奪い去ってしまったあの忌まわしい月曜日から、すでに2年が過ぎた。その2年間で、彼は100歳も老けてしまった。

 ベッドの上でまだうとうとしていると、いつものように電話が鳴ったので、電話口まで行った。また母からだった。ただ息子に説教がしたいだけなのだ。母の電話から数分もたたずに、また電話がかかってきた。いつも通り、会社からの週初めの電話で、業務報告だ。ただ聞いていた。家の雰囲気は靄がかすんでいるようだった。カーテンは閉め切られ、光が全く射し込まない。〔‥‥〕

 モハンマドはこの2年間というもの、昼夜がどのように過ぎて行くのかもわからなかった。彼はあの悲惨な出来事に、あたかも妻や幼い子供とともに遭遇したかのように感じていた。まるで家族三人がともに、嵐の海に飲み込まれたかのように。

第二幕

〔‥‥〕

 光が彼の目を射し、彼は空から顔を背けようと顔をうな垂れた。もしかしたら空の青色が、彼の家族を溺死させた広大な海のことを、彼に思い出させるのかもしれない。彼は足早に整然と歩みを進める。行く先ははっきりしている。ベヘシュテ・ザフラー墓地だ。

 かつて自分の生き甲斐だった愛しき者たちの名前が、冷たい墓石に刻まれていることが、彼にはどうしても信じられずにいる。3年もたっていまだに、神を除いてこの世に信頼できる人が誰もいないということが。〔‥‥〕

つづく


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(翻訳者:PM)
(記事ID:38459)