ロシア危機アンタリヤを直撃―5000人従業者自宅待機に
2015年11月28日付 Zaman 紙


領空侵犯をしたロシアの戦闘機が撃ち落されてから、ロシアは、トルコから果物・野菜の輸入を停止した。トマト、ウリ、キュウリ、ブドウ、また柑橘類といった生産品がぎっしりと搭載された多くの長距離トラック(TIR)が、国境で止まっている。ロシア危機はまず、ロシアに輸出を行うアンタリヤ卸売市場を直撃し、多くの従業員が自宅待機となった。

トルコが領空侵犯をしたロシア戦闘機を撃ち落として以降始まった緊張は、あらゆる経済情勢に反映されている。トルコの農業部門におけるもっとも重要な市場の一つであるロシア連邦に対する生野菜や果物の輸出が停止している。具体的には、トマト、ウリ、キュウリ、ブドウ、柑橘類といった製品を積んだ多くのTIR が、ロシア国境で待たされている状態である。ロシアへの生野菜や果物といった輸出が停止することは、毎日数多くのTIRがロシアに向けて出発していたアンタリヤ卸売市場に影響を与えた。

取引が停止状態となり、輸出業者らは操業を見合わせている。操業を続けている業者は、在庫を国内市場に向けるよう努めている。毎日膨大な量の商品が扱われる売り場は、非常に静かだ。多くの従業員が自宅に帰された。一日の損害額は相当に上るとした輸出業者は、ロシア危機が一刻も早く終息し、ロシアが再びトルコからやってくる農産物に対して国境を開くことを望んでいる。約100台のTIRと7-8隻の大型船でロシアに生野菜や果物を輸出している大企業の1つであるカルヨンジュ・グループも、アンタリヤにおける操業を見合わせている企業の一つである。グループの責任者であるネジャーティ・ゼンギン氏は、(これまで)毎週ロシアに70から100台のTIRを輸送する3隻の船を送り出 していたこと、しかし飛行機の撃墜に伴い操業が停止していることを述べ、「現状は良くありません。ロシア側からかなりの圧力がかかっています。一番問題となっているのは、生野菜や果物の輸出業者でしょう。ロシアでは、わたしたちの3隻の船と100台のTIRが待っています。どれほどの損害に至っているかを計算するのは困難ですが、1台のTIRに平均4-5万ドルほどのコストがかかっているとして計算すれば、損害額は明らかになります」と話した。(TIRなどが国境で)待機していること、また操業止めていることを述べたゼンギン氏は、エーゲ海、地中海地域にある約20の工場の従業員およそ5000名が自宅待機をしていることを明らかにした。

■1日当たり損害額100万リラ

ムーラ県フェティエにある工場から、ロシアに向けて毎日30台のTIRで生野菜や果物を送っていたと話すカラアリ社の責任者、アフメト・ユルドゥルム氏 は、「ロシアが国境を閉鎖し、輸出は終わりました。輸出業者はすべて操業を停止しています。卸売市場も閉鎖しています。ロシアに1日当たりTIR30台分の商品を送っていました。(ロシアの)飛行機が落ちてからというもの、我々の商品を送る機会がないのです。1日当たりの損害額は100万リラです」と語った。ユルドゥルム氏は、現在彼らのもとにある在庫をアンカラに送ったと明らかにした。

地中海生鮮野菜・果物輸出業者組合のアリ・カヴァク組合長も、生産者と輸出業者がパニックに陥っていると述べた。カヴァク氏は、この件に関し緊急の解決策 を見つける必要があるとし、「我々の、ロシアに対する年間の野菜輸出額は10億ドルにのぼります。今回の残念な事件のため、およそ14-15万トンの生産物が税関でストップしています。これがどのような結果になるのか、まだわかりません。この状態が一刻も早く終わること、適当な判断が下されること、ロシアとトルコの友好関係が続くことを望みます」と話した。

■輸送業者:トラックが待っている

国際輸送協会(UND)は、インターネット上で今回の件に関して声明を発表した。そこでは、「トルコの輸出製品を運ぶトルコ、または外国の輸送車が、ロシア国境門付近でロシア内に入ることを許可されず待たされているようです。本件が今後どのように続いていくのかについては予想が困難であり。、当協会にあった情報は、在モスクワトルコ大使館と交通海事通信省に共有しました。ロシアに向けた輸送における現況に関し、理解を求めます」とされた。

■トマト、2リラから1.5リラに

ロシアがトルコから送られてくる生野菜・果物を税関で停止させていることに伴い、生産者は解決策をイラク市場に見出している。カラチュルハ街区のムーラ広域市卸売市場の卸売商とトマト生産者らは、2国間における緊張が一刻も早く解かれることを望んでいる。今回の問題により、税関で足止めされている卸売商は、借金をどのように返済していくかという問題に頭を抱えている。卸売市場で卸売商として働くバイラム・ヴィラン氏は、ロシアに送られた商品が税関で足止めされていることから、ロシアへの輸出のための梱包作業を停止していると述べた。ヴィラン氏は、ロシアとの間で発生した飛行機撃墜事件が起きる前はトマトの原価が2リラであったこと、しかし事件後1.5リラに落ちたことを明らかにした。フェティエのチャムキョイ街区でトマトの生産を行うアリム・キョルオール氏もまた、ロシア危機が起こる前はトマトの価格が高かったと話した。ロシアが国境を閉鎖し輸出品の受け入れを停止したことに伴い、質の良い製品はイラク、または国内市場に送られているとしたキョルオール氏は、「こうしてトマトの価格が1.5リラに下落した。これは生産コストよりも安い。農薬、肥料、種、どれも非常に高額です。政治家たちがこの状態に対し一刻も早く解決策を見つける必要があります。ロシアと和解し輸出を続けるか、または新たに市場を形成する必要があるのです」と述べた。ムーラ広域市卸売市場で生野菜・果物卸売商組合組合長のアタベイ・アクギュン氏は、 トルコの農業部門で深刻な不安があること、また問題が2国間関係でもって解決されることを望んでいるとした。アンタリヤで輸出業者に生産品を供給している ラマザン・トクマク氏は、ロシアに向けた輸出が止まることは、国内市場に影響をもたらすと述べた。ロシア危機が続いた場合、地方の消費者が今冬、より安く生野菜・果物を食べることが出来ると述べたトクマク氏は、「トマトは2.2リラから1.7リラに、ピーマンは3.2リラから2リラに下落しました。買い手 を見つけることに苦労しています」と語った。

■ロシア大臣:トルコ系建設会社の営業を禁止する可能性

ロシア建設・公共事業大臣のミハイル・メン氏は、ロシアで活動しているトルコの建設会社がその活動が禁止される可能性があることを明らかにした。ロシア放送協会(RBC)に向けて話したメン氏は、「ロシア飛行機が撃墜されて以降は、ロシアの建設部門においてトルコのプロジェクトに与えられていたあらゆる支援が見直されるだろう。短期間の間に他の機関と大手の建設会社とともに、ロシアとトルコの共同建設計画を評価する。トルコ企業のいくつかは、大規模建設計画から取り除かれる可能性がある。共通して言えることは、彼らに対する我々の信頼が減少したということだ」と述べた。メン氏は、(トルコ企業が抜けることによって)発生する可能性のある空白は、ロシアの会社でもって埋めることが可能であることを述べた。モスクワ市建設業部門の副部門長を務めるマラト・フスヌッリン氏も、モスクワにおける建設部門からトルコ系の会社が取り除かれても、当該部門で大きな影響を及ぼさないであろうと述べた。

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( 翻訳者:木全朋恵 )
( 記事ID:39263 )