補助金の現金支給から6年、悪化する国民の台所事情―非科学的な政策のツケを検証する(3)
2017年01月19日付 Iran 紙

国会も現金による補助金の支給が国の経済にもたらしている重大な悪影響について報告

 国会調査センターもまた、今年の秋〔※2016年の秋のこと〕、補助金が国の経済全体に与えている致命的な打撃についての報告書を発表している。

 この報告書によれば、毎月3兆4千億トマーン〔約1100億円〕以上の現金が、これといった明確な目的(ターゲット)もなく、大部分のイラン国民に平等に配られている。国会調査センターは、これまでに補助金目的化計画の実施結果に関する報告書が一切出されていないとした上で、この計画の実施は国に対して重大な経済的・社会的悪影響をもたらしていると指摘している。〔‥‥〕

 国会調査センターはこの報告書の中で、次のように記している。

補助金目的化計画を実施して分かったのは、エネルギー・キャリアの価格が上がっても、国のエネルギー消費の効率化や削減にはつながらない、ということである。補助金問題で見過ごされてきたのは、エネルギーの生産、運輸、流通、および消費の非効率性の合理化・改善を同時に考える必要があるという事実である。

 著名な経済学者であるサイード・レイラーズ氏は以前、補助金をめぐる状況、およびそれが人々の生活に及ぼしている影響について、次のように述べたことがある。「〔‥‥〕支給される補助金の実際の価値は、インフレを考慮すると減ってしまうということ、実際、この程度の額では家計の助けにはならないということを忘れてはなりません」。

 レイラーズ氏の考えでは、国の保健・医療分野の改善に向けた第11期政権〔=現ロウハーニー政権〕の政策は、これまでイラン国内で階層間格差を縮めるために採られてきた政策としては、最高の政策であり、現金による補助金支給の代わりに、政府は労働者や退職者が手にする最低賃金・最低年金の改善に注意を向けた方がよいという。

 同氏は次のように述べている。

第11期政権が保健・医療分野で採っている手法は、人々への支援のためには、現金による補助金支給よりも千倍すばらしく、有益で、ターゲットを絞ったものです。残念ながら、国営の病院は患者を受け入れるのに適した環境を備えていません。人々は窮乏しない限り、国営の病院なんかに行こうとはしません。今日、現金による補助金の支給に使われている資金が国営病院の改善に使用されていれば、社会の最貧困層を助けることになっていたはずです。


Tweet
シェア


この記事の冒頭に戻る
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:YSH )
( 記事ID:42060 )