戒厳令法下で、学術環境荒廃
2017年03月25日付 Cumhuriyet 紙

トルコ戒厳令下でKHK(非常事態特別政令)が21回発令され、大学では8度の一斉解雇があった。

CHP(共和人民党)が、戒厳令下のKHKで解雇された大学教員に関する取組みを報告書にまとめた。報告書では、一斉解雇により学部閉鎖にまで追い込まれていると述べられ、社会学部、政治学部、国際関係学部での解雇が最多であったと特筆された。CHPはまず、教員らの業務復帰に向けた取り組みに着手し、大学教員の問題解決に向けたロードマップを示す予定である。CHPのセリン・サイェク・ボケ副党首とゼイネプ・アルトゥオク副党首は、「解雇された大学教員、荒れ地となった大学」という見出しで報告書をまとめ、ケマル・クルチダルオール党首に提出した。戒厳令による大学への圧力は、1980年の9月12日クーデター時を上回っており、KHKにより各大学で学長選挙が撤廃されたことを「学長任命を大統領府と結びつけた」と強調されている。さらに、 AKP(公正発展党)が政権にあった2002~2010年にかけての10年間で、YÖK(高等教育委員会)規則15条およびYÖK人事規則には19回の改訂が行われた。これにより、極めて制限されていた学術的な、そして大学運営ならびに財政上の自治性が更に狭められた。つまり、戒厳令下で発令された21の特別政令により、8回の集団解雇が行われたのだ。報告書では以下の内容が示された。

―15大学閉鎖: 191大学のうち15大学がKHKにより閉鎖された。15大学はすべてAKP政権下で設立され、規模やシラバス、キャパシティが限定された組織だった。閉鎖された大学には学生6万4533名、教職員2805名が在籍しており、15大学で解雇された教職員の数は、「中東工科大学に在籍する学術スタッフとほぼ同数」である。また、中東工科大学在籍学生数のおよそ2倍にあたる学生が不当な扱いを受けた。

―4811名が解雇: 112大学で合計4811名の教職員が解雇された。このうち16名は別業務で復帰している。また、「この犯罪に加担しない」という声明に署名した教職員312名も解雇された。

―署名者最多は社会学部と政治学部: これに署名したとして解雇された教員数は、社会学部、政治学部から各19名、メディア学部から14名、経済学部から13名、法学部から10名、行政学部から10名であった。

―学部閉鎖: 教員解雇に伴い、多数の学部が事実上閉鎖となった。特にアンカラ大学演劇学科、同大学教育学部の各専攻、エーゲ大学哲学学部、アンカラ大学コミュニケーション学科で最も人的損失が大きかった。アンカラ大学演劇学科では教員11名中7名が解雇され、学科の運営継続のため、地理学分野の教員を業務にあたらせている。またコミュニケーション学部では教員108名中25名が解雇された。

―退官教員の授業は中止: 解雇以降、各大学では予算不足を理由に、退官教員が外部から行っていた授業の多くが中止された。

■解雇は法外執行

「戒厳令下のKHKのおかげで大学は完全に崩壊させられた」とする報告書では、何らかの議論を経て解雇に至った件は一つもないと強調。(解雇対象者の)氏名が学長から高等教育委員会に報告され、高等教育委員会から更に政府に報告された結果、その教員が大学から遠ざけられたという。同報告書では「教員らに自衛権は認められなかった。解雇の根拠は1ミリも示されず、『平和のための学者の声明』への署名が証拠として示されたという。このように解雇は法なき執行の結果である」との記述がみられた。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:42359 )