欧州人権委員会勧告を退け、裁判所、デミルタシュ釈放を棄却
2018年11月30日付 Cumhuriyet 紙

法務省がセラハッティン・デミルタシュ氏の釈放に関する欧州人権裁判所(ECtHR)の判決の翻訳を昨日アンカラ第19重罪裁判所へ送付した後、同アンカラ第19重罪裁判所は欧州人権裁判所の判決を議論しつつもセラハッティン・デミルタシュ氏の釈放の要求を退け、拘束下にある現状を維持することを決定した。国民民主主義党による声明では判決への反発が見られた。
 
アンカラ第19重罪裁判所はセラハッティン・デミルタシュ氏の弁護団が欧州人権裁判所の判決に従って行った釈放要求を退けた。裁判所はこの拒否の理由として以下の表現を用いた。
「被告は、2月の14日から16日の間の裁判審理において準備が整えられ、答弁に移った、現在まで被告人に関する告訴状における31の事件と、これにまとめられた事件の計32の異なる罪状のうちわずか9件の罪状に関し陳述を行っており、未だ告訴状における罪状にむけ尋問は未完である。」

■「司法の監視下に置かれることを拒んだ」

裁判所の判決にはさらにデミルタシュ氏が「司法の監視規定に従うことを宣言しなかった」ことも加えられた。「あらゆる裁判審理で司法による監視規定の順守にむけた宣言がなかったこと、このため司法による監視規定が満たされないと評価された」

アンカラ第19重罪裁判所はデミルタシュ氏に向けられた罪状が「拘束の理由」であることを示しつつ「犯された罪の観点から法に定められている上限と下限の間の罰則より拘束が適切である」と判決した。

■裁判所は「最終か否か」決定はできず。

アンカラ第19重罪裁判所は欧州人権裁判所の判決は大法廷の判決でなく小法廷の判決であるという理由で釈放に関する判決が「最終判決とみなされない」ことを述べた。

■デミルタシュの弁護士:憲法裁判所へ進む次第だ

デミルタシュ氏の弁護団の一人ラマザン・デミル氏はツイッターアカウントで声明を行った。釈放要求が「欧州人権裁判所の判決が確定しなかった」との理由で認められなかったと述べた。デミル氏は「アンカラ第19重罪法廷は欧州人権裁判所の判決に反しセラハッティン・デミルタシュ氏の拘束の継続を決定した。裁判所は理由として、欧州人権裁判所は法務省に勧告を送ったが、判決はまだ確定していなかったと述べたらしい。こんな恥ずかしい話はない」と形容した。

■人民民主党の共同党首らによる声明

人民民主党の共同党首ペルヴィン・ブルダン氏とセザイ・テメリ氏はセラハッティン・デミルタシュ氏に下された判決ののち、文書による報道発表を出した。声明は以下の通りである。「欧州人権裁判所が十日前に下し、セラハッティン・デミルタシュの即時釈放を含む判決が今日アンカラ第19重罪裁判所で審議されたようである。集った判事は欧州人権裁判所の決定に従わず、拘束の継続を決定したようである。これは明らかに憲法と欧州人権条約への違反である。 

繰り返し言うが、欧州人権裁判所のデミルタシュ判決における“即時釈放せよ”の表現は個人の措置要求であり、トルコの裁判所は憲法第90条と欧州人権条約第46条を踏まえてこの判決を適用しなければならない。
アンカラ第19重罪裁判所は完全に政治的理由とエルドアン大統領と政府高官の圧力により今日の決定を下した。判事団はまさにデミルタシュと別の国会議員が拘束されたように、法ではなく政治的理由により決定を下した。

欧州人権裁判所の決定が確定的でないと主張し、さらに法務省へこの事を書面で問い合わせたことは時間を稼ぐための非条理で違法な手続きだ。稼いだ時間でデミルタシュに関する控訴裁判所で待たれている判決が承認されるために行われた策略だ。再び判決は政治となった、行政の圧力により行動し、この判事団は大きな犯罪の渦中にある。」

■エルドアン大統領「我々を縛り付けることはできない」

欧州人権裁判所の判決を厳しく批判するレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は「我々を縛り付けることはできない。反撃し、問題を片付ける。」と述べた。

■何が起こったのか

欧州人権裁判所は二年のあいだ拘束下にあるセラハッティン・デミルタシュ氏の要求を11月20日の判決へと繋げた。
欧州人権裁判所は判決で欧州人権条約の第18条を引用しつつ拘束の理由が政治的であると判断し釈放することを求めていた。「権利及び自由についてこの条約が認める制限は、それを定めた目的以外のいかなる目的のためにも適用してはならない。」と纏め上げられている18条はトルコのため初めて適用された。

欧州人権裁判所の判決では長期の拘束期間がデミルタシュ氏が議会における政治活動の場を得られない理由となったことは表現と選挙の自由への「不当な介入」であるとみなされた旨が述べられた。

欧州人権裁判所は加えてトルコへ物質的、精神的損害に対し2万5千ユーロ文の賠償をすることを命じた。

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( 翻訳者:小林佑輔 )
( 記事ID:45827 )