イスラエル:アラブ系学校向けの教科書、用語のヘブライ語読みへ改訳(2)
2019年02月01日付 al-Quds al-Arabi 紙

イスラエル:アラブ系学校向けの教科書、用語のヘブライ語読みへ改訳(2)

■イスラエルのアラブ人学生向けの新しい教科書、パレスチナやエルサレムなど地名や歴史的用語の表記の改訳

 以上のことは、ユーシフ・ジャバーリーン国会議員・国会教育委員会委員も強調しており、「イスラエル教育省は創設以来、アラブの学生用の公民と歴史教育の教材の内容を決定してきた。アラブ人の専門家による教材の内容の選定への実質的に参画は一切ない。ゆえに、イスラエルの教材はシオニスト的なユダヤ人のナラティブを反映し、アラブ・パレスチナのナラティブを疎外したものとなった」と語った。続けて「このようにして、教科書を支配するナラティブは、地理的な場所や歴史上重要な地にシオニストの概念と表現を取り入れている。このことが歴史的事実を歪曲させ、ねつ造しているのだ」と述べた。
 ジャバーリーン議員は「本紙」に対し、今般の教育省の改訳が「ユダヤ人は無人の土地に来た」であるとか、パレスチナの歴史的名称は「イスラエルの土地」であるなどといったシオニストの主張や嘘のプロパガンダを強化していると指摘した。また、人種差別的な立法や占領の諸活動と同時に、ここ数年の間にパレスチナ人のナラティブやパレスチナ人の集団的アイデンティティーに対する攻撃が増加していると強調した。特に急進的なナフタリ・ベネット大臣率いる教育省を通じ攻撃が激しくなっているという。ベネット大臣が属する政党は、バレスチナの土地のイスラエルへの併合、イスラエルの主権をパレスチナ全土に拡大することなどを標榜している。
 ジャバーリーン議員は質問に対し、大衆の意向か政治的な意向か、あるいは教育に携わる者の舵取りのいかんに関わらず、こうした不当な改訳の押し付けに断固反対すると応え、教育問題を調査する委員会やその他のアラブ系機関から発行される代わりの教材を採用するよう呼びかけた。さらに、新しい教科書の内容とその根底に隠れている不当な押し付けに関して司法に頼る可能性を専門家の仲間と協議していると言及した。また同氏は、「イスラエルは、領内のパレスチナ人のアイデンティティーや社会的属性をゆがめること、「アラブ系イスラエル人」というイメージを作り上げること、また彼らを元々暮らしてきた人々とみなし、そのイデンティティーや遺産、ナラティブを守る国際法により保障されるべきパレスチナ人の権利をはく奪する画策を、アラブ系学校を利用して続けていると指摘した。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:堀嘉隆 )
( 記事ID:46257 )